夏目漱石の小説「二百十日」の半熟たまご
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
夏目漱石の小説
「二百十日」に、
『半熟たまご』の
面白いエピソード
が出てきます。
漱石がモデルな主人公が
阿蘇の旅館に泊まった際のこと。
食事で
「半熟たまごにしてくれ。」
…と、宿の女中に頼みます。
ところが女中は
「はんじゅくって何??」
と半熟の意味が
分からないんです。
通じない。
そこで、
「半分だけゆでるんだよ。」
と説明したところ、
女中が4つ卵を持ってきた。
2個は固ゆで
2個は生たまごで・・・
なるほど
半分ゆでてありますね(笑)
この夏目漱石さんの
実体験小説が発表されたのが
1906年。
明治39年で日露戦争の翌々年
ですから、
グローバルな変革が起こりつつも
まだまだ地方では
江戸時代生まれの人も多くいて
文化も色濃く残っている頃です。
「半熟たまごなんて
見たことも聞いたこともない。」
なんてことも
あったわけですね。
東京新宿生まれの夏目先生は
さぞビックリされたでしょう。
◆〇〇が必須なトロトロ半熟卵
実は、とろ~り半熟たまごって
少なくとも江戸の昔には
ちょっと難しい料理
でした。
それは、
時間がはかれないから。
ある程度正確な時計がないと
半熟たまごを作るのって
かなり難しいのです。
試しに
タイマーなしで
たまごを茹でてみれば
分かります。
かたゆで卵なら
「大体もう十分だろう。」
と思えるくらい
長めに時間をかければ
さほど難しくありません。
ですが、半熟は・・・
6分半、7分、7分半と茹でてみても
たった30秒ずつの差で
驚くくらい違うとろみ半熟具合の
ゆでたまごになっちゃいます。
これを時計無しで・・・
かまどの薪でゆでるのは
難易度高いですよね~。
ですので
『半熟たまご』が広く普及したのは
精密な時計が各家庭に普及
し始めてから
どこでも作れてたわけじゃ
ないんです。
明治時代、
地方の女中さんが
半熟たまごを知らなくても
ムリはないかもしれませんね。
ちなみにこの「二百十日」ではほかに
「ビール頂戴!」
「びいるはありません。
恵比寿ならございます。」
と女中さんが
エビスビールを
出してくれる
という
面白かんちがいエピソード
も載ってまして、
食文化の浸透の観点で
かなり興味深いです。
検索すると青空文庫で
フリーで読めますので、
ご興味の方はぜひごらんになってみてください。
2人の掛け合いが楽しい、
会話文主体なので読みやすいです。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。