小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの歴史・文学・文化学 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

前回の続き、
スポーツの「ハムエッグ」について。

ゴルフの
「ハムエッグ(ハム&エギング)」
好プレーでフォローすること、

アメフトや野球でも
ナイスパスやダブルプレー、
良いプレーに使われる言葉です。

そういえば、
西武ライオンズの球弁(きゅうべん)には
ハムエッグサンドがありますね。

 

ですが!

そのずっと前、米国では
ハムエッグは別の意味を持っていました。

それもネガティブな方に。

「平凡。」

「底辺でビンボー。」

そんな代名詞が
ハムエッグだったのです。

◆勝てない底辺ボクサーの代名詞だった

スポーツで使われだしたのは、
ボクシングから。

百年くらい前には、

「あいつはハムエッグだ。」

というと、
ビンボーで勝てない底辺ボクサーのこと
を指していました。

映画ロッキーでも、
シルベスター・スタローン扮する主人公が

タイトル争いの可能性を軽視し、
自分自身を「俺は本当にハムエッグだ。」と
卑下するシーンがありますね。

 

他にも、
力仕事をするだけの労働者を
ハムエッガーと呼んだり、
揶揄する表現になっていたんです。

 

ハムエッグ、
美味しいのに・・・!

 

◆ステーキの下位互換だった!?

じゃあ、なんでハムエッグが
貧乏やしょぼくれたイメージとして
語られていたかというと、

諸説あります。

たとえば
贅沢な金持ちは、ステーキを食べる。

それができないヤツが
ハムエッグを食べたからじゃないか。

 

また、ボクシングでは
ファイトマネー代わりに、
負けても最低限その日は
ハムエッグのサンドイッチが
選手に提供されるので、

いつも勝てないのに
それで食つなぐ選手が
ハムエッグ野郎(ハムエッガー)と
呼ばれた、なんて説もあります。

 

他には、
ダイナー朝食の定番
ハムエッグだったから、という説も。

そこで朝食を食べて
早朝から仕事する人たちへの蔑称だった。

なんて説も。

いずれにせよ、
この「ハムエッグ」のイメージ変遷から
あることが見えてきます。

 

少なくとも卵は百年前には
誰でも食べられる一般的な普及食材に
なっていたこと。

そして、

もともとは
底辺なイメージがあった
卵とハムの組み合わせは、

この百年間のあいだに
とても良マッチングな
ステキペアーに変わっていったということ。

どちらの意味でも
とっても素敵な言葉の移り変わりだなぁ、と感じますね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:ゴルフの「ハムエッグ」って何のこと?スポーツごとに違う!? | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年10月18日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

「これは素晴らしいハムエッグですねぇ。」

なんて表現を
ゴルフの試合で耳にすることがあるんです。

これ、なんだと思います?

まさかラウンド前の朝ごはんの話をしているわけじゃありません。

ゴルフの「ハムエッグ」(ハム&エギング)とは、
チーム戦である人のダメなプレーを
仲間が好ショットで挽回する
交互に良いプレーをすることを言います。

 

カバーしあって美味しいものになる、
みたいなイメージでしょうか?

ハムとたまごって食べると元気になる!
めっちゃ良い組み合わせなので
たしかにチームワークの良さの
イメージがありますよね。

ゴルフの「ハムエッグ」って
けっこう由緒ある言い回しでして

詳しく調べた海外の方によると、
少なくとも1960年代には米国で
新聞に載るくらいは使われていたそう。
(参照:Where does the golf phrase ‘ham and egg’ come from? And what does it even mean? | Golf News and Tour Information | GolfDigest.com

カリフォルニアが発祥のようです。

上記は1966年ポスト紙の記事。

コラムニストのパット・ハーモンさんが、
全米プロゴルフ選手権での
ジャック・ニクラウスとアーノルド・パーマーのパートナーシップについて語った内容です。

2人は9アンダーの63という
大判狂わせで第一ラウンドを回り
後に優勝したのですが、

 

記事では
“ハム&エッグ(エギング)という言葉がありまして・・・”
と、『用語の説明』と共に、

2人が共にミスをしながらも
互いにカバーしあった結果、
ゲームを制したことが書かれています。

 

“「君はハム、僕は卵を取るぞ。」
そんな風なプレーに使われる言葉である”
…と書かれてまして、

それぞれ良い成果を
分け合って築いていく
みたいな感じの表現ですね。

その後、現代のゴルフにおける
『ハムエッグ(ハム&エギング)』は
“ダメな方”を“良い方”がフォローする
みたいな意味合いに変わってます。

 

「フォローする方が卵だよな!?」
「いやいや、ハムだろう?」

なんて議論になることもあるんですが、
もともとは等価だったということですね~。

◆他のスポーツの言葉だった!?

ちなみに
他のスポーツでも、「ハムエッグ」用語が。

野球では古い言い回しで

「ダブルプレー」を意味します。

なんででしょうね・・・?

「両方でオイシイ」、
日本でいう「カモネギ」みたいなカンジでしょうか。

 

アメフトとラグビーでも
パスがつながったときのナイスプレー
「ハムエッグ」が
ときどき使われるみたい。

ハムとたまご、名コンビが
うまくいった」の表現になってるのは
たまご屋としてうれしいですね~。

 

ですが!

じつは発祥のスポーツでは、
ネガティブ表現だったのです。

そのへんは次回に。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年10月16日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

少し下ネタが入ります。

僕が若いころ、お酒の席で

「『フロントホックブラ』って何か知ってる?」

というひっかけ(?)クイズ遊びがありました。

問いかけるのは男性に、です。

 

「ええと、こうやって前になっているホックを外すやつ。」

 

男性でしたら、ほぼ、
こう答えるんですね。
時にはジェスチャーまでつけて。

それを、

「下着は外すものじゃなくて付けるもんでしょ!」

とツッコんで笑う。

 

たわいない遊びですが、
こばやしがひっかかった際は
「たしかに・・・!」と
無意識に持っていた男女の視点の違いに
気づきビックリしたのを覚えています。

いまは男性でもトップの下着をつける人が
わりといらっしゃるそうですが、

当時は20代そこそこ独身男性ばかり、
そんな友人との仲間内では
もう外すことしか考えてなかったんですね(笑)

 

話は変わって「卵」。

あなたはたまごの中身をカラから
取り出すことを、なんと言いますか?

割る。」ですよね。

 

しかし
江戸時代初期の料理書には、
調理のため卵を割ることは

卵をつぶす

卵をあける

と書いてありました。

 

なぜなら、
『卵を割る』とはそもそも、
ヒナが卵を割ることだから。

 

食べるために割る、じゃなくて
生れ出るために『中から割る』

卵が食材として普及していなかった
江戸初期のころまでは、
少なくともそういう共通認識でした。

 

調理のため中身を出すのは、
その「生まれる」という行動を停止する。
だから「卵をつぶす」なんですね。

割る→内側から

あける・つぶす→外側から

ということ。

 

冒頭のフロントホックと同じで
視点が逆だったんですね。

なかなか興味深いです。

 

調理する際に「たまごを割る」
が一般用語として使われだしたのは
18世紀中ごろ、江戸時代の中ごろから。

 

◆仏教により食べていなかった

日本では、奈良時代に仏教が広まってから
安土桃山時代ごろまで800年ほど
表向き卵は食べるのが禁じられていたんですね。

『食材』じゃなかったんです。

 

それが、
ポルトガルやオランダなどの
海外文化が入ってきたことで
「たまご美味しいじゃん。」
「生き物じゃないし食べても良いよね?」
と、認識が変わっていったのです。

 

その意味では、

「割る」じゃなくて「あける」「つぶす」
の呼び方だったことは、

生命への敬意と「申し訳ない。」という
想いが強かったんだろうな、と感じます。

 

そして「割る」へ変わっていった
ということは、「単なる食材」へと
認識が変わっていったとも言えます。

 

言葉一つでも、
こういった経緯をときに思い出して、
生命を頂くことへの敬意をじぶんも
忘れないようにしていかなくちゃですね。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:江戸時代の料理本にみるたまご料理について)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年10月2日

お盆のさなか
ゆっくりとお酒を飲まれている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

ニワトリも・・・!


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

イベントや美術展に現地ツアー・・・
今年は大河ドラマ効果で
江戸時代の情報がいろんな形で体感でき楽しいです。

 

NHK番組「浮世絵EDO-LIFE 」が
大河ドラマ「べらぼう」とコラボして、

ドラマ放送回の内容に合わせた
リバイバルをしていますね。

 

少し前には蔦重と瀬川の恋にちなんで
男女の恋とニワトリが題材の浮世絵
紹介していました。

鈴木春信の作。
所蔵の太田美術館も紹介していますが、

逢瀬を楽しむ男女が
少しでも別れの時間を延ばそうと

ニワトリに酒を飲ませて
よっぱらって朝鳴きを遅らせる

そんな状況の浮世絵です。

 

それくらいニワトリの鳴き声が
江戸に暮らす人々の習慣になっていたという点、
興味深いです。

以前も書きましたが
この絵の時期・江戸中後期は
食材としての鶏卵は一般家庭に浸透していまして、
江戸の玉子料理文化も花開いた時期でもあります。

 

そして上の浮世絵は
とってもロマンチックな情景ですね~。

・・・と言いたいところですが、
たまご屋としては

「鶏に酒を飲ませても
大丈夫なのかな・・!?」

という点が気になるところ。

 

◆酒を飲む鳥はけっこういる

ポーランド・ポズナン生命科学大学
トリジャノウスキー博士の研究によると
半野生動物・ペット含め、

55種の鳥がアルコールを飲んでいる
ことが判っています。

Birds Drinking Alcohol: Species and Relationship with People. A Review of Information from Scientific Literature and Social Media(2020)

 

へー。

自然に発酵してお酒になった果実を食べて
酔っぱらっちゃうそうで、

オウムやカラスなど賢い鳥は
好んで飲むこともあるそう。

 

論文読んでみましたが、
ニワトリの飲酒も17例が確認されてました。

なるほど~。

ニワトリが
お酒を飲めることはわかりましたが、
健康面の影響はどうなのかな?

 

・・・この点に関しては
あまり研究がなさそうなんですよね~。

誰得なテーマですから
そりゃそうかもしれません。

 

『鶏の胎児へのアルコール影響の有無』
を調べた古い研究によると、

エチルアルコール、つまり飲むお酒は
鶏の『肝臓には』影響を及ぼさないっぽいです。

ニコチン及びアルコール類の鶏胎仔に及ぼす影響(日薬理誌55,(1959))

 

つまり一度きり今宵の逢瀬のためならば
ニワトリを酔っ払わせてもオッケー・・!?
『ロマンス優先』でも大丈夫そうです。

かといって飲ませたりはしませんですが。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年08月13日

卵を使って人心をコントロールした、
イギリスの伝説の予言者の実話を。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

わが徳島県と香港の定期便が
先月から減便になっています。

週3→週2に減って
それでも着便はガラガラ…。

その理由が、

災害の予言。

『7月5日に日本で大災害が起こる、
秋までは日本に行っちゃだめ。』

という言説がアジアで広まっているんです。

『大地震が起こるって。』

『いや隕石らしい。』

などと、あまりの広まりっぷりに
気象庁長官が

予言はデマだから心配しないで。

・・とコメントを出すほどの
異例事態になってます。

これ、
日本のある漫画がきっかけなんですが、
さらに香港の有名風水師
「9月まで行くな!」と
お墨付きを出したことで
エスカレート中です。

笑い話じゃすまないレベル、
観光地によっては売り上げ
9割減のお店も出ているみたい。

うーん、
経済ダメージ半端ないですね~。

万博もやっている最中なのに・・・。

 

まぁ、当たんないですよね。

以前、地質学の教授が

「地震予測は誤差が
プラスマイナス200年
それでも75億年の地球からすると
すごい精度だよ。」

なんておっしゃっていました。

それを「日にち」指定で
ピンポイント予言するなんて、
まじめな研究者さんからしたら

「なめてんのか。」

というレベルなんでしょう。

 

◆めっちゃ騒ぎになった『卵の予言』

さて、200年前のお話。

』が終末を予言して

大騒ぎになったことがあります。

舞台は1806年のイギリス。

北の街リーズ市に住む
メアリー・ベイトマンさん(38)は
ある朝、庭で飼っている鶏が
ヘンな模様の付いた卵を産んだのに
気づきました。

よく見ると卵のカラに

「救世主がまもなく到来する」

と描かれている。

しかもインクなんかじゃなく
殻が腐食したようにくぼみ、
拭いても消えない文字で…。

それを見て人々は大騒ぎ。

「奇跡だ。」

1ペニー払って鶏と卵を見るために
メアリーさん宅へ押し寄せたんですね。

その結果、

『タマゴの予言だ・・・。』

『最後の審判が来る・・。』

『この世が終わる・・!』

と多くの人が信じまして、
街はすんごいパニックに。

狂乱状態になったり
めっちゃ信心深くなって祈り続けたり・・・。

記録では
都市まるごと機能不全になるレベル
だったとか。

 

◆商売し始め気づく人が・・・

結論から言うと、これは“詐欺”でした。

メアリーは読み書き堪能で、当時としては
かなり高度な教育を受けていたのですが、

それを使って盗みや詐欺を働き
生まれ故郷ヨークシャーから
リーズ市へ逃げてきた“悪者”だったのです。

で、予言でっちあげを
思いついた・・・。

 

見物料を取るくらいなら
まだよかった(?)のですが、
さらに

「印章」を売り始めたのです。

JC(ジーザスクライストの略)”

と書かれた一枚の紙で、

『持ってると黙示録の後に
天国への入場を保証しますよ。』

との触れ込みで売りまくった。

それを数千人が買い求める・・・。

 

しかし、このあたりで

「おい、あれって怪しいんじゃないの?」

と考える人が出始めます。

◆張り込みで現場を押さえる

で、そんな人たちが、
早朝にメアリーの鶏小屋を
こっそりと見張ったのです。

するとそこには・・・

文字の書かれた卵を
めっちゃ頑張って
ニワトリのおしりに押し込む
メアリーの姿が・・!

うーん、
ニワトリさんかわいそう!

 

◆卵殻の消えない文字トリック

ちなみに『くぼんで書かれた消えない文字』は

濃縮酢

を使っていたことも分かりました。

卵のカラって
ほぼ炭酸カルシウムでできています。

そこに酢酸をたらすと化学反応が起き
内の膜はそのままでカラは溶け出すんです。

のちの調べによると、メアリーは
何度も何度も卵殻に酢酸を塗り重ね

文字のカタチに
殻を溶かし凹ませ奇跡メッセージ
演出したんですね。

当時の民衆には
思いもよらない手法ですから
すっかり信じ込んじゃった。

うむむ、狡猾ですね。

◆卵で騙した悲惨な末路

メアリーは露見した後も
「詐欺じゃない」と否定し続けましたが

もはや印章を買う人もなく
リーズの予言者のめんどり
と呼ばれたその鶏も
早々に隣人に売ってしまいます。

そして・・・

その3年後
今度は「奇跡の治療」として
病人に毒入りプリンを食べさせ
殺人の罪でついに絞首刑となったのです。

 

その数奇な人生から
ヨークシャーの魔女」と
呼ばれることになったメアリー、

その処刑には2万人が見物につめかけ、
遺体はリーズ総合診療所に長く展示され
多くの人がお金を払って見物に来たそう。

ちなみに
2015年まで(!)リーズ市の
医学博物館に展示され続けていたそうで、

メアリー自身が行列をつくり
利益を長く生み続けたという
なんとも皮肉なお話ですね。

ちなみに2017年に彼女の一生を書いた
本も英国で出版されています。

“ヨークシャーの魔女~メアリーバットマンの数奇な人生~”

表紙の左手に持っているのが
奇跡の卵ですね。

 

◆不安だと奇跡にだまされやすい!?

1800年代初頭のリーズ市は
工業都市として変わってきており
絶望的に貧しい人たちを
多く生み出していました。

そんな人たちの不安を、彼女は
“魔術”への恐怖と“奇跡”への安堵で
コントロールしようとしたんですね。

 

現代のいま予言が広がるのも、
世界情勢にみんな不安だからかも
しれませんね。

自分の感情に注意です。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:The Yorkshire Witch)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年06月17日

ファンタジー由来の繁盛メニューって
面白いかもしれません。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

映画化もされた
J・R・R・トールキンの小説「ホビット」に
こんななぞなぞが出てきます。

 

「蝶番(ちょうつがい)も
鍵も蓋もない箱
だが中には黄金の宝が
隠されている」

これなんでしょう?

 

答えは「EGG」
たまごです。

なるほど!

たしかにフタもカギも無く
中には黄金の黄身ですね!

主人公ビルボが冒険中に
ゴラムという謎生物から
なぞかけ合戦』を挑まれ、

負けると食べられる恐怖の中で
思いつくまま作ったなぞかけです。

それにしては格調高くて
センスありますね!

 

対するゴラム(邦訳ではゴクリ)は

「そういえば昔、
おばあちゃんとおじいちゃんに
そんなのの吸い方を教えたことが
あったな・・・!?

こたえは『卵』だ!」

とズバリ当ててしまいます。

よくわかりませんね・・・?
なんのこっちゃ。

 

これじつは、
怪物ゴラムが元人間ということと、
欧州のことわざを知らないと
面白さが分かりません。

「おばあちゃんに卵の吸い方を教える」

という古いことわざが欧州にありまして、
日本でいう「釈迦に説法」、

「年上の知識ある経験者に
えらそうに物事を教える」

という意味です。

 

それがなぜヒントに・・!?
という話ですが、

つまり、

「そういえば昔
犬が歩いて当たっていたな
答えは・・・“”!」

みたいな
じっさいに諺とおなじ行動を
やっちゃってたから思い出した。
というギャグなんです。

 

われわれ日本人には理解ハードルが高いですが
西洋でそれくらい「あるある」になっている
たまご諺がある、というのは卵屋として興味深いです。


ちなみに作者のトールキンさんは

「どこかの童話集に載っていた
文学的ななぞなぞを短くした。」

と言ってます。

訳者の山本史郎さんによると、
下のなぞかけだとか。

 

“壁はシルクのように
柔らかな肌ざわり。

澄みきった泉のなかに、
黄金のりんごがあらわれる。

この城に入口はないが、
賊が押し入り、黄金を盗む。”

おお~!
ステキな情景のなぞなぞですね。
かっこいい。

もちろん答えは「たまご」です。

シルクのような壁』が卵殻
清みきった泉』が白身
黄身は『黄金のりんご』ですね。

美しすぎます。

 

たしかにそのまま使うのは
“即興”としては練られすぎてますから

みじかく縮めた
トールキンさんは正しいですね~。

 

◆たまご好きシーンが印象的

「ホビット」そして続編の

「指環物語(ロードオブザリング)」世界では

養鶏が割と発達しているようで、
たまごが『日常のごちそう』として
ときどき出てきます。

たとえば主人公ビルボのところに
ドワーフ4人がおしかけたときも、

「ハムエッグは卵6個だよ。
それが旅立ちの朝のメニューなんだ。

スクランブルじゃなくって
目玉焼きね。
黄身はくれぐれも壊さぬようにな。」

と注文されて

『お願いします』の一言もない!と
ビルボがグチを言うシーンがあります。

物語の舞台「中つ国」には
突然の客が5人来ても
一人6個ずつ卵を食べられる
たまごの流通があるようです。

 

作者トールキンさんは
イギリス人ですから、

英国が世界に誇るベーコンエッグ、
たまごの魅力に並々ならぬ想いを
持っていたのかもしれません。

たとえばうずら卵を使って

『ロードオブザリング風ベーコンエッグ』

『トールキン風ベーコンエッグ』

みたいなメニューも面白いんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(関連:おばあちゃんはナゼ卵を吸うの!?【たまごのことわざ】 | たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2025年01月6日