小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの歴史・文学・文化学 記事一覧

ミネソタの卵売り

たまごのソムリエ小林です。

ミネソタの卵売り」という歌をご存知でしょうか?

昭和26年の大ヒット曲です。歌手は暁テル子さん。更にその後即席ラーメンのCMで替え歌が話題になりました。

おそらく65才以上の方、ちょうど「あまちゃん」の夏ばっぱが小さいころに聴いていらっしゃったようなイメージでしょうか。

歌詞をちょっとだけ紹介しますと、

 

ココココ コケッコ ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番の人気者 つやつや生み立て 買わないか
卵に黄身と 白身がなけりゃ
お代は要らない ココココ コケッコ
2.
ココココ コケッコ ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番ののど自慢 私のにわとり自慢です
卵を生んだり お歌のけいこ
ドレミファソラシド ココココ コケッコ
3.
ココココ コケッコ ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番の美人です 皆さん卵を喰べなさい
美人になるよ いい声出るよ
朝から晩まで ココココ コケッコ

ココココ コケッコ ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番の人気者 つやつや生み立て 買わないか
卵に黄身と 白身がなけりゃ
お代は要らない ココココ コケッコ

ココココ コケッコ ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番ののど自慢 私のにわとり自慢です
卵を生んだり お歌のけいこ
ドレミファソラシド ココココ コケッコ

ココココ コケッコ ココココ コケッコ
私はミネソタの卵売り
町中で一番の美人です 皆さん卵を喰べなさい
美人になるよ いい声出るよ
朝から晩まで ココココ コケッコ

・・・・・・てなカンジです。

軽妙な詩で明るくて、なんというか楽しそうです。

卵を売って町一番の人気者・・・あこがれるなー!(^^)

いやー、でもインパクトもスゴイですね。

なにせ「ミネソタ」ですからね。

いったいどこなの、ソレ!?・・・てなカンジです。

ちなみに「アメリカ合衆国ミネソタ州」は、全米で5本の指に入る大規模鶏卵養鶏会社「マイケル・フーズ」の本社があるなど、全米中でも採卵が盛んな地域です。 最近では昨年、同社が33州にまたがる大規模なリコール(菌汚染による回収騒ぎ)を起こして卵関連の知名度が不名誉に上がっている州でもあります。(^^;)

まァもっとも、作詞をされた利根一郎さんは、ミネソタ州行ったこともなく卵売りサンがいるかどうかも知らずに詞を書いた・・・・・・のだそうで、「ミネソタ」は単に語感とイメージの良さから、または利根氏の家にたまたまいらっしゃった知人がミネソタ出身だっただけ・・・・・・、そんな説もあるようです。

短いですが、実際に歌われた映像がyoutube動画にあります↑。

昭和56年にヒットした替え歌のCMは、ハウスの「たまごめん」という即席ラーメンです。かなり流れていたので、こちらを覚えている方も多いようです。

軽妙で楽しい曲なので、その後もたくさんの方がカバーし歌っているようですね。 冒頭の写真は、BS放送の歌謡番組のワンシーンです。 おもわず聞きほれてしまいました。

個人的にはJAZZが大好きなので、youtubeで検索すると出てきました下記のスィングジャズバージョンがめっちゃ素晴らしかったです↓↓。ぜひ生で聴いてみたい・・・!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2013年08月28日

こんにちは!たまごのソムリエ・小林ゴールドエッグのこばやしです。

お盆を前にして、バタバタとしております。(^^;)

こんにちは!たまごのソムリエ・小林ゴールドエッグのこばやしです。
暑い日が続きますねー。息子と半日泳いでいたら、上半身まっ赤っ赤になってしまいました(^^;)
さて、本日はひんやりする話を。
日本でたまごが日常的に食べられるようになったのは、江戸時代から。
それまでは一般的に、卵をたくさん食べるのは「ちょっと恐ろしいコト」だと考えられていた様です。

さて、本日はたまご鶏のちょっと怖い伝説 第二弾です。

————————————–

『沙石集』(1279年・鎌倉時代)

自分の子供にたくさんの卵を採って毎日食べさせている母親がいた。

ある日の夜更け、ふと母親が目を開けると、
子供たちの枕元に女が立っている。

女は
「子供はいとおしいぞ、いとおしい・・」
そう言って泣いている。

そこでハッと目を覚ます。 夢であった。

ところが、程なくして子供たちが次々と死んでしまった。

————————————–

と、いうお話です。

前回ご紹介の「日本霊異記」と同じく、たまごを煮たり焼いたりして食べたら良くない目に合うよ・・・という伝説。 うーん、僕はまさに「子供にたくさんの卵を採って毎日食べさせる親」で、息子もたまご大好きなんですよねェ・・・(ーー;)

日本でたまごが日常的に食べられるようになったのは、江戸時代から。 それまでは一般的に、卵をたくさん食べるのは「ちょっと恐ろしいコト」だと考えられていました。

でも、幕府や都の法律で禁止されていたわけじゃないんですねー。(牛や馬を食べるのは禁止されていました)、 あくまで、仏教の戒律、「殺生をしたらバチがあたる。」という仏教の教えから。

 

◆影響がすごい!?鎌倉時代ベストセラー本
日本霊異記」と同じく、この「沙石集」も仏教の教えを広めるために書かれた説話集なんですね。 「沙石集」名前の意味は「沙(すな)から金を、石から玉(宝石)を引き出す」という意味で、

 

世俗の他愛ない事柄を使ってホトケの教えを説く」事を目的としています。

内容は非常にバラエティに富んでいまして面白く、後の落語や狂言にもつながっていく大変重要な文学作品でもあります。

 

ただ・・・・・・、「卵食文化」という観点で見ると、絶大な効果のネガティブキャンペーンになっちゃってるんですねェ・・・。 鶏肉もですが。

なにせこの後、外国文化が受け入れられる1600年代まで数百年間に渡り、宗教的恐怖心から卵を食べる文化が無くなっちゃった訳ですから。(江戸時代まで、卵料理に関する記録は一切存在しないんです)

 

まぁ、仏教では「殺生がいけない。」という意味で「卵食」を禁じたわけですが、洋の東西を問わず「生命が生まれくる『卵』という存在」を宇宙や高位の存在とする考え方が多数ありますので、殺生うんぬんべつにして「卵は尊い存在だから。」という感覚的な「敬い」の気持ちも理由としてあったのかもしれません。

 

食に関しては何でも取り入れてしまい、宗教的タブー無く「うまいもん」を追求していくのがザ・日本人である。・・・・・・と思っていましたが、非常に敬虔であった時代もあるんですねェ。

そしてその反動から、江戸時代にはいると卵料理文化が一気に花開き、料理集や卵の煮売り屋台、薬としての卵食文化など、さまざまな形で一般大衆に定着していくことになります。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます(^^)

(関連)【納涼】たまご・にわとりのちょっと怖い伝説 その1 – たまごのソムリエ日記

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2013年08月10日

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こんにちは!たまごのソムリエ・小林ゴールドエッグのこばやしです。 先日は卵の怖い伝説をご紹介しましたが、今度は反対に、卵のハッピー伝説です。(^^)

イタリアのモンフェラートでは、キリストが昇天した日に新しい巣で生まれた鶏卵は、胃と頭と耳の痛みを治し、麦畑に持ちゆけば麦奴の侵害を予防し、葡萄ぶどう園に持ち往けばその葡萄が霰あられに損害を受けることは無くなると信じられている 南方熊楠著 十二支考(下))

・・・のだそうです。

うーん、素晴らしいですね。

もともとキリスト教圏では、卵は「復活の象徴」と考えられてきました。 復活祭(イースター)でたまごを飾るのも、このためです。

また、「麦畑ぶどう園キリスト昇天日産まれの卵で災害から免れる」というのも大変興味深いです。麦は聖書で最も良く出てくる植物で、200箇所にわたって引き合いに出されています。 また、小麦でできたパンはキリストの肉、そしてぶどう酒はキリストの血と考えられています。

mugi_budou_tamago.jpg

聖餐式、と言いまして、いわゆる“最後の晩餐”の際にキリストが弟子にパンとワインを分けて与え「これは私の血と肉です。今後もこのように行っていきなさい。」と語ったことが始まりです。 教会での礼拝において聖餐式が行われ、洗礼を受けた人が皆でパンとワインを食べます。

上記の伝説でいうと、卵は復活したキリスト、ぶどう園と麦畑は今まさにキリスト教を信じ深めていく人々とも言えるでしょう。

卵の伝説を通して、「キリスト教の教えを守るとハッピーになりますよ!」と感じてもらう仕組みになっているのではないでしょうか。

ちなみにこの「昇天日」(昇天祭)は、毎年変わります。復活祭の40日後なので、今年は5月9日でした。来年、2014年は5月29日です。 ウチに葡萄畑は無いですが、目と耳と頭が健康になるように、来年は「昇天日新しい巣生まれの卵」を食べてみようかと思います。

 

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連)【納涼】たまご・にわとりのちょっと怖い伝説 その1 – たまごのソムリエ日記

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2013年08月6日

onepiece_kobito.jpgこんにちは!たまごのソムリエ・小林ゴールドエッグのこばやしです。

少年ジャンプで連載中の人気漫画「ワンピース」に、小人が出てきたので、以前、ガリバーとゆでたまごの奇妙な関係について書いた事をふと思い出しました。

このガリバー旅行記に出てくる小人のサイズ。いったいどれくらいのイメージなんでしょうか?

原書には「ガリバーは小人の12倍の大きさ。」

と書かれています。また、食事シーンでは、

「ガリバーの食事は(小人国人)300人で作り、1724人分の食事を用意した。」と書いてある。

実際は、体積12倍として3乗すると、12×12×12で1728人分が必要です。

ガリバーが仮に80kgの体重だったとすると1728分の一、

小人の体重は約46gという事になります。

ちょっと小さめのたまご一個ですね。

小さめの卵を手に持った時に、

ああ、小人はこれくらいだなー、と感じてもらえればほぼ間違いが無いです。 ワンピースの小人も、それくらいなのでしょうか!?

もうちょっと大きめのようにも見えますが。(^^)

(参照)ガリバーを戦争に巻き込んだ「ゆでたまご」 – たまごのソムリエ日記

ちょっと小ぶりで味のギュッと詰まった縁起モノ、「初産みたまご」↓↓ これお気に入りなんです(^^)

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カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2013年07月26日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

暑い日が続きますねー。
息子と半日泳いでいたら、
上半身まっ赤っ赤になってしまいました(^^;)

 

さて、本日はひんやりする話を。

日本でたまごが
日常的に食べられるように
なったのは、江戸時代から。

 

それまでは一般的に、

卵をたくさん食べるのは
「ちょっと恐ろしいコト」

だと考えられていたんです。

こんなお話しが残っています。

 


『日本現報善悪霊異記』(822年)

因果応報を信じないある男が、
毎日鳥の卵を探し出しては、
煮て食べていた。
ある日、
男の前に異形の兵士が現れた。 

「国府からの命令ダ。ツイテコイ。」

男は兵士の後をついていくと、
兵士は突然、
眼前の麦畑に男を押し込んだ。
と、
二尺の高さに生い茂っていた麦が
燃えあがる火と化した。 

足の踏み場もない!
燃え盛る炎の中を、
「熱い熱い!」
と泣き叫びながら
男は逃げ惑うが、
どこにも出口がない・・・!

さて、近隣の村人が
麦畑の近くを通ると、
「熱い熱い!」と叫びながら
麦畑を走り回っている男がいる・・・。
不届きなイタズラ者め!
と男を捕らえようとするが、
泣き叫ぶばかりで暴れるのを止めない。

ようやく捕まえて、
強引に畑から引きずり出した
ところ、
倒れ伏してようやく動かなくなった。

男は痛い痛いと呻きながら
「火の山の中を走り回っていたんだ!」
とこれまでのことを説明した。

村人達が驚き
裾をめくって足を見ると、
男のふくらはぎの肉は焼け爛れ、
骨だけになっていた。

そのまま翌日に
死んでしまったという。
この世にも地獄というものが
あるんだなぁ、と
村人たちは話し合ったそうである。

編者曰く、
「現世で鳥の卵を
煮たり焼いたりする者は、
死んでから 灰河地獄に落ち、
煮られた卵と同じ目に合うのである。」

・・・・・・と、
因果応報の大事さと
殺生を禁じる言葉で締めくくった。


と、いうお話です。

うーむ、
たまごを煮ちゃいけませんか・・・。

僕はたまご屋さんなので、
毎日ゆで玉子やオムレツ、
目玉焼きを食べてる
んですよねェ。(^^;)

この書が編纂されたのは平安初期、
作中の時代は奈良時代です。

お坊さんが
仏教の教えを広めるために、
わかりやすいエピソードを
まとめたもの、と言われています。

仏教では「無傷害」という言葉があり、
生命のあるものを傷つけること
殺生」を禁じています。

ですので、
この『日本霊異記』にある
エピソードでも、

猟師さん、漁師さんなど
狩りをする者はかっこうの
「ワルモノ」扱いです。

ただ、
現代に至る仏教の解釈では、
殺生がいけないわけじゃなくて
単に「快楽のためだけに殺生をすること」
がいけないことである

という考えにも至っています。

不殺生を突き詰めると、
植物ですら生命を持ってるわけ
ですから、
何にも食べられなく
なっちゃうわけです。

そもそも、
快楽主義と禁欲主義の間の
「中道」を行くべし

というのがブッダの教え。

現代に生きる我々としては、

肉も魚も卵もおいしく食べるけど、
命の恵みと大切さに感謝して
無駄にすることなくいただく

ことが地獄の炎に焼かれない
真っ当な生き方じゃないでしょうか。

・・・・・・ですよね!?(^^;)

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2013年07月22日

こんにちは!こばやしです。 しばらく県外におり、更新が滞っていました(^^;)

島根県松江市に、美保神社という古い神社があります。

ここは、全国3千社ある「えびすさま」を祀る神社の総本社(事代主神系)なんですが、この神社に「えびすさまはニワトリ嫌い。」という伝説が残っています。

昔々、えびすさまは毎夜この美保神社から海を渡ってミゾクイ姫様のところへデートに行っていたのですが、夜が明けて帰る時間を、ニワトリさんが知らせていたんですね。 ところがある日、まだ夜が明けていないのにうっかり鳴いちゃった事で、えびす様は暗いうちに船を漕いで、途中で櫓を落としてしまいます。

しょうがなく片足を海に漬けて漕いでいたところ、サメが寄ってきて足をガブッ・・・!

・・・・・・というわけで、大けがをしちゃったえびすさまは、以来ニワトリさんに激怒しているのだそうです。 えびすさまの片足がちょっと曲がっているのは、その時のケガのせいだとも言われています。

以来、この美保神社の周辺の人々は、ニワトリさんもたまごも食べない風習になっていたそうです。 かの小泉八雲の手記にも、この町(美保関)の宿で「卵はありますか?」と聞いて女中に「アヒルの卵なら。」と答えられたとのエピソードが残っており、少なくとも明治時代までは強くその文化が残っていたようです。

まァ、えびす様はもともと「の化身」、海の豊漁を祈る神様です。神話の昔からの古い町で立派な港がある土地柄ですから、「 海の恵みを大切にしようぜ。」という考えがこの伝説を産んだのかもしれません。

ほかにも鶏肉&たまごを食べない地域がいくつかあって、たとえば滋賀県の田村神社周辺、大阪の道明寺周辺がそうです。 いずれも発端となる興味深い伝説があります。 いずれ紹介します!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます(^^)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2013年05月20日