ときどきお客様に、
「卵アレルギーでも食べられるたまごって無いの?」
とお問い合わせをいただきます。
結論から言うと、
「現状では存在しない」
ただし将来は可能性大いにあります。
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
ワクチン研究と卵の関係について
お話しました。
当初のウィルス・ワクチン研究に
鶏卵がとても役立ったこと
そして現在のワクチン培養に
鶏卵が大いに使われている、
そんなお話でした。
ただ…
1つ問題なのが卵アレルギー。
卵にアレルギー反応を示す人は
鶏卵で作ったワクチンを打てない
んですね。
今回のコロナ禍では、
アレルギー対策のメリットがあり
短期間で大量生成できる手法として、
『mRNAワクチン』と言う
ふつうの風邪ウィルスに
コロナウィルスの遺伝子を
組み込んでつくる方法も
用いられています。
ただ、
この手法はコロナ禍で
緊急的に用いられた生産方法なので
まだもう少し研究が必要でして、
鶏卵によるワクチン培養が
主であることは変わりありません。
そこで「医療用たまご」として
遺伝子改良などの技術を用いた
「卵アレルギーを発症しない鶏卵」
の開発が進んでいます。
◆アレルギーフリーの食用たまごが近い将来スーパーで買える!?
「健康な飼い方、良い飼料で育てたりで
なんとかならないの?」
なんて思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、それは不可能なんです。
アレルギー反応を示す
卵のタンパク質は、なんと
全たまご中の65%もあります。
6割強ものたんぱくが、
「自然で健康に育てる」
「飼料をこだわる」
なんて方法だけでは
別の性質に入れ替わったりは
しないんですね。
つまり、現状は
飼育の工夫だけでは
「アレルギーにならない卵」は
100%不可能です。
ですが、
新たな育種・新種の研究の中で
医療ワクチン用の鶏卵から
将来は食用の鶏卵へ、
アレルギーの方でも大丈夫な
たまごもできつつあります。
日本の大学でも研究がありますし、
オーストラリアのディーキン大学と
国立科学研究機構の共同研究など
国を挙げての研究も進んでおり、
じっさいに低刺激性の鶏卵が
試作段階ですが、生まれています。
まずは「ワクチン製造への利用」へ、
「医療用の特別な鶏卵」として世に出てきて
いずれスーパーに並ぶ日は
そう遠くないかもしれません。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。