常識にとらわれるな!大建築家ブルネレスキの卵
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごと偉人のエピソード第19段
今回はルネサンス期の彫刻家であり建築家フィリッポ・ブルネレスキさん。
とにかく聡明で発想豊かな方で次々と建築の新技法を編み出し、
イタリアのフィレンツェを代表する建築物サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を設計した人として有名です。
この大聖堂、プルネレスキさんの考案した技術により「現存する世界最大の石積みドーム建築」として世界中の人から愛でられております。
さて、このプルネレスキさんの逸話です。
フィレンツェ市が、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を建てる事になった際。
「フィレンツェの新しい顔になる建物にするぞ。」という大きな期待もあり、広く建築家を募集しました。
特に、中心となるクーポラ(ドーム屋根)。
コレの大きなものを作ろうとすると、とっても難しい。
いろんな建築家が案を出しましたが、どれも下から支える枠や土台にすごく費用と手間のかかる案ばかり・・・。
そんな中、ブルネレスキさんは「いっさい仮枠や足場は必要ない。そんなもの無くても建てられるよ。」と、直接出向いて話をしました。
「バカなやつだな。その“方法”の図面すらないじゃないか。方法も言わないヤツの案なんか採用するもんか。いや、そもそもできっこないだろう。」
周囲の嘲笑の中、ブルネレスキさんは、
「じゃぁ、大理石の上に卵を立てられますか?皆さん。支えが無くても平らな大理石にまっすぐ立つなら、大聖堂のドームだって枠なんか無くても建てられます。」
皆がやってみますが、ツルツルコロコロと転がって、卵を立てることができません。
「できるもんか。じゃあどうやるのか見せてみろ!」
そんな中でブルネレスキさん、卵のお尻をコツン!と割って平らにして、それから卵を立てました。
「なんだそりゃ(笑)そんなの知ってりゃ俺たちだってできるわい!」
との返答に対して、
「その通り。気づいたら誰でもできる、でもいちばん始めは難しいですよね。大聖堂だって、もしボクの図面を見せたら『誰でもできる』って言うでしょう? だから図面は見せません。でも僕の方法は無理じゃない。ゼッタイ素晴らしい大聖堂のドームができます。」
そのプレゼンで、みごとブルネレスキさんは大聖堂ドームの建築を任される事となったのです。
めでたしめでたし。
ん・・・・・・?
なんか、このお話って聴いた事あるぞ・・・・・・!?
…と思った方、そのとおり。
これ、「コロンブスの卵」のエピソードと瓜二つなのです。
念のため説明しますと、コロンブスの卵とは、
『アメリカ大陸発見後のパーティで「あんなもの西へどんどん行きゃ誰でも見つけられるさ。」と揶揄されたコロンブスさん、「この卵をテーブルに立てられるかい?」と投げ返し、誰もできなかったのを見た後に、たまごのお尻をつぶして立てました。「知ってたら誰でも行ける」…というのはこの卵立てとおんなじさ。』
というお話。
確認するとブルネレスキさんの逸話の方が15年ばかり早い。コロンブスさんのエピソードは後世の演出で、どうも元ネタなのはブルネレスキさんの方のようです。
うーん、それでもコロンブスさんの話の方がが有名になっちゃったのは、やっぱり「大陸発見」と「建築」とのインパクトの差でしょうかね…。
ともあれ、ブルネレスキさんは建築のみならず彫刻や金細工、絵画など他の芸術面でも活躍をしておりまして、
例えば、今では常識となっている「遠近法」という表現技術も考案しています。
遠近法、つまり
「遠くのものは小さく、近くの物は大きい」
という考え方。
現代では当たり前ですが、「モノの大きさが変わったりするわけないじゃん。」という当時の常識にとらわれていては、なかなか気づかない発想とも言えます。
遠近を考えた表現作品を見た瞬間に「ああ!そりゃそうだよなぁ。」と皆が実感できる。
これもまさにコロンブスの・・・いやいやブルネレスキの卵ですね。
これまでに無かった視点での発想
それを実現するアイデア
そして周囲を納得させる説得力
もしブルネレスキさんが現代に生まれていたら、スティーブジョブズやビルゲイツばりの大実業家になっていたかもしれませんね。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。