こんにちは!たまごのソムリエ・小林ゴールドエッグのこばやしです。
本日は、
「たまご屋が一晩寝て起きると、不思議なことに保管している卵が減っている。」
・・・・・・というお話をします。(※ドロボウとか猫が捕っていく訳じゃないですよ)
たまごの殻には、「気孔」と呼ばれる小さな穴が開いています。 ミクロの微細な穴で、約一万個!も開いているんですね。
卵は「生き物」でして、この気孔から「呼吸」をしています。 産みたての卵は内部に炭酸ガスを含んでおりまして、産卵後3日ほどかけて徐々にこのガスが抜けていきます。
ちなみに産みたて卵の「茹で玉子」が剥きにくいのは、この炭酸ガスのせい。
この気孔からは、炭酸ガスだけなじゃくてほかにも抜けていくものがあります。それは、「水分」。
少しずつ少しずつこの小さな穴(気孔)から水分が外へ蒸散していくんですね。
かなり古い卵を使って茹で玉子を作ると・・・ホラ! この右図のようになります。 水分が蒸発して卵の空気部分が広がり、まるでおシリをスパッと切り落としたようになっちゃってます。
もちろん、産みたてから一週間やそこらでは、ほとんど変わりません。 蒸発して水分が「数ミリグラム減ってる!」・・・・・・なんて食べて気づける人はいませんよね。
・・・・・・が、何万個、何十万個単位になるとハナシは別なんです。
たまご屋さんならば、一日に数十トン単位で卵を扱う会社はザラにあります。 仮に10トンの卵を明朝出荷予定で一晩保管したとします。 1000分の一、つまり0.1%0.006gの水分がそれぞれの卵殻内から蒸散したとすると、単純計算で10kg、約160個のタマゴが一晩で蒸発して無くなっちゃったことに・・・!
ワインやウィスキーの熟成中に樽から水分が蒸発して中身が減ってしまうことを「天使の分け前」なんて言うそうですが、卵の場合はお酒と違い熟成して美味しくなるわけじゃァございません。 むしろ鮮度も下がってマイナスです。 とにかくスピードを上げて新鮮なウチにお客様の冷蔵庫まで届いてしまう事・・・、それが、味だけじゃなく「ささやかな儲け」の面からもメリットになるということなんですね。(^^;)
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
(写真参照:改訂増補タマゴの知識(幸書房))