小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

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さてさて、カクテルの語源とたまご鶏の関係その(3)つづきです。

伝説の闘鶏説

たまご屋さん説

いろんな説があるのですが、その中でもニワトリさんやたまごと絡んだ説がたくさん。 本日はその最も有名なものを。

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◆四角軒説
むかしむかし、アメリカ独立戦争の際

ニューヨークの北、エムスフォードという町に「四角軒」というバーがありました。

そこの女主人、ベッチー・フラナガンさんは

イギリスからの米国独立賛成派。

独立派兵士の応援に、毎晩オリジナルのミックス酒をふるまっていました。

さて、ある日、

ベッチーさんは独立反対派の家に忍び込み、鶏を盗み出しました。

それを調理して、お店で

独立派兵士たちに鶏料理をふるまったんです

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ね。

してやったり、とほくそえみ、

その鶏さんの尾羽を

オリジナルドリンクの杯にチョンと飾っていたのですが、

それを見つけた兵士

「このニワトリの羽、いったいなんだい?」

「かくかくしかじか、アンタ達が食べているチキンは、独立反対派のイギリス野郎のところからチョイと拝借したもんだよ。美味いだろ?」

それを聞いた兵士たち、

「うおー!雄鶏の尾羽!ひゃっほう!!!バンザイ!」

と、大騒ぎ。

そこから、お店のオリジナルミックス酒が

「コックテイル(雄鶏の尾羽)」

と呼ばれるようになったそうな。

——————–

以上、カクテルの語源で最も有名「四角軒説」です。

なかなか面白いですね。

盗んじゃだめだよ! なんて倫理観もありますが、

当時、米国は大英帝国の属州で、かなりの税負担と搾取にあえいでおりました。

「あのやろう!」てな気持ちで

施政側をやりこめるエピソードがやんやともてはやされるのも、無理はない状況だったんですね。

現在この四角軒はもうありませんが、

独立戦争での輝かしい勝利と併せて、痛快な伝説として今もなお語り継がれています。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2016年07月29日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

カクテルの語源は所説ありますが、たまごや鶏さんと絡んだものが多いんですよね。

参照:カクテルの語源は鶏さんと卵なんです(伝説の軍鶏説)

『カクテル』の語源前回のつづきです。

◆その2:ニューオリンズの薬屋説

フランス語で、僕たちのお仕事、「たまご屋(たまご卸業)」のことを、

「コクティエ(coquetier)」

と言うんですね。

 

転じて、たまごを立てる食器「エッグスタンド」の事も、コクティエと呼びます。

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さて、昔むかしの事。ニューオリンズの街にフランス系移民の薬屋さんがおりました。

その薬屋さん、

商売人として目端が利いていたようで、

「元気の出る栄養ドリンク酒を売ってみよう!」

と思いつき、

ブランデーに・砂糖を混ぜたお酒をエッグスタンドに入れて売ったんですね。

これが大評判。

このエッグスタンドと卵から転じて、このオリジナルドリンクが「コクティエ」(たまご屋)と呼ばれるようになったそうです。

これが転じて「カクテル」となったという説です。

(※単にお酒をエッグスタンドに入れて売ったからという説もあります)

うーむ、面白いですね。

新しい商売を始めるコツは、「今やっている事業の強みを活かす」ことがとっても重要と言われます。

たとえば中古車屋さんがレンタカーを始めたり、魚卸さんがお寿司屋を始めたり…。 戦闘機を造っていた「スバル」が車事業を始めたのもそうですね。

“健康”を扱う薬屋さんが、

完全栄養食である卵を使ったオリジナルドリンクを作って販売して大ヒット…

…もともとやっている「商売イメージ」を

最大限利用できて、

知識もつながりもある。

ビジネスの観点から見ると、とっても興味深いですねー。

そういえば、通販で「薬局がすすめるコンドーム」として販売し大人気になっている町の薬局店がある、というお話をコンサル会社の方から聞いたことがあります。 なんとなくカクテルのお話と似てますね。

話は変わりますが、「エッグスタンド」は容量的に『おちょこ』とよく似たサイズになりそうですね。 チョットした一杯を飲むのであれば、日本酒に似てちょうどいい気もします。

いちど、やってみようかな!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2016年07月26日

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こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

毎日暑いですねー。

一杯の冷えたお酒が
美味しい季節です。

さて、
夜のお酒の代表選手といえば、

カクテル

 

このカクテル、

その始まりに
鶏さんまたは「たまご」が
かかわっているって
ご存知ですか?

所説あるのですが、
どれもなかなか面白い説なんです

今回はそのうちの一つをご紹介します!


◆その1:伝説の軍鶏説◆

ある宿屋のお話。

宿のあるじの自慢は、
美人で評判の一人娘
闘鶏で最強無敗の軍鶏でした。

さてある日のこと、
ひょんなことで
この雄鶏が宿から逃げ出し
いなくなってしまいます。

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「自慢のアイツに
逃げられるなんて、
オレはもうダメだ・・・・・・。」

と、気落ちした店主のために娘は、

「あの雄鶏を
捕まえてくれた人と、
私は結婚するわ!」

と宣言しました。

 

果たして
その雄鶏を見つけてきたのは、
村のイケメン好青年。

 

大喜びした店主は、

宿に
あったありったけの
お酒を持ち出してきて、
いろんなお酒を一緒に混ぜて
村人にふるまったのだとか。

それが、カクテル、
すなわち「コック・テイル(鶏の尾羽)」
の始まりとなったそうです。

——————————

うーん、
なかなかステキで
興味深いお話ですね。

でもハナシが
すんなり行き過ぎている気も・・・!?

 

もしこれが短編小説なら、

『もともと好き合っていた娘と青年が、
ガンコ親父の反対を避けるために、
父自慢のニワトリをコッソリ持ち出し
一芝居打った。』

・・・・・・なんてオチが
あっても面白いかもしれません。

また、親父さんも

実はちゃんと見抜いていて、
二人の仲を認めるのと同時に、
皆へのふるまいを装って
新メニュー(カクテル)の
一大プロモーションにしちゃった。

・・なんてのだと、
もっと面白いでしょうか・・・!?

いろいろ想像が膨らみます。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

次回は、カクテルの語源その2 「たまご屋さんが作った編」です。

(関連:たまごの名シーン【映画編】トムクルーズ主演「カクテル」の卵カクテル – たまごのソムリエコラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2016年07月19日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

毎日の食事のお供、マヨネーズ。

新鮮な卵黄とたっぷりのお酢、油からできていまして、肉にも魚にもお野菜にもピッタリの優れものです。

さて、このマヨネーズの発祥

領土争いと絡んで大論争があったのをご存知でしょうか!?

マヨネーズの語源は所説ありますが、

最も有力なものは、地中海にあるミノルカ島マオンという町(現スペイン領)が発祥という説。

時は18世紀半ば。

当時イギリス領だったミノルカ島をフランス軍が攻撃、マオン付近に布陣をしたんですね。その際に指揮をとったリシュリュー公爵が町で食事を求め、コックが作ったのが島名物の新鮮卵とオイル・レモン果汁で作った摩訶不思議なソースの肉料理でした。

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「うまい!」と感動し、フランスに持ち帰ったのがマオンソース、すなわち今のマヨネーズとなったのだそうです。

さて、ここに問題があるんですね。

「だから、マヨネーズはフランス発祥なんだよ。」

・・・・・・と、フランス人は主張しています。

対して、

「いや、そのマオン島ってイギリス領だったじゃん。」

というのが、英国人の主張。

うん。そりゃそうですね。

またまた、

「マオン島はもともとスペイン領だったし、そもそもマオン島の食文化はいちばん近くにあるスペイン由来だ。 似たソースだってある。」

・・・・・・という考えを、スペインっ子は強く持っていたようです。

これもマァその通りっちゃぁそのとおりなんですよねー ^^;

当時のミノルカ島は軍事上、非常に重要な拠点でして、英仏スペインの3国が奪い合いをしていました。

島の領土争いとからんで、

マヨネーズの由来も3国で争われていたんですね。

現在では、「フランスだよね。」 そう考える向きも多いですが、

みなさんは、どうお考えですか!?

遠く離れた地に住む日本人としては、

「そんなに重要かなぁ・・・?」

とも思いますが、マヨネーズが美味しすぎるために、簡単には譲れないところなのかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2016年05月17日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

『卵』って漢字は茹で玉子っぽいし、もともとそこからできた文字なんじゃないの!?」

・・・・・・という思い付きを当ブログで以前挙げさせてもらったことがあります。

(たまごのソムリエコラム:「元旦と元日の違いって?」)

その後、よくよく調べてみたら、まさしくその通りでして、たまごの見た目から「卵」という文字ができたのだということを知って、ちょっとビックリしております。(出典:新漢語林)

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ただし、現代中国ではという字は魚や虫も含む広い意味のたまごを指して、鳥のたまごは「」の字を当てるのが通例です。「蛋」の字の方が虫の字が入ってるのにちょっと不思議ですね。

ついでに「鶏」の漢字はというと、これも「見たまま」を表しているのだそうです。

左の「夫」っぽい部分は「奚」という形だったそうで、糸っぽいところはつなぐ糸(ひも)を表し、下の部分は「飼育する人」をあらわすのだとか。右の「鳥」が飼われているニワトリさんでして、ようするに『昔から人に飼われていたこと』が良く分かる漢字になっているようですねー。

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以前も書きましたが、中国では古来より「犬とニワトリさんは人里の象徴」でもありました。漢字の成り立つ頃からの長い関係、人と鶏さんの歴史にロマンを感じますねー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2016年05月3日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

涼しくなって、スイーツの美味しい時期となってきましたね!

スイーツと卵は切っても切り離せない関係ですが、特に卵が重要なのが、たっぷりの卵をつかう「シュークリーム」

16世紀中ごろに、イタリアより伝わったのが起源とされています。

その際は、ふっわふわの膨らんだシュー外側を作るために、ふんわりパリッと揚げてしまうのが普通のやり方だったそうです。

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作り方の一部を引用すると

(前半略) 卵は生地が充分に柔らかくなるまで入れる。 次に、良く煮溶かしたバターを火にかけ熱する。 生地を銀の匙でウズラほどの大きさにすくい、一度に18-20個ずつバターの中に入れ、網杓子で頻繁にかえしながら、生地にひびが入るまで揚げて、取り出す。(以降略)』(ランスロ・ド・カストー著「料理入門」1604年)

・・・・・・というようなレシピでした。(ちなみに生地もクリームにも、たーっぷりの卵を使用します!)

たっぷりの溶かしたバターで揚げる・・・・・・

空前のバター不足に苦しむ今年の日本からみると、めちゃくちゃ贅沢な気がしますねー^^;

この「揚げシュークリーム」という手法は現代にもしっかりと残っておりまして、なんといっても大きなメリットは、オーブンなどが無くてもできること。 ご家庭で美味しく作られている方も沢山いらっしゃるようです。これは、カレーパンなんかも同じですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:カステラはおかずだった!?-たまごのソムリエ 面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , おいしさ雑学 2015年10月9日