納涼!?たまごのチョット怖い伝説【周の武帝】
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
夏限定!たまご・鶏さんのちょっと怖い伝説、第5弾です。
今昔物語9巻に載っているお話。
中国の昔、
北周という国の第3代皇帝、武帝という方がおりました。
この方、とっても鶏卵が大好きで、毎食大量のたまごを食べていました。
さて、武帝が死んだのち、
彼は卵を食べた“殺生”の咎で地獄へ落ち、
責めを受けました。
『極卒の牛頭が鉄の床に伏せた武帝を両側からギュウギュウ押す。
すると武帝の両脇が裂けそこから血の代わりにたくさんの「たまご」が出て来て武帝の体のそばに積み重なった。』
のだそうです。
うーん、これは怖い…!
…のかなぁ…!?
まぁちょっとシュールな光景であることは確かですね。
これは「今まで食べてきたたまごが体から押し出される」、という責め苦でしょうか?
私は卵屋ですから、毎日たまごをたくさん食べ続けているんですよね。
うーむ。
地獄で責められたら沢山たまごが出そうだなぁ。
息子はカマンベールチーズが大好物なんですが、死んだらチーズが出るのかな…^^;
◆仏教からの復讐…!?
さて、以前も書きましたが、そもそも仏教では「たまごを食べる」ことは殺生として禁じられていたんですね。
日本でも、平安時代に書かれた仏教伝来のための書「日本霊異記」や鎌倉時代のエピソード集「沙石集」で、卵や魚を食べてバチがあたる人の逸話が書かれています。
(関連:【納涼】たまご・にわとりの怖い伝説 その2 – たまごのソムリエコラム)
(関連:【納涼】たまご・にわとりのちょっと怖い伝説 その1 – たまごのソムリエコラム)
じっさい、日本では仏教伝来後の平安時代から、欧州文化が入ってくる1600年代まで、800年近くのあいだ、卵を食べる文化がピタッと無くなっちゃっていました。
そして、この武帝さん、仏教的にはめっちゃ恨みを買っている方でもあります。
じつは、中国に仏教が伝来してから、国家権力を大動員して仏教迫害をした4人の皇帝の一人なんですね。
文武百官を集め「道教・仏教・儒教」3教の優劣を論じさせ、仏教と道教を廃止させた、という『宗教生き残りバトル(?)』をやったエピソードが有名です(周武の法難・574年)
「武帝さんが地獄に落ちて責め苦を受ける」というお話は、後の仏教徒が「あのヤロウめ!」…という感覚でもって語り継いだんじゃないかと思います。
してみると上の「たまご伝説」は、
「卵を食べたから罰せられた。」じゃなくって、
「武帝さんが罰せられることありき」で卵がその恰好の理由に選ばれたようにも感じますねー。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。