名作ファンタジー小説『ホビット』のステキなぞなぞ
ファンタジー由来の繁盛メニューって
面白いかもしれません。
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
映画化もされた
J・R・R・トールキンの小説「ホビット」に
こんななぞなぞが出てきます。
「蝶番(ちょうつがい)も
鍵も蓋もない箱
だが中には黄金の宝が
隠されている」
これなんでしょう?
答えは「EGG」
たまごです。
なるほど!
たしかにフタもカギも無く
中には黄金の黄身ですね!
主人公ビルボが冒険中に
ゴラムという謎生物から
『なぞかけ合戦』を挑まれ、
負けると食べられる恐怖の中で
思いつくまま作ったなぞかけです。
それにしては格調高くて
センスありますね!
対するゴラム(邦訳ではゴクリ)は
「そういえば昔、
おばあちゃんとおじいちゃんに
そんなのの吸い方を教えたことが
あったな・・・!?
こたえは『卵』だ!」
とズバリ当ててしまいます。
よくわかりませんね・・・?
なんのこっちゃ。
これじつは、
怪物ゴラムが元人間ということと、
欧州のことわざを知らないと
面白さが分かりません。
「おばあちゃんに卵の吸い方を教える」
という古いことわざが欧州にありまして、
日本でいう「釈迦に説法」、
「年上の知識ある経験者に
えらそうに物事を教える」
という意味です。
それがなぜヒントに・・!?
という話ですが、
つまり、
「そういえば昔
犬が歩いて当たっていたな。
答えは・・・“棒”!」
みたいな
「じっさいに諺とおなじ行動を
やっちゃってたから思い出した。」
というギャグなんです。
われわれ日本人には理解ハードルが高いですが
西洋でそれくらい「あるある」になっている
たまご諺がある、というのは卵屋として興味深いです。
ちなみに作者のトールキンさんは
「どこかの童話集に載っていた
文学的ななぞなぞを短くした。」
と言ってます。
訳者の山本史郎さんによると、
下のなぞかけだとか。
“壁はシルクのように
柔らかな肌ざわり。
澄みきった泉のなかに、
黄金のりんごがあらわれる。
この城に入口はないが、
賊が押し入り、黄金を盗む。”
おお~!
ステキな情景のなぞなぞですね。
かっこいい。
もちろん答えは「たまご」です。
『シルクのような壁』が卵殻
『清みきった泉』が白身
黄身は『黄金のりんご』ですね。
美しすぎます。
たしかにそのまま使うのは
“即興”としては練られすぎてますから
みじかく縮めた
トールキンさんは正しいですね~。
◆たまご好きシーンが印象的
「ホビット」そして続編の
「指環物語(ロードオブザリング)」世界では
養鶏が割と発達しているようで、
たまごが『日常のごちそう』として
ときどき出てきます。
たとえば主人公ビルボのところに
ドワーフ4人がおしかけたときも、
「ハムエッグは卵6個だよ。
それが旅立ちの朝のメニューなんだ。
スクランブルじゃなくって
目玉焼きね。
黄身はくれぐれも壊さぬようにな。」
と注文されて
『お願いします』の一言もない!と
ビルボがグチを言うシーンがあります。
物語の舞台「中つ国」には
突然の客が5人来ても
一人6個ずつ卵を食べられる
たまごの流通があるようです。
作者トールキンさんは
イギリス人ですから、
英国が世界に誇るベーコンエッグ、
たまごの魅力に並々ならぬ想いを
持っていたのかもしれません。
たとえばうずら卵を使って
『ロードオブザリング風ベーコンエッグ』
『トールキン風ベーコンエッグ』
みたいなメニューも面白いんじゃないでしょうか。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。