小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

おいしさ雑学 記事一覧

 

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■記憶が匂いを呼び戻す・・?

幻嗅(げんしゅう)というものをご存知ですか?

幻聴の「におい」版。

よっぱらったときなんかに、ありもしない「におい」を嗅いでしまうんだとか。

私は一度も経験したことはありません。

幻臭は、化粧会社の開発者さんなど、よっぽど匂いに鋭敏な体質の方がなりやすいとのこと(注1)、私ではどうも素質不足(?)のようですね。

一時的に脳が混乱することでその記憶を呼び覚ましてしまうんだそうです。

 

■匂いが記憶を呼び戻す・・?

脳医学の観点から見て、この「匂い」というものは「記憶」と密接に結びついています。

散歩中に気づく焼きたてパンの甘い香り、

シャンプーの香り、

グローブの革の匂い、

ちょっとした匂いが、子供の頃の思い出や楽しかった頃・ドキドキした時の思い出を呼び覚ますことがあります。

この様な嗅覚による記憶刺激効果は、「プルースト効果(注1)と呼ばれます。

これは、脳内で、記憶を司る位置と、嗅覚を司る位置が極めて近いことから起こると考えられています。

実際に、この効果を利用した退行催眠療法やセラピーなども行われているそうです。

視覚や聴覚と比べ、嗅覚は脳内の回路位置がまったく異なっているんだとか。

原始の時代には、危機回避や生存にとって「匂い」が重要なファクターだった証拠なのかもしれませんね。

 

(注1)追記・精神疾患などでなるケースもあるそうです。
(注2)作家マルセル・プルースト の自著小説『失われた時を求めて』の冒頭で、主人公がマドレーヌの匂いから遠い過去の記憶を呼び覚まされることで、この長編小説の幕が開きます。この事から名づけられています。(wiki

(参考)読むクスリ(上前淳一郎著・文春文庫)
(参照)匂いが記憶を呼び覚ます – プルースト効果とは何か(X51.ORG)

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2009年10月2日

taberu_herikutu.jpg村松友顕さんの「食べる屁理屈」というエッセイに、「日本料理」と日本人の関係についての、興味深い話がでてきます。

『・・・イタリア人にスパゲティの味を聞けば、「それはうちのスパゲティが旨いよ。」というし、中国人と麺やチャーハンなどもそういう感じだ。 つまり、外の店で食べている料理と、家庭で食べる料理のあいだに、それほどの落差がないというわけだ。 ところが、日本における和食や日本料理というものは、我々が家で食べている食事とはまるで違った食べ物である。 御飯とおかずの組み合わせに汁物と香の物を添えた家庭料理は、いわゆる料亭で出る和食や日本料理とは、スタイルも発想もまるでちがっているのだ。(中略)
 しかし、我々が最も多く食べている家庭料理は、どうやら”和食”の領域にも”日本料理”の領域にも入らないらしいということは、おぼろげながら分かってきた。・・・』

 確かに、我々が毎日食べる朝夕の御飯やいわゆる「定食」は、「日本の料理」でありながら”日本料理”じゃないんですよね。 外国人のイメージで「日本料理ってスバラシいですね。」といわれた場合、我が家の味をイメージしてしゃべる方は少ないんじゃないでしょうか?私を含め、ほとんどの方は料亭の会席なんかを想像しながらしゃべります。

 手元にあるオレンジページブックスのレシピ本では、上記の様な日本式の家庭料理を「和ごはん」と表現しています。 なんとなく編集部の苦労もうかがえますね。 白い御飯に生卵、味噌汁と焼き魚と御飯・・・・・・、さて、自分なら毎日の家庭料理をなんと呼ぶだろうか?
スローフード」「B級グルメ」なんて言葉もありますが、これもちょっと違いますしねSmile

 井沢元彦さんは著書の中、「あまりに常識と思われていることは、どの時代の文献にもわざわざ書かれたりしてはいない。」とおっしゃっています。 これは考古学上の文化についてのお話ですが、実は我々が毎日食べる、アツアツのたまごかけ御飯や、親子丼、味噌汁ごはんも、あまりに「ふつう」の食事であって特に定義も必要がなく、一言でいうと「ごはん」としか言い様が無いのかもしれませんね。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2009年01月27日
先日のエントリにて、「卵を食べると『健康寿命』が延びる。」という話を書きました。
たまごの持つ健康機能は、どんどん新しく報告されております。
さて、以下は卵とは関係ない約一年前の記事ですが、『寿命』に関してこんな興味深い研究結果がありました↓
寿命が10倍に延びる技術を開発、人間の場合は800才まで寿命延長が可能に?
『(以下引用)南カリフォルニア大学の科学者が発表したところによると、イーストのバクテリア(要するにパン酵母)の寿命を10倍に延ばすことに成功。この方法は人間にも応用できるので、寿命が80才の場合は800才ぐらいまで延長可能だそうです。
この技術は2つの遺伝子(RAS2とSCH9)に手を加えることによってカロリー摂取を削減できるというもの。エクアドルで既に人間を対象にした実験に入っているとのこと。また、現時点では明確な副作用などもなく、これによってガン細胞の増殖を人間の場合は抑制できるそうです。国立老化研究所(NIA)に所属するAnna McCormick氏によると、この10倍まで寿命を延ばすというのはかなり有意なものであるとのことです。』
 すごいですね。
 800才・・・って鎌倉時代の人がまだ生きてるって事か。人類の平均年齢が800才になったら、どんな世界なんだろう?after_zero2.jpg
 「アフターゼロ」というSFショートショート集で、ひっそりと隠れて暮らす「長寿人間」一族の話が出てきます。 1000才まで生きる事ができる人たち。 だけど、いやだからこそ、病気や事故で死ぬのを恐れ、汚染物質の蓄積や外気に触れる事をとことん嫌って、シェルターの様な住居の中で完全隔離された隠遁人生を送っている・・・。 人間の『生』とは何なのか考えさせられる名作です。
 ところで、紀元前の昔には平均寿命は今の半分、戦国時代でも50歳程度でした。その頃の40代と、今の40代では全然感覚はちがったハズです。今なら、モチロン「人生まだまだ!」って思いますよね。という事は、あと720年あると思ったら、80歳でも『人生これから!』って思うでしょうね。実際それだけ生きるのは大変そうだけど、「まだまだ若い!」って思って80年生きるのはなんだか楽しそうです。
サムエル・ウルマン著 『青春とは』 という有名な詩に、
「真の青春とは若き肉体のなかにあるのではなく、若き精神の中にある」
「歳を重ねただけで人は老いない 夢を失ったときはじめて老いる」
「歳月は皮膚にしわをきざむが、情熱を失ったとき精神はしわだらけになる」
こういう一節が出てきます。
この詩は全編若々しいエネルギーに溢れ、読むだけで生きる元気が湧いてくるすばらしいものです。でも一番感動するのは、この詩を書いたのはウルマン氏78歳の時だという事実です。  80歳になっても、「さあ、これから何をしようか!」っていつも思える『若い』老人になりたいですね。
カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2009年01月18日