こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
本日は、鶏さんとベーコンについて。
・・・と言っても料理の話ではありません。
イギリスを代表するエリザベス朝時代の哲学者、フランシス・ベーコンさんと鶏さんのエピソードです。
ベーコンさんは哲学だけでなく、数学・論理学・法学・神学、あらゆる面で深い研究成果を残したスゴイ方。
あまりの多方面にわたる博識ぶりから、同時代の謎多き人物「シェイクスピア」と同一人物ではないかとも疑われているほどです。
学問的には「帰納法」を提唱した人で、「知識は力なり」“Ipsa scientia potestas est”という言葉が有名です。
このベーコンさん、実は鶏の腹に雪を詰め込んで保存する実験中に風邪をひいて死亡しているんですね。
天才学者の残念な死ですが、はてさて、なぜそんな実験をしていたんでしょうか?
◆惜しい家畜だった鶏さん
ニワトリさんは小さく飼育しやすい動物なのですが、実はその反面「鶏肉」はとっても保存しにくい畜肉なんですね。
一般的に、動物の肉は内蔵から痛みます。 内臓に多数の「常在菌」を持ってるからです。 なので、体がちっちゃくて内蔵の割合が多いニワトリさんはすぐに腐っちゃうので、たとえ大量に飼育生産したとしてもそれを遠くまで持っていくことができませんでした。
ですから、内蔵から遠い肉部位が多い、牛・豚・ヒツジが食肉として広く普及したわけです。
紀元前から広く飼われ旧約聖書やコーランでも記される牛・豚・羊と異なり、大量飼育された鶏肉が多くの家庭の食卓に上るようになったのは、なんと冷蔵技術が発達した19世紀後半。たった150年前。 牛豚羊より数千年遅れての一般普及になるんですね!
さて、ベーコンさんの実験は、要するに長年の難題であった「鶏肉の保存性」をなんとかしたいという研究だったようです。(※たまごは肉と比べ「保存しやすい」食材として重宝されていました)
けっきょく彼の死から二世紀半たってようやく鶏さんの大規模飼育が始まるのですが、わずか150年間で鶏さんは110億羽!にまで増え、畜産動物としてぶっちぎりのナンバーワンに輝いているんですねー。
ベーコンさんが生きていれば、また全然違った食の歴史になっていたかもしれませんね。
「ワシの考えはやはり間違ってなかったぞい。」
ベーコンさんもそんな風に天国で言ってるかもしれません。(^^)
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。