小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの名シーン【映画・漫画編】 記事一覧

redeye1.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごが出てくる映画の名シーンご紹介、第7弾です。

今回はトムクルーズ主演のヒット映画「カクテル」。1988年公開です。日本公開は翌年ですが、あまりのカッコ良さに公開直後バーテンダー養成学校への申込が殺到したという逸話があるくらいです。

redeye0.jpg

エリートビジネスマンを目指してニューヨークに上京したブライアン(トムクルーズ)、大学を出ていないことから雇ってくれる企業はなく、ひょんなことからバーテンダーの道を目指すことに・・・・・・。

師匠であるダグラス(ブライアン・ブラウン)との息の合った『フレアバーテンディング』に一見の価値あり!とにかくカッコイイ映画です。

さて、ダグラスと初めて出会うシーン(上の動画にあります)に、なんと!

たまご入りのカクテル「レッドアイ」が出てくるんですね。

レッドアイというと日本でもメジャーになっているカクテルで、「ビールをトマトジュースで割ったお酒」という認識がほとんどかと思いますが、実はすーこし違います。

映画中ではダグが「こいつはバーテンダーの朝食だ。」と言っていますが、

ビールをトマトジュースで割り、スパイスと共に生卵を割り込んで一気に飲む、もともとは朝の栄養ドリンク的飲み物なんですね。(迎え酒専用という説も!?)

redeye34.jpg

生たまごは混ぜずにそのまま!で飲みます。

赤い液体のなかに黄味がうっすらと“目”のように見えることから「レッドアイ」と呼ばれるようになったのだとか。

うーん。なかなかインパクトがありますねェー。

redeye2.jpg

トムクルーズふんするブライアンも作中でこの飲み物を勧められて、「うへーッ、マジかよ!?」みたいな表情になっています。

 

◆意外と多い!?、生卵を使ったカクテル◆
生たまごを混ぜずにそのまま、というのは極端ですが、カクテルには卵黄・卵白をつかったレシピはたくさんあります。

黄味でまろやかさを出すラム酒ベースの「インディアンサマー」

卵白で雪のようにふわっとした食感がたのしめるジンカクテル「カフェ・ド・パリ」なんかも有名ですね。

日本にも「たまご酒」の文化はありますが、ことお酒に関しては西洋の方が種類も多く洗練されているイメージですね。

面白いことにカクテルは、西洋の数少ない「伝統ある生卵料理」でもあります。

生食対策としての考えも読み取れて、卵の視点から見ると大変興味深いです^^

ぜひこの映画「カクテル」でも、カッコイイお酒文化に触れてみるのはいかがでしょうか!?

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:たまごのソムリエ日記 - たまごの名シーン【映画編】の一覧)

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

先日「しあわせごはん」という漫画を見ていたところ、「たまごかけご飯を食べようと思ったら、双子のたまごだった!」という、ほのぼのシーンがありました。

shiawase_hutago1.jpg

これを見た主人公は、やった!ラッキー!!と満面の笑みを浮かべます。

shiawase_hutago2.jpg

この喜びよう、皆さんも「そうそう!」という感想を持たれるのではないでしょうか?

このような「黄身2つ」のたまごを『二黄卵(におうらん)』と言います。 喜んでくれる方が多くいるのは知っているのですが、我々たまご屋はこの「二黄卵」を“規格外”として検査の際に商品から除外してしまいます。

この事を人に話すと、きまって

『えー!なんで取っちゃうの!?双子がうれしいのに!』

……と残念そうな顔をされるんですね。

 

◆クレームにつながるケースがある・・・・・・?
なぜ手間をかけてチェックし、除去しちゃうのかといいますと、いくつかの理由があります。

ひとつには、一個の『黄身と白身の割合』が変わっちゃう事で、目的の料理に使いにくくなることがあるから。 ケーキなんかだと分量が変わっちゃいますから大変です。 また、「双子なんて普通じゃない卵なのでは・・・!?」という不信感、つまり“安全性”に関する不安をもたれることを防ぐため、という目的もあります。 もちろん安全です

また、生産上、トンデモない事が起こっちゃう可能性もあるんですね↓

 

◆ひとパック全て双子の卵になることも・・・!?
ふたご卵ができるメカニズムは、「小さい卵同士がくっついてひとつの卵になっちゃう」から。 なので、小さい卵を多く産む若鶏のたまごでたくさんできちゃいます。

hutago_shikumi.jpg

したがって、「若鶏さんのたまご」をサイズ別に選別すると、やや大き目のLサイズが1パックぜーんぶ二黄卵だ!」・・・・・・なんて事態も起こり得るんですね。下の動画がちょうどそんなカンジです。

動画:なんと!29連続ふたご卵だった!

そうなると、さすがにお客さんもビックリしちゃいます。

これも、双子たまごを除外しちゃう理由のひとつです。

ですので、もし!ふたごの卵が入っていたら、それは我々の選別チェックをすり抜けちゃった卵なんですね。

「めったにないことだ!」

と喜んでくださるのはとてもありがたいのですが、チェックもれですので、申し訳ない気持ちもあるんですよねー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

mr_lonely1.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ、小林ゴールドエッグのこばやしです。

たまごが出てくる映画の名シーンご紹介、第6弾です。今回はミスターロンリー。2007年作の英・仏・米合作映画です。

mr_lonely2.jpg

舞台はパリ。主人公“マイケル”は生活のすべてをマイケルジャクソンになりきって生きるモノマネ大道芸人。 ある日、マリリンモンローのソックリ芸人“マリリン”と出会い、彼女に惹かれていきます。そして『誰かになりきることでしか生きられない芸人』たちの理想郷・コミュニティに足を踏み入れることに……。

チャップリンにジェームス・ディーン、リンカーン大統領など、アノ有名人たち(偽者ですが)が集まって大騒ぎする様子はかなりシュールで面白く、そして幻想的でもあります。有名人を模すことで生きる彼らの楽しみや悲哀と葛藤、そして恋心にしみじみする映画です。

◆たまごに重なる歌が思わずジーンとくる名シーン!
物語後半に主人公マイケルが、みんなの似顔絵を描いた卵一人部屋で見つめ、その卵達が歌いだすシーンがあるんです。この切ない歌がまた良いんですよねー!Iris DeMentさんの“ My Life”という歌です。

映画好きとしてもたまご屋としても、すごく印象に残るシーンでした。

映画自体は、全く絡まない2つのストーリーが平行していたり、ちょっと難解な内容ですが、“映像”として非常に楽しく印象的な映画です。 ぜひ機会があればごらんくださいませ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:たまごのソムリエ日記 - たまごの名シーン【映画編】の一覧)

kre_kure2.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ、小林ゴールドエッグのこばやしです。

たまごが出てくる、映画の名シーンご紹介、第4弾です。

今回は名作「クレイマー・クレイマー」。

kre_kure1.jpg

舞台はニューヨーク。 仕事人間で家庭も育児もサッパリ手伝わないテッド・クレイマー。 家庭だけじゃなく、自分も打ち込める仕事に就きたい!と望む妻に対して、「別に生活に困ってないんだし、いいじゃないか。」と取りあいません。

ある日、5歳の息子ビリーを残して妻が出て行ってしまった事から、それまで全くやったことのない食事づくりから学校の送り迎え、父子の二人きりの生活がスタートすることに。

失敗を重ねながらも親子の絆を深める2人、それにつれて段々としうまく行かなくなる仕事の中ビリーは・・・。

◆フレンチトーストのステキな役割
さて、父子の絆を表わす象徴的な役割が、2人が朝食で作る「フレンチトースト」なんですね。

上の動画が、父が最初に作る黒コゲ大失敗フレンチトースト。 いやぁ、これはヒドイ(笑)

そして、物語の最後にもう一度フレンチトーストを作るシーンが出てきます。 この2つのフレンチトーストが、ラストを大きな感動へと誘います。 ダスティンホフマンの名演技、アカデミー賞受賞の名作です。 私も大好きな映画なんですねー。ぜひご覧になってくださいませ!

 

◆朝食に絶品!フレンチトースト
frenchtost.jpgちなみにフレンチトーストとは、食パンをミルクと溶き卵に浸して、バターでじっくりと焼き上げ砂糖や蜂蜜などで食べる美味しい玉子料理です。 

たまごも牛乳もアミノ酸たっぷりで、朝食にピッタリのメニューです。(^^)

美味しいとろふわのフレンチトーストをつくるコツは、ちょっとバニラエッセンスを加えてやること、卵液に長めの時間浸すこと、そして弱火でじっくりと焼き上げることが大切です。時間をかけることで、内部の空気が膨らんで、ふんわりと美味しくなります。ぜひお試しあれー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:たまごのソムリエ日記 - たまごの名シーン【映画編】の一覧)

ponyo_hamutamago.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ、小林ゴールドエッグのこばやしです。「風立ちぬ」、観てきました! いやー、これはオッサンキラーですね。 泣きました。 そして私は工学部出身なので、みんなでワイワイと研究した時のことも、懐かしく思い出しました。(^^)

さてさて、たまごが出てくる、映画の名シーン紹介第三弾です。今回はちょっとこじつけ混じり、ジブリ映画「風立ちぬ」観ました記念で、「崖の上のポニョ」から卵・ハム・ネギのラーメンを食べるシーンについてご紹介します。

ジブリ映画は、「食事シーンがとにかくおいしそう!」と定評があります。

ジブリ公式ブログによると、宮崎駿さんはほうれん草を乗せたラーメンが好みなんだそうですが、残念ながらアニメーションとしてうまく描けないため、仕方なくネギにしたのだとか。

同じ意味で、卵は非常にアイキャッチとして優れています。見た目で「たまごだ!」と判りやすくて、味も想像できます。さらに赤青黄の三原色がそろって見た目鮮やかに美味しそうに演出できます。 宮崎監督は「たまごが乗っかっているのはちょっとしたごちそうなんだよ。」と語っています。宮崎監督は昭和16年生まれですので、「卵イコール贅沢」という実感を特に持っていらっしゃる世代でもあります。 「ごちそう」と言ってもらえるその言葉、たまご屋の僕としてはスゴクうれしいです。

ハムが二枚ありますよね?

当初上ッ側のハムを取って食べているシーンを最初アニメーターさんが描いたのですが、「スープで温まっている下側から食べるのが自然だ。」と監督から指示がとび変更されているのだそうです。

スゴイ細やかさですねー!

ちなみにこのポニョラーメンは海外でも興味津々の様で、作り方を紹介した海外の動画まであります。

 

◆なぜジブリ映画は美味しそうなのか!?
このような細やかさの積み重ねの外に、ジブリ映画の食事シーンが美味しそうに見える大きな理由があります。

それは、「場の雰囲気」を最大限伝えていることではないでしょうか。シズル感、という言葉があります。ジュージューと焼ける音であったり、立ち上る湯気、キリッと冷えたジュースの水滴・・・、こういった「五感」を刺激する美味しそうな雰囲気の事を言います。

ジブリ映画はこの「シズル感」が抜群に豊かなんですね。 例えば「天空の城ラピュタ」の冒頭の肉団子スープ。 これも「一度食べてみたい!」という人が多いのですが、実はこのスープ、時間にしてわずか数秒しか映っていません。なのにとても魅力的に映るのは、周囲のざわめき、それまでの労働で流した汗と疲れ、そこから解放されてどことなく浮かれている雰囲気・・・、こういった「空気」が臨場感となって「美味しそう」感・「自分も食べてホッとしたいなぁ。」感をつくり出しているのではないでしょうか。

トトロの「もろきゅう」、つめたく冷やしたキュウリだってそうですよね? セミの鳴き声、深緑のざわめき、風、太陽、そして何より会話と満面の笑顔!そういった雰囲気すべてをTV画面の向こうに感じるからこそ、「あのキュウリ食べてみたい!」と感じるわけです。

他にこの「シズル感」をうまく活かしているなー、と感じるのがコカコーラ。 コーラそのもののウマさ、なんて決してPRしません。 暑い中の清涼感、そして「みんなでワイワイ飲むと美味しいよ!」という雰囲気だけを全力で伝えています。そう見えます。実際にはコンビニで買って一人暮らしのアパートに帰ってさみしく飲むかどうか、なんて関係ないんです。 「ああいうのエエなぁ。」という想いが美味しさにつながるんですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連)たまごのソムリエ日記 たまごの名シーン【映画編】の一覧

昨日6月2日は、「オムレツの日」でした!

こんにちは!たまごのソムリエ、小林ゴールドエッグのこばやしです。

たまごが出てくる、映画の名シーン紹介第二弾です。今回はオムレツの名シーン映画を。

『たんぽぽ』(監督:伊丹十三)

1985年製作の映画で、

流れ者がホレた女のために、さびれたラーメン店を立て直すというストーリーです。 主演女優はNHK朝ドラ「あまちゃん」でも活躍中の宮本信子さん。

その中に、ホームレスが、主人公の息子ターボ―と二人で厨房にコッソリと忍び込んで、オムライスをつくってあげるシーンがあります。 これがまた、メチャクチャうまそう!なんですねー

ライスを炒めて、とろふわのオムライスを作ってあげるシーンがほぼノーカットで映されていて、ホントいい香りまで漂ってきそうです。(※)

tanpopo4.jpg

かつて人間国宝の落語家、柳家小さん氏が「時そば」の演目をかけた後は寄席周辺の蕎麦屋に行列ができたそうですが、この「たんぽぽ」を見た後も、ぜったいオムライスが食べたくなること請け合い!です。(^^)

とくに、このプレーンオムレツを作ってチキンライスの上で切るスタイルは伊丹監督が考案し、東京日本橋の老舗洋食店「たいめいけん」がつくりだしたもので、「たんぽぽオムライス」として今でも広く愛されているんですね。

tanpopoomu3.jpg

さて、この映画「たんぽぽ」にはもうひとつ「卵の名シーン」があります。それは、海外でもとにかく話題になる「卵の黄身キスシーン」。 役所広司扮するヤクザ風男と情婦が「キスをしながら卵の黄身を口移しする」という場面で、ホントにエロティック!衝撃的で、放映当時ものすごく話題になりました。

特に海外の映画ファンの間では、生卵を食べる習慣が無いこともあり賛否両論「日本を代表する名作だ!」「いやこれはダメだろう!」など反応も様々です。

全般にわたって「食」の楽しさを感じられるシーンがちりばめられており、何度見ても楽しめる、ぜひ見てほしい名作です。

(※コミカルなホームレスを演じるのは高見映さん(「できるかな」のノッポさん)なのですが、この調理する手元のシーンは伊丹監督が自分で調理しているんだとか。すごい入れ込みです。)