川の水をくみ、自分でゆでたまごを茹でていたフランス王
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
卵と偉人のエピソード第四弾です。
王様、というと着替えから何からまわりの従者が全てやってくれるイメージがありますが、中にはそうでない方もいらっしゃいます。
その方は、フランス国王アンリ4世。
ブルボン王朝初代の国王で、フランスで最も人気の高い王様のひとりです。 宗教戦争を終結させ、内戦で疲弊した経済をたてなおし国民生活の向上につとめたほか、悲惨な戦争を防ぐための“国連軍構想”を立てるなど非常に有能な王様でした。
しかし、敵も多かったためか、たびたび命の危険にさらされていまして、生涯でナント!17回もの暗殺未遂で殺されかけています。
そんな毎日ですから、食べるものにも極端に気を使わなくてはなりません。
漫画『ゴルゴ13』では、主人公デューク東郷さんは毒殺対策から「封を切ってない酒しか飲まない」という習慣を持っていました。
アンリ4世も同じように考えまして、「カラの割れていない卵なら、毒は入れられないだろう。」と、毎日川で水を汲み自分で茹でたまごをゆでて食べていたんですね。
王宮から川へ、毎日です。
国王なのに。
まァ、このアンリさん、非常に気さくな方でして町民にも気軽に声をかけて会話に混じっていたそうで、あんがい“庶民の自炊生活”も楽しんでやっていたのかもしれません。
◆平和の訪れが食文化をつくりだす◆
アンリ4世の治世、1600年代前半は、庶民の食文化が発展した期間でもあります。 アンリさんは「日曜日にプール・オ・ポ(鶏の煮込み)にありつけない農民を無くしたい。」と宣言していました。 この『鶏の煮込み(プール・オ・ポ)』は当時の食文化のだ大発明だったんですね。 新たに食べられるようになったホウレン草、カブなどの野菜と共に、シンプルでありながら栄養と滋味を残さず摂取できる新メニューでした。
貧しさを無くす!
この想いのこもった鶏の煮込みが、後の「シチュー」と呼ばれる料理へとつながるんですね。
さて、
こういった細やかな気配りもあって、アンリさんは「良王アンリ」なんていうアダ名まで付けられる人気っぷりでした。
しかし、
国民の生活、
自分の安全、
そこまで気を配っていても、最後は馬車に乗り込むところを反対派に刺し殺されてしまうんですね。
うーん。
寒い時期になってまいりましたが、美味しいシチューが食べられるのも、このアンリさんのおかげなんだなー。としみじみ感じます。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
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