今週のヤングジャンプに、『イグ・ノーベル賞を作った男/マーク・エイブラハムズ』(栄光なき天才たちシリーズ)という読みきりが載っています。
イグ・ノーベル賞とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞で、ノーベル賞のパロディ的な賞です。
大真面目にやっている研究でも、ハタから見るととっても面白く感じられるものがたくさんあります。 そんな研究を賞賛(?)しているわけですね。 べつに世の中に貢献してなくても受賞できます。
◆どんな人が受賞?
受賞者も、大学の研究機関から、あやしげな民間発明家まで、多岐に渡っています。
たとえば、昨年のイグ・ノーベル 平和賞は、
ステファン・ボーリガー他(スイス・ベルン大学)の研究
『ビールのいっぱい入った瓶と空の瓶のどちらが頭を叩き潰しやすいか、実験により示したこと』
に対して贈られています。
これ、大学の正式研究ですから、強度グラフなど精緻なデータをとって、大真面目に学会で報告しているわけですね。
◆たまごのイグ・ノーベル受賞おもしろ研究
この賞は1991年から始まったのですが、卵そしてニワトリについてのいくつかの研究に対しても賞がおくられています。 それも、すんごい研究。
○物理学賞 ルイ・ケルヴラン
『鶏卵の殻中のカルシウムは(生体内の)常温核融合過程によってつくられる、という彼の結論に対して。』(94年)
ニワトリさん、核融合で卵作ってたんですか・・・。スゴすぎです。(^^;)
○消費者工学賞 ロン・ポピール
『「殻の中で卵を混ぜるもの」などの装置によって、産業革命を再定義したことに対して。』(93年)
たまごの中身が、産業革命と関係しているとは・・!
○気象学賞 バーナード・ヴォネガット(ニューヨーク州立大学オールバニー校)
『論文「ニワトリの羽がちぎれる現象を指標とした、竜巻中の風速の概算方法」に対して。』
風力計とかでいいじゃん!?ニワトリさん、大変すぎ。
○境界領域研究賞 ステファノ・ギルランダ他(ストックホルム大学)
『論文「ニワトリはどちらかというと美人を好む」に対して。』 (03年)
うーん、ニワトリさんは面食いなんですね。 知らんかった。鶏舎にグラビア写真とかを貼ったら、もっと元気出るかな!?
◆科学を楽しむことの大切さ
個人的に、このイグ・ノーベル賞の意義は、やはり「楽しんで学ぶこと」だと思っています。
今、国立大学は独立採算制に移行しています。「役に立つこと、世の中へ貢献すること」をより強く求められているわけです。
でも、学問って、そればっかじゃないですよね?
「なるほど!」と思ったときのあの興奮。
「ちょっと試してみるか!」と思い立ったときの、あのワクワク。
「知りたいから調べる」
これだって、りっぱな学ぶ動機です。
むしろ学問としては、「役立つこと」を意識するほうが不純なのかもしれません。
知的好奇心は、人間の特権です。
もっとも、「美人だって見分ける」くらいですから、ニワトリさんも人知れず考察し、知的探求しているのかもしれませんが・・・。