小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの歴史・文学・文化学 記事一覧

 

shourui2.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

 

先日「生類憐みの令と卵」についてコラムを書きましたが、本日はその続き。

今度はニワトリさんについてのお話を。

さて、卵には「生類憐みの令」が適用されなかったわけですが、ニワトリさんについては違います。

わざわざ列挙された中に、お犬さまと併せてちゃんと項目を分けて明記されており、

生きた鶏の売買を禁ずる

となっていました。

生きた鶏を盗んだ者が磔にされた(処刑された)という記録も残っており、鶏サンも大切にされていたようです。

ちなみに『野生動物が鶏などの家畜を襲った場合はどっちの味方をすればいいのか?』

という疑問への回答もありまして、

「一,熊猪狼のたぐひ,たとへ人に喰掛り申さず候とも,人の養い置き候牛馬犬猫
鶏などの鳥獣を損し申すべき体に候はば,追払候て,損し申さざるように仕るべく
候。もし追払候節,先へ当り,死に申分は苦しからず候事」

「一,熊猪狼のたぐひ、たとへ人に喰掛り申さず候とも、人の養い置き候牛馬犬猫鶏などの鳥獣を損し申すべき体に候はば、追払候て,損し申さざるように仕るべく候。もし追払候節、先へ当り、死に申分は苦しからず候事」

つまり、「クマ・イノシシ・オオカミなどが鶏さん牛馬ネコなどを襲ってきたときは、傷つけないようにしておっぱらいなさい。 でも、追い払うときに石などに当たって死んじゃったなら、それはしょうがないです。」 という答えでして、「生類憐みの令」の目的が「治安維持」ですから、“生類”といえども優先順位があったようです。

たとへ人に喰掛り申さず候とも』の一文もちょっと気になります。

「たとえ人に襲いかかってこなくても」という事ですが、もし農場でニワトリさんがクマに襲われているのを見たとき・・・・・・、はたして逃げずに戦えるのか・・!? ニワトリ愛が試されますね^^;

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:鳥さんを牢に入れ遠島にした徳川綱吉【卵食は殺生になるの?】 – たまごのソムリエコラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年05月14日

suzume.jpg

こんにちは。たまごのソムリエ・こばやしです。

生類憐みの令で有名な5代将軍徳川綱吉のお話し。

ある日、綱吉が花見に出かけた際のことです。空を見上げたとたん、飛ぶ鳥のフンが顔にかかってしまいました。

怒り心頭の綱吉ですが、すでに「生類憐みの令」を発布しちゃったあと、まさか「殺せ。」と命じるわけにはいきません。

そこで、綱吉は鳥を「島流し」にすることを命じました。 江戸に大きな「鳥専用の牢屋」をつくり、その数が一万羽になるごとに八丈島まで運んで放していたのだとか。

うーん、すんごいムダ(?)ですねェ・・・・・・

ネコが死んだので流罪

蚊を叩き潰して遠島

「そんなムチャな。」

というくらいの重罪が人に対して適用されていた生類憐みの令ですが、さて「」についての罰はどうだったのでしょうか? 卵は“生命の源”ですが・・・・・・

◆たまごは“殺生”にあたるのか?
結論から言うと、卵は割って食べても大丈夫でした。

「そりゃそうじゃん。」 と思うなかれ。

仏教の教えで言うならば、卵を食べることは「殺生」にあたるんです。 事実、江戸時代より前には「卵を食べた。」という文書記録がほとんど出てきていません。 記録できない「罪」であり、「いけないこと」だったわけですね。

ところが、江戸時代に入ってその状況は一変しました。戦国時代に西洋文化が入ってくるのと同じくしてカステラなど南蛮菓子や玉子料理も伝わってきたことから、「たまご料理」の文化が大きく華開くことになるんです。 広く卵が食べられるようになったんですね。

tamago_sesshou1.jpg

「卵を食べること → 生き物じゃないので“殺生”じゃないよ。」という解釈に一気に変わっちゃったわけですね。

そして徳川綱吉の治世、1600年代後半にも、「江戸料理集(1674年)」ほか玉子料理のレシピについて記述した本がいくつも出版されていることから、「卵については、『生類憐みの令』的にも食べてかまわないよ!」という解釈だったと考えてよさそうです。

この「生類憐みの令」は犬や鳥を保護するだけではなく捨て子の保護なども含み、「生き物への慈愛」という意識を民衆に持たせることに成功し、治安維持として大きな効果を上げたとして近年再評価されつつあります。

仏教的に「卵食は殺生」であっても、“政策”として考えるならば「治安維持とはカンケーないのでオッケーだよ。美味しいしね♪」という具合だったんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年05月9日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

上の絵はフェルメールの代表作「ミルクをそそぐ女」。このすばらしい絵画、実は「たまご」とちょっとした関係があります。それはミルクが注がれている「壺」。この中に「卵が入っている」と言われているんですね。

なぜ分かるのでしょうか!?

テーブル上のカゴにはパンがありますが、それと別に牛乳をそそぐ壺の前に「ちぎったパン」が置いてあります。

これは、フェルメールさんの出身地オランダで広く食べられている家庭料理、「パンプディング」の調理シーンを描いたものとされているんですね。

Verme2_201406_2.jpg

このように、ミルクと卵&砂糖他にシナモンやレーズン・ナッツなどを、ちぎったパンに浸して焼き上げます。

breadpdd1.jpg

できあがりはこんなカンジ。美味しそうですねー!

 

◆硬くなったパンでも美味しくなる!『パンプディング』の魅力
冒頭のフェルメール絵を良く見ると、テーブル右端の「ちぎったパン」は粗く描かれ、カゴに入ったパンは細い線で柔らかな表現で描かれています、これは「硬くなった古いパンを料理している」表現なんだとか。

このパンンプディングという料理、フレンチトーストなどと同じく牛乳とたまごに浸して調理するため、普通にはとても食べられないような硬くなった古いパンでも美味しく料理できる、優れたお菓子なんですね。

手軽さもあってか、現代にいたるまでオランダっ子のソウルフードとなっておりまして、家庭ごとに味がちがうんですね。お雑煮や肉じゃがみたいな「自慢の我が家の味」ってわけです。

自分でも作ってみますが、とっても簡単で美味しいですよ!パンが余った時には、おススメです^^

基本のレシピもこんどご紹介しますねー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

参照:美の巨人たち

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2015年01月23日

ben_koramu1.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

インドとパキスタンのあいだにある、ベンガル地方。

この地方では古くから、若い女性がアヒルの卵を食べるのを禁じていたそうです。なぜなら、卵を食べると体が熱をもって「貞操の危機」にさらされてしまう、そう信じられたから。えー!

医学的なお話しでいうと、卵は良質のたんぱく質・アミノ酸がたっぷり含まれるため、“体の熱量保持”にかなり有効であることが判っています。 冷たい海にもぐるダイバーさんには、ゆでたまごを食べてから潜る、という方もいらっしゃるくらいなんですね。 もっとも、それで女性のみなさんが「貞操の危機」にさらされるのかどうかはなんとも言えませんが・・・・・・^^;

少なくとも寒い夜には「アツアツおでん卵」が非常に有効、ということは間違いありませんね!

◆たまごのちょっとエッチな話
さてさて、もう少し艶美なお話しを続けますと、

yudetamago201412.jpg

ナポリフェデリコ2世大学 ジュゼッペ・チリーノ教授の研究によると、実は『ゆでたまごにはバイアグラと同じ効果がある』のだそうです。 これは正確に言うと、たまごを茹でる事で発生する『硫化水素』、つまり「イオウっぽい」アノ香りに効果があるんですね。 この硫化水素は、体内に入ることで血行が促され、毛細血管など末端までの血流をとても良くすることが知られています。 “海綿体”も毛細血管の集まり……、なのでバイアグラと同様の効力を発揮するワケです。 うーむ。

ちなみに勃起不全に悩む男性の三分の一にはバイアグラの効果が無いそうですが、そういった方々にも効果が期待できるのだとか!?

※ホントは最も効果が大きいのは、ゆで卵じゃなくて「腐った卵」。たしかに「硫化水素ガス」が最大に出るのですが残念ながらトンデモナイ臭いなんです…

なんにせよ、たまごは、性的な効力のみならず体の活力全体を増す効果が、昔から伝えられています。 特に鶏さんが快適な大寒時期のたまごは、風水によると食べて活力が増し仕事が順調にいく「金運の上がるたまご」であると言い伝えられています!

明日からキューっと寒くなる!との予報です、ぜひたまご料理を食べて暖か元気にすごしてくださいませ!

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(参考:journal Proceedings of the National Academy of Sciences 2009)

journal Proceedings of the National Academy of Sciences

(関連:卵のガスが糖尿病合併症から血管を守る? – たまごのソムリエコラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年12月1日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

本日の金曜ロードSHOW!は「ガリバー旅行記」です。地上波初登場ということですが、これ現代風にアレンジされていて、結構面白いです。

さて、このガリバー旅行記の原作「ガリバー小人国へ行く」(スイフト著)は、ほとんどのみなさん絵本でご覧になった事があるかと思います。

船が難破し、流れ着いた王国は小人の国だった。おりしも隣国との戦争中だった小人国にガリバーは協力、敵艦隊の弓矢をメガネで防ぎ船に縄をひっかけて捕まえて帰り、大勝利をもたらした!

・・・・・・絵本だとこういうストーリーです。

では、なぜ隣の国と戦争していたのか?じつはそれはゆでたまご」が原因だったんですね。

卵には尖った方と丸い方とがあります。朝食のゆでたまごを『どっちから割るのか』を巡って隣国同士が対立し、戦争を引き起こしているんですねー。

ガリバーの活躍の裏には、たまごが大きく関係しているなんて!意外ですねー。(^^)

以前も当コラムで書きましたが、これは原作執筆当時の英国の宗教対立を面白おかしく批評したもの。原著者のスウィフトさんは、ほのぼの絵本なんてとんでもない、過激な風刺作としてこの本を書いていまして、当時は名前まで偽って執筆していたのだとか。

そう思って今夜放送の映画「ガリバー旅行記」を観ると、また違った感想がでてくるかも!? 個人的に主演のジャックブラックさんは大好きなんですね!ぜひお時間あれば、ゆでたまごの騒ぎを思い出しながら、ぜひごらんになってくださいませ!(映画ではゆで卵は出てきませんが…)

(関連:ガリバーを戦争に巻き込んだ「ゆでたまご」 – たまごのソムリエ面白たまごコラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年06月20日

sudati_tamago.jpg

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
以前、下記のようなたまご伝説をご紹介しました。

イタリアのモンフェラートでは、キリストが昇天した日に新しい巣で生まれた鶏卵は、胃と頭と耳の痛みを治し、麦畑に持ちゆけば麦奴の侵害を予防し、葡萄ぶどう園に持ち往けばその葡萄が霰あられに損害を受けることは無くなると信じられている 南方熊楠著 十二支考(下))

この「キリスト昇天日」というのが、本日!5月29日なんですねー。

この日のたまごを麦畑やぶどう園に持ってくと、畑を災害から守ってくれるという事ですが、お米の場合はどうなんでしょうかねェ・・・? なにせウチの会社のまわりは見渡す限り田んぼ、今朝も徳島は良い天気、私達のお届けする卵が農場から田んぼの間を通り抜けて自社選別場に入ってますので、もしかして多少は御利益があるかも・・・!?(^^;)今年も台風にやられることなく美味しいお米になってほしいものです。
「個人的な健康」の方としては、耳は良いのですが頭痛の方はわりとあるので、今日の産みたて卵を美味しく食べようとおもってます。

といってもほぼ365日、卵をたべてるのですが。

(宣伝です!)本日朝どれたまごのご発送はこちらから→「たまごのソムリエ 楽天オンラインショップ

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの歴史・文学・文化学 2014年05月29日