小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの海外ニュース 記事一覧

買う人が良くても
世の中に良くないとダメ、
そんなお話です。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

スペインの量販店チェーン
メルカドーナが

調理済み『目玉焼き』

の販売を開始して
話題になっています。

おいしそうだね!

…という話題じゃなくて批判の方で。

これ、目玉焼きにしたものが
真空パックされていまして
「45秒チンしてお召し上がりください」
と書かれて販売されているものです。

2食セットで1.8ユーロ。
255円ですね。

一食130円くらい・・

ちょっと高い気もしますが、
まぁこんなものでしょうか。

なぜ批判をあびているかというと
スペイン独特の問題があるから
なんですね。

怒っているのは
『環境配慮』を重視するみなさん。

スペインでは少し前に
新しくプラスチック廃棄物法
制定されまして、

1.5kg以下の果物や野菜卵の
プラスチック包装が禁止に
なったのです。

ですが、
この目玉焼きみたいな
「加工食品」調理されたもの
には使って構わないんですね。

「抜け道じゃないのか!」

「ラクするために環境破壊してるじゃないか!」

という批判がSNSで
巻き起こっているわけです。

他にも、
みかんの皮をむいて
個別パッケージに入れた
包装商品もやり玉にあがっています。

目玉焼きくらい自分で焼け
みかんくらい自分で剥けよ
地球環境のために!

という事です。

なるほど
まことにごもっともな
批判ですね~・・・。

ちなみに
「調理済み目玉焼き」って
日本でもあるんですが、
基本的に「業務用」で、
卵の加熱調理ができない場で
使われる冷凍品です。

 

◆生もので割れ物な卵の課題

じつは以前にも、
宅配食材のブルーエプロンで
「容器使いすぎ」という
批判がでていたことがあります。

食材を切ったり余りが出ないため
小分けをしてあるので、
たまごだってこんな風に一個単位の
容器なんですね。

たまご自体は割れ物なので、
どうしても少し高度な容器が
必要になります。

とはいえ、
「しょうがない」ということは
理由にならなくなってきています

社会的に意義のあることである
必要がより大事になってきており、
より大きな目的を考えたうえで
商品をつくる世の中になっています。

前述のスーパーのみかん目玉焼きでも
たとえば多い量を持てない
お年寄りのために、とか

障害のある方向けに
剥いたもの、

とかの納得できる目的があれば
また違うのかもしれません。

たまごの包材についても、
またあなたのお店の料理についても
少し大きめの目線「大義」を
確認する必要があるかもしれません。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

(参照:Pre-cooked FRIED EGGS cause outrage after hitting shelves in Spain | Daily Mail Online

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年12月4日

昨日の続きで、本日も
たまごの保存性について。


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前にイギリスのTVで

たまごを冷蔵庫に入れるな

という内容のシェフの提言が
報道され、少し話題になりました。

そのほうが美味しさが
長持ちするから

そんな趣旨です。

Food storage hacks: Chef warns ‘never put eggs in the fridge’ – where to keep them | Express.co.uk

今イギリスでは、食品ロスの問題に
焦点があたっていまして、年間で
450万トンの食品廃棄を減らす

そのために「スーパーの賞味期限撤廃」
などの取り組みが進んでいるんですね。

「牛乳も賞味期限なくそうぜ。」
なんていう議論もありまして、

そんな中で、プロのシェフさんから

「たまごは長持ちな食品だ。」

「常温で保存するべきだ。」

「そのほうが美味しくなる。」

という提言があったわけです。

実際のところ、どうなのでしょうか?

飲食店さんでも冷暗所、冷蔵保管
様々なケースがありますよね。

実はこの提言は正しくもあり、
間違ってもいるのです。

 

◆常温でも長持ちするのは事実

たしかに、たまごは生鮮品・
無加工畜産物としては異例の
菌耐性がありまして、ちょっと
意外なほど常温でも長持ちします。

映画「火垂るの墓」でも、
空襲があった際に貴重品を
地中に埋めた長もちの中にも
たまごを入れておいて、
ずいぶん経ってから取り出す
そんなシーンがありました。

温度にもよりますが、
皆さんがイメージされるよりも
意外と長もちなのは事実です。
(通年の常温であれば2週間はゆうに生食可です)

そういう意味では、
たまごを使い切るまでが
さほど長期でなければ常温でも
大丈夫、ということになります。

 

◆品質は高温ほど変わりやすい

ただしデメリットがありまして、
たとえば食感の変化

たまごの保存中には
たまごの白身と黄身の間で
水分の移動がおこりまして

食感がどんどん緩くなるのです。

夏場などには鶏が水分をたくさん
飲む事で食感が弱くなるのですが

それと同じことが
常温保存だと冷蔵よりも
早く起こるという事です。

ですので、
ぷるんと食感を楽しむ
生食の場合や、目玉焼きなど
ハリの良さが必要な料理は
冷蔵保存したほうが使いやすい
ということになります。

 

◆常温保存のメリットもある

前述の英国人シェフさんも
指摘していますが、常温保存には
メリットもあります。

それは、

「他食材の香りが付かない」

ということ。

たまごは殻に一万個の気孔が空いてまして、
そこから常にガス交換をしています。

そのため周囲にあるものの香りを
吸い込んでしまうのです。

そして、冷蔵庫ではこの
香りがついてしまうことが
往々にして起こってしまうのです。

『繁盛しているお店のたまご料理は美味しい』

よく聞く話ですが、これは

たまごに香りがつく
前に使い切るから

という理由です。


まとめますと、

・卵は常温でも長く保存できる
(生食2週間以上)

・冷蔵ほど経時変化が少ない
(長く品質を保てる)

・冷蔵庫以外だと、他食材の香りがつきにくい

 

つまり、
基本は卵を冷蔵保存する
方が品質的に望ましく、

客数の多いお店さんや
加熱前提の卵メニューの
お店さんなら

常温保存で、

新鮮なうちに
サッと卵を使い切ったり

食感のゆるみをカバーしながら
加熱で使う

そのほうがメリットもある
ということですね。

ご参考くださいませ。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年09月6日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

英国オックスフォードシャー州
に住むアナベルさんちの
ニワトリが

まん丸のたまご

を生んだとして
英国で話題になっています。

(Brize Norton family to auction round chicken egg – BBC News https://www.bbc.com/news/uk-england-oxfordshire-62506275)

以前ご紹介した
「廃鶏を殺処分から救う」
プログラムで
引き取られた鶏で、

今後はこのたまごを
オークションにかけ、
「その収益で更に多くの
ニワトリをすくっていくつもりだよ。」
とおっしゃっています。

『丸いたまご』のオークション

『カタチが丸い』タマゴ、
あなただったらいくら入札しますか?

じつは7年ほど前に
『まん丸のたまご』が
ネットオークションに
出品されたことがありまして、


その際はなんと!
480ポンドの値が付きました。

一個8万円・・・!

これはスゴイですね。

5年前にも同じく
まん丸のたまごが
オークションに出品された
のですが、その際の価格は

102ポンド(約2万円)

これもなかなかです。

個人的にはコレがいちばん
真球で美しく見えますね。

今回は、いくらになるのでしょうね~・・・!

 

◆超レアではあるが・・・

こういう卵は、
とき~~どき出て話題になります。

ホントかウソか、

10億分の一の確率

なのだとか。

ただ、日本だけでも
年間に400億個ほどの
たまごが生産されますので、
計算上毎年40個は発見されても
おかしくないのかもしれません。

◆そもそもなぜたまごは楕円形?

そもそも、なんでたまごは
長細い楕円形なのでしょうか?

物理的には
真球が構造上もっとも
頑丈になります。

現に、多くの魚、
ワニなど爬虫類や両生類も
みんなまん丸たまごです。

鳥類だけ違う。

それは、

坂を転がっても
元の場所にもどってくるため

なんです。

高いところに巣をつくる
鳥類ならではですね。

ですので、ニワトリさんよりも
傾斜の厳しい岩場に住むカモメの
方が、より尖っています。

 

◆強みを捨てて尖ってみよう

これ、〇で壊れにくいという特徴から

強度を多少犠牲にしても
カタチを変えて
別のメリットと対策を取った

とも言えます。

商売の戦略でも同じですよね。

マイルドな料理メニューに
しちゃうと、

万人受けはすれども
決して満足度大にはなりえない

それよりも
ちょっと強みを捨てても
どこか尖ったところを持つことで
新たな進化をしていく・・・

卵屋も飲食店さんも菓子店さんも

卵の進化とおなじ・・・!

なのかもしれません。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年08月12日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

ドイツには「にわとりを助けよう(Rettet das Huhn)」という協会がありまして、

たまごを生み終わったニワトリを飼ってくれる人を募集し

引き渡す取り組みをしています。

 

卵を産むニワトリさんは通常、

2年ほど飼育期間があります。

それを過ぎると

サイズ不適卵が増える

ひび割れが増える

などが起こるようになり、飼育コストが見合わなくなってしまうのです。

 

実際はニワトリさんは10年ほど生きます。

長いものでは15年と言われていまして

確かにかわいそうな側面があります。

そのまま飼い続けるのが理想なのでしょうが、

そうすると卵は一個1000円でもキビしい単価になってしまいます。

難しいですね~・・・。

 

もともと動物愛護はコストにとても影響しやすくって、

たとえばドイツでは法律で

余ったヒヨコの殺処分が禁止になりました。

 

するとそのコスト増から鶏卵価格は高騰

EU内周囲の国との競争に負けつつあり

鶏卵業界が苦境に立たされる

ようにもなっています。

コスト面を考えた飼育

つまり「経済動物」ではできない、

 

ニワトリさんを愛してくれる

人達が老後まで飼育してくださるなら、

これは一つの小さな解決策です。

2008年以降、10万羽を引き渡したそうで、

ステキな取り組みですね。

 

ちなみに日本では、

卵を産み終わったニワトリは

ほぼすべて食肉となります。

ボク自身は、

『感謝して命をいただく』ことは

ひとつの供養だと思っていますので

この事に反対する気持ちはありません。

 

ただ、

「たまご」は牛乳と合わせて

畜産物でほぼ唯二の

『命を奪わずに得られる動物性たんぱく質』

です。

 

食肉として

命を奪うことに心を痛め

解決をしたい、と願う人たちが

親鶏のことを考えてくださること、

とてもうれしく感じます。

 

◆セカンドベストはすごいこと

そうはいっても

ドイツには採卵だけで4800万羽もニワトリがいますし、

日本に至っては世界トップクラス1億5千万羽です。

すべてをこの方法で救う事はできません。

 

でも、

次善の策・セカンドベストとして

有効な手段ではありますよね。

 

理想の状態があって

現状とのギャップを

「まず今より良い状態」にできる

セカンドベストな方法で

どんどん埋めていく…

 

これは、飲食店さんでも

僕たち卵屋でも

どの商売でも必要なことですよね。

 

僕も考え続けます。

 

ここまでお読みくださって

ありがとうございます。

(参照:Rettet das Huhn: “Adoptiveltern” für Ex-Legehennen gesucht | NDR.de – Nachrichten – Niedersachsen)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年08月1日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

世界的な穀物価格高騰で
日本だけじゃなく東南アジア全域でも
鶏卵の価格が高くなってきています。

 

いや、たまごに限らず
穀物を食べる畜産全般ですね。

 

一昨日のニュースですが、
マレーシア国内貿易消費者省の
ノレナ・ジャアファル局長が
地元ニュースのインタビューで

 

「最近の値上がりで
卵が買えなくなったら、
そのぶん食べる量を
減らせばいいだろう。」

なんて答えて、
SNSで大炎上しています。

「1週間に20個
食べていた卵を、
15個・10個と
減らせばいいんです。」

とも言ってまして、

 

「生活に一番大事な
たんぱく源なのに!」

「たまごで栄養を
取っている国民を
何と思っているんだ!」

・・・と怒りの声があがってるんですね。

 

うーん「減らせば?」は
「代わりにケーキ食べれば?」の
マリーアントワネットよりひどいですね~(汗)

 

マレーシアは価格高騰対策に
何度も価格統制をやっていまして、

 

今年の初めにも

「これ以上、卵の値段を上げるな。」

なんてお触れをだしています。

世界的な飼料高騰で
現状そんなこと言っている
状況じゃないですから
業界も猛反発していまして

 

先月末までの価格統制のなかでも、
すでに全国のたまご屋・養鶏業者で
1000件超えての価格販売違反が発生
という大変な事態となっています。

ちなみに
マレーシアは超卵好き国でして、
2015年から統計を取っていませんが
その際は年間一人315個の消費、
一人330個の日本に次いで

世界第三位

でした。

 

高官の「週に20個食べるのは・・・」
というのも割と実情を踏まえた
表現なんですね。

 

たまご屋としては
とてもシンパシーが沸きます。

 

◆日本の現状相場価格は…

日本でも状況は同じでして、
相場価格自体は需要と供給の
バランスによって決まるため

 

鳥インフルエンザ大発生で
大不足した昨年よりは低価格ですが、
それでも過去5年では昨年に次いで
高価格となってきています。

この先飼料価格高騰と
円安の双方がさらに進むと
全国で減産方針となり
秋口くらいには相場高騰へと
進んでくることも考えられます。

 

せめて四半世紀ぶりの
超円安だけでも
解消されれば違ってくるのですが・・・

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年07月8日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

TikTok中心に海外で「エッグクレンジング」

なるものが話題になっていますね。

なんでもメソアメリカの儀式で、

卵を使ってオーラを浄化するというものです。

 

レモン水で洗った卵を、

頭から腕、胴体、足へとコロコロと体全体に転がす

 

そうすると、

あなたの魂や精神、オーラから卵が

すべてのネガティブなエネルギーを取り除いてくれる。

 

その後、卵を割ってみて、黄身のカタチをみて、

泡があればマイナス感情

くもの巣っぽいシワがあれば誰かの嫉妬

そんなものが取り出されたことがわかる…

 

・・・という「儀式」です。

うーん、なかなか興味深いですね。

 

僕がお伝えする

たまごの「ここがイイ!」という紹介は、

論文やデータなど、

根拠があるものだけです。

 

ですので、この儀式が万人に

ホントに効果があるかどうか

は正直わかりません。

 

ただ、自分を癒すひとつの手法として

「たまご」が使われ

拡散され実行されているという点に

面白さを感じます。

 

かつてコロンブスが

アメリカ大陸から持ち帰ってしまった梅毒は

その後ヨーロッパで広まり、

ナゾの新しい奇病だったことから

 

その治療方法として

「ひよこ」を患部にやさしく当てる

という施術(?)が

されていました。

 

たまごやヒヨコ、

ニワトリさんを「癒し」とする考えは

昔っから続いている

ともいえるかもしれません。

 

じっさい、米国のデータでは

ヒヨコの売上・たまごの売上は

社会不安がある年ほど大きくなるとの報告もありまして、

 

金融不安の年や大統領選挙の年、コロナ禍でも

たまご・ひよこの売上が増えています。

 

そもそも生命の源である「卵」を神聖視する文化って世界中にありまして、

「たまごから生まれた」なんていう伝説を持つ英雄がいる国も少なくありません。

 

欧米のキリスト教文化圏なんて、

「卵を信奉する」みたいな土着の宗教を

徹底的に排除して広まったために

聖書にも不自然なくらい「鶏卵」の記述がまったくないのですが、

なのに、そういった卵神聖視の文化とふたたびくっついて

 

復活祭のイースターエッグとか

イタリア謝肉祭の“卵投げ”や

英国の教会主催の“たまご渡し”みたいな

教会主導の「たまごのお祭り」があちこちにあります。

 

つまり、いまTikTokでバズってる

卵=癒される

という考えは、長い歴史の産物とも言えるんです。

 

僕はたまごって『美味しく食べるもの』

だと思ってますので、

エッグクレンジングは

「もったいないな」

という感覚ですが、この

「たまご=癒し」の感覚って有効に使うべき、とは思ってます。

 

たとえば、

『ホッとする』

『昔ながらの』

『ふわっと』

みたいな癒しキーワードと玉子料理って

かなり相性良いんですね。

 

やってみると注文数が伸びるキーワードが

たくさんあります。

 

食材として長く家庭で普及しているとか

健康的な感覚とか

いろんな要因はありますが、とにかく

 

コロナ禍で不安の多い情勢です、

ちょっとでも安心や癒しにつながる

あなたのお店のメニュー要素として、

『たまごメニュー』+『いやし』キーワードで

考えてみてはいかがでしょうか!?

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2021年10月4日