こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
分子調理学の第一人者、石川伸一さんが
著書ですごくおもしろいことを言ってまして、
「たまご料理の多彩さの理由は
たまご自体が
おいしすぎないこと
です。」
美味しすぎないからイイ・・
これってなかなか聞かないフレーズです。
どういうことでしょう?
◆『旨味』が足りてない卵
おいしさの成分、うまみ成分には
グルタミン酸やイノシン酸がありますが、
実はこれらはある一定量以上ないと
「あ!おいしい。」
と旨味を感じないんです。
閾値(いきち)って言いまして、
この量を超えないと「おいしい」に
ならないんです。
で、ですね。
たまごには
うまみ成分があるんですが、
卵黄にも卵白にも、
単独で「おいしい!」と感じる
閾値(いきち)に、
うまみ成分量が
足りてないんです。
肉や魚のばあいは
単独で超えるものが多い。
えー!
うまみが足りない・・・
じゃあ食材としてダメなの・・?
・・かというと、
そうじゃありません。
足りないからこそ、
たまごは醤油やだしなど
他の旨味とのコラボで
おいしくなる。
『他の食材との組み合わせで
うまみが補充され、
たまごがもともと持っていた
潜在的なおいしさも増強されて
味に奥行きが生まれます。』
と石川教授もおっしゃってます。
なるほど・・!
これ、
すっご~く興味深いお話しなんです。
2つ観点があって、
まず、
『たまごの美味しさ』は
組み合わせでこそ花開く
ということ。
そして、もう一つは、
『たまごの美味しさ』は
「味」以外の要素が大きい
ということ。
つまり、
うまみ成分の量だけが
たまごの美味しさとして
重要なんじゃなくて
舌のなめらかなとろみ食感
焼き上げた香り、
料理の色どりの鮮やかさなど
『総合力』で
大きな魅力を出している
ということですね。
これはどの食材より
ハッキリしてます。
親子丼を想像してもらえれば
分かりやすいんですが、
『旨味』はダシとの組み合わせ
『食感』はとろとろ半熟加熱で
滑らかさとフルっとした口当たりの
ハーモニーに
『色味』は食欲をそそる
あざやかな黄色
・・・と、
どれも卵がないと
できない魅力ですよね~。
◆おいしさの「分解」をして活用を!
ですので、
「いいたまごを使って
美味しいメニューを。」
・・・とあなたのお店で検討するなら、
その『おいしさ』で重視するのは
色味なのか食感なのか、
味なのか香りなのか
それによって
メニューでつかうべき
最もベストなたまごが
変わってきます。
時には
コストダウンになる事も
ありますので、
ぜひ考えてみてくださいませ~。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。
(参照:料理と科学のおいしい出会い 分子調理が食の常識を変える・石川伸一)