戦争をかけめぐった卵と料理本
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
先日、第二次世界大戦中に出版された
戦争中の奥様への料理本について少し書きましたが、
じつは米国では
第一次世界大戦中にも
戦時中に特化した料理本が出版されています。
「傷病者の為の戦時の料理本
(A War Cookery Book for the Sick and Wounded)」
1914年に出版された本です。
この中のレシピには、
「たまご料理」だけじゃなく
肉料理・魚料理・デザートなど
他項目でも、めっちゃ卵が使われています。
◆戦場にたまごを送る国策に・・!
ケガや病気には栄養バランス取れる
たまご料理がやはり良い・・・!
という発想はすでにありましたから、
第一次世界大戦中のアメリカでは、
軍に供給するために、
たまごの増産が進められ、
政府主導で
「たまごを産ませて増やそう」
キャンペーンをはじめたのです。
例えばウィスコンシン大学が
国策の農業改良普及事業として
配布したチラシには、
『ニワトリを数羽飼う事から始め
よう。アンクルサムのバスケット
には、卵がほんの少ししか入って
いない。残飯を利用して、庭で
ニワトリを飼って、新鮮な卵を
自家生産しよう』
なんてスローガンが書かれていました。
アンクル・サム(サムおじさん)
は、アメリカ合衆国政府を
擬人化したキャラクターですね。
その甲斐あってうまく増産が進み、
戦場で傷ついた方を癒す糧として
たまご料理が戦場で口にされたわけです。
そして戦後に、
エッグカナッペやオレンジオムレツ
エッグインザホールなどの卵料理ブーム…
たまご料理の文化が米国では
一気にポピュラーになってくるのです。
◆戦場ならではの注意点も
この料理本は、冒頭に
「看護師さんへの留意点」
という項目があります。
・トレイ、クロス、ナプキンがきれいに掃除されているか、を確認する。
・新鮮で最高の素材のみを使用し、提供すること。
・指示のない調味料は使用しない。
…など細かく注意点が書いてあります。
面白いことに、
・ゼッタイに患者には食事について相談してはダメ
なんて事も書いてあります。
好き嫌いなんか聞いちゃうと、
ケガも病気も関係なく、つい
わがままになっちゃうでしょう
し、なるほどその通りですね。
ひとつだけ卵メニューを
ご紹介しますと、
26.「たまごとミルク」
牛乳を沸騰させ、よく溶いた卵に
注ぎ、砂糖、ブランデー、ナツメグ
を加える。
ビスケットと一緒にお召し上がりください。
(材料)
・生みたて卵1個
・牛乳1と1/2ジル(約180ml)
・砂糖小さじ1
・ブランデー大さじ1
・ナツメグ適量
今でいう「エッグノッグ」ですね。
これからの寒い季節にピッタリ!です。
百年前のレシピ、
ぜひ試してみてくださいませ。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
(参照:ウィスコンシン大学ライブラリー)
(参照:『たまごの歴史』原書房)