にわとりアンデルセン童話話に見る炎上のメカニズム
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
「となり町で起こった、おそろしい話があるのよ。」
アンデルセン童話集に、
こんなめんどりの言葉で始まる
『ほんとにそのとおり!』(まったくそのとおり!)というタイトルのお話があります。
一羽のめんどりが
夜止まり木で休むときに
ちょっと羽をつついたところ
羽が一枚、ハラリと落ちました。
「あら、一枚羽が抜けちゃったわ。
でもいいのよ。あたしは羽をつつけば
つつくほど、キレイになるんだからね。」
と、冗談を言ったのです。
それをなんとなくウトウト聞いていた
隣のめんどりが、
「なんだい、キレイになるために
羽をむしるニワトリがいるのかい。
あたしがおんどりだったら
そんなヤツは軽蔑するね~。」
と軽口をたたきました。
その真上で、それを聞いた
フクロウ
「え~!?おんどりの気をひこうと
自分の羽をぜんぶむしっちゃった
ニワトリがいるんですって。
子供に聞かせたくない話だわ。」
そしてとなりのハト奥さんに
「奥さん!お聞きになった!?
おんどりを狙って
一羽、いや二羽っていう人もいたわ。
二羽のめんどりが
オスの気をひく格好になるために
ぜ~んぶ羽をむしっちゃったんですって!
そんなのカゼひいちゃうわよね。」
聞いたハトは隣の鳥小屋で
「三羽のメンドリが一羽を好きになって
病気で死んだんだって。
みんな羽をむしりとったそうよ。
かわいそうに。」
ハトからコウモリへと話は伝わり
「五羽のめんどりがいてね。
一羽に一目ぼれして
より痩せて見せようと
羽をぜんぶ抜いちゃったんだって。
それから、
血みどろになって蹴りあいを
して倒れて死んじゃったんだ。
飼い主も大損害さ。」
・・・と噂になり、
まわりまわって
冒頭のメンドリさんに伝わったのです。
一枚の羽が取れただけなので、
まさか自分のコトだと思わず
「なんてひどい事件!
国じゅうに広めなきゃ。」
と、新聞に掲載し
本にも載り、
小さな一枚の羽根が
5羽の大惨事めんどりとして
永遠に記録されることになったとさ。
・・・というお話です。
いきなり出版のお話になるのが
ちょっとシュールです。
二百年前に書かれたものですが、
なかなか現代的な炎上話にも
感じますね。
・噂がより面白い方向にエスカレートすること
・そして皆が正義感から拡散していること。
・後々までログが残ってしまうこと
Twitterや掲示板での
典型的な炎上パターンでしょうか。
デジタルタトゥーなんて言葉もありますが、
ネットの海にずっと本人のログが
残ってしまうダメージも似ています。
つい先日、
220万人登録者のユーチューバーが
「生たまご100個落としてみた」動画を
アップして炎上していました。
「ちゃんと食べるから。」と釈明していましたが、
卵屋の一人としては、そもそも粗雑に扱われる時点で
無駄じゃないからいいよね、とは思えないですね~。
こんな明らかに不謹慎なケースは別として
自分で意図せず炎上を引き起こすことも
十分あり得ます。
上のニワトリさんのように
「羽一枚」でも不愉快に思われる
ケースも考えて
襟を正していく必要ありますね~。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。