伝説の横綱、双葉山と木彫りの鶏
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごと偉人のエピソード第8弾、
今回は卵ではなくて鶏さんとのエピソード、昭和の名力士、双葉山のお話を。
前人未踏の69連勝、比肩するものなしと言われる双葉山が、生涯心に刻んだ故事があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その昔、中国の王が闘鶏使いの名人に鶏を預けました。
10日たったときに、
「もういいか?」と尋ねましたが、
名人いわく
「まだ空いばりばかりで使えませぬ。」
さらに10日後にたずねると、
「まだダメです。相手の声や姿に興奮しております。」
またまた10日後にたずねると、
「まだですね。敵を見ると、なにをこやつがと見下すところがあります。」
さらにさらに10日後。やっと名人のOKが出ました。
「まあよろしいでしょう。他の鶏が鳴いても少しも動じることがありません。ちょっと見ると木鶏のようです。 徳が充実しています。 天下無敵です。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
双葉山は、若いころにこの話を聴き、
この“木鶏”という言葉を額に飾り、
朝に晩に静座して心に刻んだのだとか。
その結果としての、69連勝という大記録が生まれたんですね。
自分自身の精進として、
「いったい何日目の鶏なんだろうか?」とつねに問いかける。
誰にでも共通する、
大事な考え方ではないでしょうか。
ちなみに日本大百科全書によると、日本の“闘鶏勝負”は『土俵上で行い、勝負は戦意を失ってうずくまるか、3回以上土俵の外に飛び出したほうを負けとする。』とあります。
まさに相撲を彷彿とさせる勝負で、
こういった面からも
双葉山は闘鶏のエピソードに強く感じるものがあったのかもしれません。
ちなみにこばやしはこの「木鶏」エピソードを、
中学生の時に『ああ、播磨灘』という相撲マンガで読んで知りました。
大人になり、陽明学者「安岡正篤」さんの本を読んで
ふたたびこのエピソードに触れ、
「あ、この話は・・・!」と思い出したんですね。
この安岡氏が双葉山に伝えたお話だと知って、驚いた次第です。
ちなみに双葉山は、69連勝でストップした際に安岡氏に「いまだ木鶏たりえず」という電報を打っています。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
※この木鶏のお話、出典は中国古典の『荘子』