小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

米国で卵の買い占め発生・大幅に高騰中

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

コロナ禍、大変な事態となっていますね。各地で起こっている品薄化と買い占め、お国柄もあり、イタリアではパスタが買い占められ、ドイツではプレッツェルなどの塩菓子が買い占められたりしているようです。

そして、米国では卵・・・!が買い占め対象となっているのですね。

スーパーの卵コーナー棚はスッカラカンになっています。

また、スーパーで手に入らなくなっているものですから、今度は養鶏場へ直接買い求める人が殺到し、長蛇の列ができている様子です。

上の写真はカリフォルニア州の養鶏場ですが、購入者による長蛇の列に加え、購入待ちの車が1マイル以上も続いているのだとか!

うーむ、すごいですね。

〇不足により価格高騰中のなぜ?

米国農務省の報告によりますと、米国の鶏卵相場価格は3月16日一日で平均1パックあたり23~61円も上昇し、その後週がすすむにつれて10セント、20セントと上昇し続けています。

スーパーなど小売店のたまご販売数量は昨年同時期の200%を超えているのだとか。

卵はもちろん鶏さんが産むもので、急に沢山できるものではありません。需要と供給のバランスが完全に崩れているということですね。

うーん、これは大変です。

米国ではスタンダードな卵は1パック2ドルちょっとですから、たった一日で3割近くも価格が上がり、更に日々上がり続けていることになります。

〇なぜ卵を買い占める?

結局のところ、「引きこもる」ために食品を大量購入しているから足りないんです。

もともと土地が広いことから買いだめ思考があるアメリカ人ですが、たまごは冷凍もできないため売り方も生鮮野菜に近く、その日その日のものしか在庫を持たない店も少なくありません。 そこへ数週間分の食糧として一気に買い求めているというのが不足を引き起こしているようです。

とはいえ、その分レストランへ食べに行く人は減っているわけですから、そこで使う卵は余っているはずです。ここまで足りなくなるのはちょっと変ですよね。

調べてみると、米国の現状では、業務用(飲食店向け)たまご需要は25%程度しかダウンしていません。つまり「外食では肉や魚を食べるけども家で料理するなら卵だよね。」という消費者のニーズがあるので、たまごに殺到しているわけです。

〇日本とは違う、食品へのコロナ不安

もう一点、国ごとで、住む人の情報把握に違いがあります。

この状況、日本でも同じことが起こってもおかしくないはずですが、そうなってはいませんよね。日本でのたまご相場も昨年よりは高いものの、一昨年と同じくらい、例年並の範疇です。

これは、「コロナウィルスと食品不安」に差があるから。

海外では「食品からもコロナウイルスがうつる」と思っている人が相当数いるのです。

例えば欧州食品安全機関(EFSA)は3月9日に「現時点で、食品がウイルスの感染源または感染経路である可能性を示す証拠はない」と発信していますし、ドイツ政府もその翌日に「食品を介したコロナウイルス感染の可能性は低い」とわざわざ念押しの発表をしています。

米国でも「food business news」他多数のメディアで「食品=ウイルスはうつらない。大丈夫!」と喚起をしています。

逆に言うと、多くの人がそこに不安を持っているということですね。

コロナを避け鶏卵に殺到するということは、

加工が入る肉などよりも、カラに包まれた卵の方が人の手に触れておらず安心感がある、と感じる人が多くいるからかもしれません。

日本ではコロナウィルスによる食品不安って、ほとんどありませんね。

食品じゃなく、こわいのはヒト感染

だから、うがい、手洗い、マスク、

そういう意識が早くから共有できたことが、無用な食料買い占めパニックを防いでいるのかもしれません。(その分マスクの買い占めが起こっているわけですが…)少なくとも『卵パニック』になっていないのは、意識共有のおかげじゃないかと思います。

また、毎日の新鮮な食料供給への信頼感を、皆さまがお持ちくださっている事も、大きいですよね。本当に感謝です。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース2020年03月21日