こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
「仮想水(バーチャルウォーター)」という考え方をご存知でしょうか?
ある食物について「それを作るのにどれくらい新鮮な水が必用なのか?」で表わしたものです。
米国グレース・コミュニケーションズ財団の発表によると、『世界の水消費量の内70%は農業用として使われ、また新鮮な水の需要は年に一兆リットルずつ増加している。』のだそうです。
グレース財団は調査報告書の中で「食品に必要な水についてもっと考えるべきだ。」と警告しています。
報告書によると、
一個の卵を手に入れるためには、なんと!
200リットルの水が使われます。
「えー!ニワトリさんはそんなに水飲まないでしょ?」
……と、思われるでしょう。
もちろんその通りなのですが、鶏サンが毎日食べている飼料。小麦やトウモロコシ、大豆、これらを作る為に畑で水を使います。これも計算に入ります。
また、ヒヨコに孵ってから卵を産み始めるまでに必要な飲み水と飼料、さらに工場での洗卵選別でつかう“洗浄水”だって必要です。
これらすべてを換算すると、卵一個あたり水200リットルを使っているわけです。
そう考えると、非常に贅沢な食べ物なんですねー。
ちなみに他の食品だと、こうなります↓
・ピザ一切れ= 159リットル
小麦で68リットル、チーズで80リットル、ソースで11リットルの水が必用です。チーズは牛さんが食べる飼料につかう水がスゴイんですね。 調査ではチーズの量によって各国ピザの「仮想水量」が違ってきまして、フランスのピザは水量約半分くらい、中国はこの数字よりやや大きいのだとか。
・レタス= 114リットル
なかなかの量ですが、一般的に野菜は動物性食品と比べるとはるかに少ない水の量ですみます。 「水を大切に」という発想からすると、ベジタリアンの方はかなり地球に優しいんですねー。
・パン= 1090リットル
うおお・・、1トンもの水がパンひとつに必要とは……!ビックリです。 小麦は育てるのにすっごくたくさんの水を使うんですね。世界の小麦生産トータルすると、全ての作物の15%もの水を小麦だけで使っている計算になります。
・チョコレート= 1200リットル
チョコ1ポンド(0.45kg)あたりの調査結果です。板チョコ1枚(約65g)で水173リットル! これまたスゴイですねー。
思想家レスター・ブラウン氏は「21世紀は、キレイな水を石油に代わる戦略物資として、奪い合う世紀になるだろう。」と予言しています。
いっとき日本でも、外国の資産家が水源地を買い占めているというニュースが話題になりました。 他人事じゃないんですねー。
徳島県は全国有数の水量を誇る吉野川があり、我々もその源流の地下水を汲み上げたものをニワトリさんに飲んでもらっています。
水がふんだんにある日本ではあまりピンときにくいですが、限りある自然の恵みを大切に使うという観点で、水に触れていかなくてはいけないですね。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
(関連:水と地球のビックリ写真!【鶏サンと水の関係】 – たまごのソムリエ日記)
(参照:“It takes 53 gallons of water to produce a single egg”http://qz.com/171698/it-takes-53-gallons-of-water-to-produce-a-single-egg/)