小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの歴史・文学・文化学 記事一覧

gouran1.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

鍋に焼き芋、ダイエットの敵、美味料理の多い時期でもありますよねー^^

さて、山盛りのたまごを目の前に置かれ、「卵を食べつくせ!」と責められる、そしてそれをガマンする。

そんな儀式を毎年行っている神社があります。

埼玉県にある鷲宮神社と言いまして、

最近は「らき☆すた」という人気アニメに登場し、若い人のあいだでも良く知られた神社となっているようです。

この儀式は「強卵式(ごうらんしき」と言います。

強卵頂戴人”なるお祓いを受けた人達が、神様の使いである天狗から、まずお酒を「飲め!」と責められます。

一滴残らず全部飲み干すまで、許してくれません。

なんだか体育会系の先輩みたいですねェ。

なんとか飲み干すと、今度は大皿に山盛りのたまごが出てきます。

この卵を食べつくせ!」と天狗にまたまた責められるのですが、今度は「食べません。この卵は、神様にお供え申し上げます。」と断わらなくちゃいけないんです。

えー・・・!?

「何を言う。食べろ!食べつくせ!」と何度も天狗に責められますが、ゼッタイに食べちゃいけません。 パワハラ先輩にはNO!という勇気です。(ちがうか)

そんな姿を見て、天狗は「立派な心がけじゃ。」としてその事を神様にご報告申し上げる・・・・・・。

・・・・・・という筋書きの神事です。

酒は飲んでもタバコは吸うな。

・・・・・・じゃなかった、タマゴは食べるな。

というわけです。

 

◆なぜ卵はことわるの・・・・・・!?◆
なぜ卵なのかというと、この鷲宮神社は「お酉さま」とも呼ばれ、すなわち鳥に関係があるわけです。 かつて源頼家公が病気を患ったさいに、母である北条政子が鶏肉と卵を断って祈願をしたところたちまち回復したとの故事もあり、この鷲宮神社にお参りをする際は『卵を断つ』ことが正式な祈願の方法なんだとか。

また、古来より卵は「生命の源」、神性を表わす象徴でもあります。 そのあたりのイメージも影響しているのではないでしょうか。

 

◆各地にある卵の「神社エピソード」◆
卵に絡んだ神社のエピソードはちらほらありまして、卵食を禁じる島根県の“美保神社”や滋賀県の田村神社、逆にお供えを奨励する群馬県“電電神社”や埼玉県出雲祝神社ちかくの“ハヤタの稲荷”などがあります。

ちなみに鷲宮神社の御祭神『天日鷲命』さまは、我が四国徳島県の忌部(いんべ)氏の祖先だそうで、なんというかご縁と親しみを感じております。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:えびす様はニワトリ嫌い? – たまごのソムリエ面白コラムエ

(関連:「生卵供える稲荷」伝承が今夏映画に – たまごのソムリエ面白コラム

(関連:闘鶏でお祈りをする神社-たまごのソムリエ面白コラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年11月26日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

明日は「秋分の日」ですが、たまごの世界的都市伝説がある日でもあります。

standing_egg3.png

それは、「昼と夜の長さが同じ日、すなわち秋分の日と春分の日の、一年で二日のみ、たまごを立てることができる」 というもの。

発祥は古代中国。

デマとして世界中に広がった(日本でも新聞一面トップをかざりました)後に、都市伝説として定着しました。

最近では、『春分点、秋分点では太陽に対して地軸が垂直になる。 だから、一年で最も安定した重力場となる。そのせいで卵が立つのである。』 という科学っぽい理屈がつくことで、欧米では若者のあいだにも広く伝わっている“迷信”です。

eggstanding2014.jpg

どのヘンがデマで迷信なのかというと、

一年に2日だけ、という点。

本当は、一年を通していつでも立つんですね。

やってみれば分かりますが、数分集中すれば、たいていの方が可能です。 たまごの殻は、思った以上に凸凹がありまして、うまく突起に加重を乗せることで、すんなりと立ちます。 重力うんぬんは全く関係ありません

 

◆やってみないと判らない
 今から50年以上も前、立春の日に世界同時実験をやってみて『おお!これはホントだ。』ということで大々的ニュースになっちゃったわけですが、これは非常に興味深い事でもあります。

常に身近にある卵でも、

『だれもやってみたことが無かった』

という発見がたくさんあるってことです。

「やってみなくちゃ判らない。」

というのは、ボクと息子が大好きなNHK番組「大科学実験」のキャッチフレーズです。

まったくそのとおりだなぁ

と、秋分の日、春分の日がくるたびにしみじみ思います。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:携帯通話で茹で玉子ができる!?【たまごの都市伝説】

(関連:一生脳卒中にならなくなる謎の「たまごドリンク」【たまごの都市伝説】

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年09月22日

sakasa_niwatori.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

我が家にも赤ちゃんがいるのですが、小さいお子さんについての悩みで多いのが、「夜泣き」。

鶏さんの絵を描いてさかさまに貼っておくと、夜泣きが止まる。

そういう伝承があります。 おまじない、ですね。

「おばあちゃんから聞いた。」なんて、結構たくさんのお母さんが、今でも実践している様子です。

調べてみると、もともとは三重県伊賀地方に古くからあったおまじないのようです。 「子供の近くに置く」「かまどに貼る」などで効果が出るのだとか。 ニワトリさんを祀る荷渡神社(山形県)にも「逆さ鶏さんの絵をかまどに貼って病を治す」という風習がありますので、もしかするとこちらが発祥なのかもしれません。

yonaki_ky.jpg

◆「鶏=時間」という図式
元来ニワトリさんは夜明けに鳴くことから「時告げ鳥」としての役割を担っておりまして、日本でも古くは「日本書紀」や「古事記」にもその役割が神話として記されています。

赤ちゃんの夜泣き、つまり逆転しちゃった昼夜の時間をひっくりかえす、そういう意味がこの『逆さ鶏さん』には込められているのかもしれませんね。

子育ての大変なお母さん、ぜひ一度お試しになってみてはいかがでしょうか?

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年09月11日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

みなさんも大好き、ふわふわのオムレツ。

英語で書くと「omelette」、この語源を知っていますか?

オムレツの語源は「オムレット(素早い男)」との説があります。

数あるたまご料理のなかでも特に手早くできる、美味しい料理なんですね。

帝国ホテルなどの高級ホテルでは、朝食メニューでお客様のテーブル、目の前でシェフがオムレツを作り出来立てをサーブするサービスがあります。 それが可能なくらい手早くハイクウォリティな料理ってことです。

ちなみに、ギネス記録のオムレツ早焼き記録は、米国在住ハワード・ヘルマー氏の“30分に427食”という記録。 まさにオムレット(素早い男)ですね!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年09月1日

fire_niwatori.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

先日「地獄から来た鶏」という異名の新型恐竜をご紹介しました。

さて、この「地獄」と「ニワトリ」というとりあわせ。

仏教ではずっとむかしからあるんですね。

奈良国立博物館所蔵の「地獄草子」という、その名の通り7つの地獄を絵巻にしたものによると、生前に犯した罪によってどの地獄へ行くかが決まるのだそうです。

その中の一つが、「鶏地獄」。

niwatorijigoku1.jpg

ニワトリさんのいる地獄です。

ここは生前に『生き物をいじめた人』が来る地獄で、なんと!火を吐く鶏に追い回され続けるという責苦が待っています。

・・・・・・

巨大ニワトリさんにつつかれて燃やされる・・・・・・

あまりタイヘンそうなイメージが湧いてこないですが、

確かに痛そうですねー。

ノースカロライナ州立大学の研究によると、ニワトリさんとティラノサウルスのDNAはほぼ一致するのだそうで、ニワトリさんは恐竜の正当な“子孫”であることが判っています。

鶏地獄は言うなればジュラシックパーク的な恐ろしさを味わえる地獄なのかもしれません。

 

niwatori_shinka.jpgでもなぜ鶏さんなのか・・・!?

火を吐くクマとか火を吐くライオンの方がよっぽど怖いんじゃないかとも思いますが、

そこは「生き物をいじめた人が落ちる地獄」ですから、人の身近にいて、卵を取られるは肉として食べられるわで、他の動物よりも比較的虐げられている率の高い動物・・・その代表として鶏さんが地獄でリベンジしているのだそうです。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

(関連:たまご・鶏の怖い伝説コラム一覧-たまごのソムリエ面白コラム)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年08月28日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

パキスタン北部の都市ペシャワールの若者は、ラダマン(断食)明けの伝統行事として「たまごファイト」なるゲームをするそうです。

eggfighting2015.jpg

どんなゲームかというと、

それぞれが自作の固ゆで玉子を持ち寄って、お互いにぶつけあう。 割れた方が負け。

勝ったもの同士がまた戦い、最後に残った一個・・・じゃなくて一人が優勝。

これだけのシンプルなルールです。

やってみると判りますが、結構コツがいります。

たまごの選び方、

たまごの持ち方、

ぶつけ方・・・・・・

いろんな要素があって、結構たのしいゲームです^^

パキスタンの若者は、それぞれが自分のたまごをオリジナルカラーで染め上げてゲームに臨むんですが、なんだかミニ四駆やポケモンバトルみたいで面白いですね。

eggfighting.jpg

 

◆世界中にある卵ぶつけゲーム◆

この「エッグファイティング」は、実は世界中で行われておりまして、「エッグタップ」「エッグジャーピング」なんて名前で呼ばれています。ヨーロッパでは、中世の時代から、競われていた記述が残っているんですね。

ちなみに英国では「エッグジャーピング世界大会」なる催しもあるそうです。 世界中から猛者が自慢の卵をもって駆け付けているんでしょうか!?

非常に気になります。 行ってみたい!

(参照:Pakistan children “egg fighting” to celebrate Ramadan

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年07月31日