「卵色」ってどんな風景!?
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
北原白秋の「水郷柳河」という小説に、『青い股引をつけた櫨(はじ)の実取りの男が 静かに暮れてゆく卵いろの梢を眺めては無言で手を動かしている』
という一文がありました。
“卵色の梢”ってナンでしょう・・・・・・!?
梢は木の枝の先っちょです。
“卵色”とは、江戸時代からある伝統的な色のこと。
“卵の黄身”を表わした色とされます。
ですから、『静かに暮れてゆく卵色の梢』とは、夕日がかげり、まるで卵の淡い黄味のようにうっすらと赤く染まっていく様子を表わしたものなんですね。
うーん、ステキな表現だなァ^^
ちなみにこの『卵色』、カラーの定義ではこんな色ですね↓
アレ?「黄身の色」って言うわりにはなんだか薄くってあまり黄色くないし、チョットちがうんじゃないの??
と思われた方、そのとおりです。
それは、ニワトリさんが食べている飼料が、今と違うから。
たまごの黄身は、食べた飼料の色によって左右されます。
トウモロコシなどの黄色い飼料を食べると、黄身はより黄色くなり、ニンジンやパプリカなどの赤っぽい飼料を食べるとより赤味が強くなります。
ちなみに“水溶性の栄養色素”を食べても黄身の色は変わりませんので、たとえば緑の水溶性色素である「クロロフィル」を含むホウレン草やキャベツを食べても『たまごの黄身が緑になっちゃった!』なんてことは起こりません。
トウモロコシが日本に入ったのは室町時代後期ですが、本格的に普及したのは明治になってから。
江戸時代には米や麦・あわ・きびなど、いわゆる“五穀”中心の飼料で育てましたから、こういったちょっと淡い色の黄身になっていたんですねー。
ぜひ淡い夕日に照らされた街並みを見られた際には、「これが卵色かー・・・。」と風情を楽しんでくださいましたら幸いです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。