寒卵の句
故俳人作家・石川桂郎さんの句に、
「塗椀に割つて重しよ寒卵」
という句があります。
「寒卵」って何でしょう?
古来より、大寒の暦に生まれた卵を食べると金運が上がる、と風水では言われます。
なぜそんなことが言われるのかというと、
「寒い時期は、鶏が最も餌を食べる時期」だからなんです。
寒い環境は、羽毛に包まれた鶏にとってとても快適、
飼料も良く食べるんです。
それだけ、卵質の良い、滋養に富んだたまごを産む。
それを食べると活力が増して、商売が上手く行く。
金運が上がる。
そう考えられてきたのです。
江戸時代以前の卵はとても貴重でぜいたく食材でしたが、
この時期は産卵率も上がり、低温で卵の保存性も上がりますので、おそらく手に入りやすさも違ったのでしょうね。
上記の俳句ですが、
椀の中に、季節のもっとも滋養に富んだ卵をぜいたくに割り落として食べる。
普段の汁物よりもずしっと重くて、それを実感しながら贅沢を喜ぶ。そんな様子が感じられるしみじみステキな句です。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。