小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまごの海外ニュース 記事一覧

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

英国オックスフォードシャー州
に住むアナベルさんちの
ニワトリが

まん丸のたまご

を生んだとして
英国で話題になっています。

(Brize Norton family to auction round chicken egg – BBC News https://www.bbc.com/news/uk-england-oxfordshire-62506275)

以前ご紹介した
「廃鶏を殺処分から救う」
プログラムで
引き取られた鶏で、

今後はこのたまごを
オークションにかけ、
「その収益で更に多くの
ニワトリをすくっていくつもりだよ。」
とおっしゃっています。

『丸いたまご』のオークション

『カタチが丸い』タマゴ、
あなただったらいくら入札しますか?

じつは7年ほど前に
『まん丸のたまご』が
ネットオークションに
出品されたことがありまして、


その際はなんと!
480ポンドの値が付きました。

一個8万円・・・!

これはスゴイですね。

5年前にも同じく
まん丸のたまごが
オークションに出品された
のですが、その際の価格は

102ポンド(約2万円)

これもなかなかです。

個人的にはコレがいちばん
真球で美しく見えますね。

今回は、いくらになるのでしょうね~・・・!

 

◆超レアではあるが・・・

こういう卵は、
とき~~どき出て話題になります。

ホントかウソか、

10億分の一の確率

なのだとか。

ただ、日本だけでも
年間に400億個ほどの
たまごが生産されますので、
計算上毎年40個は発見されても
おかしくないのかもしれません。

◆そもそもなぜたまごは楕円形?

そもそも、なんでたまごは
長細い楕円形なのでしょうか?

物理的には
真球が構造上もっとも
頑丈になります。

現に、多くの魚、
ワニなど爬虫類や両生類も
みんなまん丸たまごです。

鳥類だけ違う。

それは、

坂を転がっても
元の場所にもどってくるため

なんです。

高いところに巣をつくる
鳥類ならではですね。

ですので、ニワトリさんよりも
傾斜の厳しい岩場に住むカモメの
方が、より尖っています。

 

◆強みを捨てて尖ってみよう

これ、〇で壊れにくいという特徴から

強度を多少犠牲にしても
カタチを変えて
別のメリットと対策を取った

とも言えます。

商売の戦略でも同じですよね。

マイルドな料理メニューに
しちゃうと、

万人受けはすれども
決して満足度大にはなりえない

それよりも
ちょっと強みを捨てても
どこか尖ったところを持つことで
新たな進化をしていく・・・

卵屋も飲食店さんも菓子店さんも

卵の進化とおなじ・・・!

なのかもしれません。

 

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年08月12日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

ドイツには「にわとりを助けよう(Rettet das Huhn)」という協会がありまして、

たまごを生み終わったニワトリを飼ってくれる人を募集し

引き渡す取り組みをしています。

 

卵を産むニワトリさんは通常、

2年ほど飼育期間があります。

それを過ぎると

サイズ不適卵が増える

ひび割れが増える

などが起こるようになり、飼育コストが見合わなくなってしまうのです。

 

実際はニワトリさんは10年ほど生きます。

長いものでは15年と言われていまして

確かにかわいそうな側面があります。

そのまま飼い続けるのが理想なのでしょうが、

そうすると卵は一個1000円でもキビしい単価になってしまいます。

難しいですね~・・・。

 

もともと動物愛護はコストにとても影響しやすくって、

たとえばドイツでは法律で

余ったヒヨコの殺処分が禁止になりました。

 

するとそのコスト増から鶏卵価格は高騰

EU内周囲の国との競争に負けつつあり

鶏卵業界が苦境に立たされる

ようにもなっています。

コスト面を考えた飼育

つまり「経済動物」ではできない、

 

ニワトリさんを愛してくれる

人達が老後まで飼育してくださるなら、

これは一つの小さな解決策です。

2008年以降、10万羽を引き渡したそうで、

ステキな取り組みですね。

 

ちなみに日本では、

卵を産み終わったニワトリは

ほぼすべて食肉となります。

ボク自身は、

『感謝して命をいただく』ことは

ひとつの供養だと思っていますので

この事に反対する気持ちはありません。

 

ただ、

「たまご」は牛乳と合わせて

畜産物でほぼ唯二の

『命を奪わずに得られる動物性たんぱく質』

です。

 

食肉として

命を奪うことに心を痛め

解決をしたい、と願う人たちが

親鶏のことを考えてくださること、

とてもうれしく感じます。

 

◆セカンドベストはすごいこと

そうはいっても

ドイツには採卵だけで4800万羽もニワトリがいますし、

日本に至っては世界トップクラス1億5千万羽です。

すべてをこの方法で救う事はできません。

 

でも、

次善の策・セカンドベストとして

有効な手段ではありますよね。

 

理想の状態があって

現状とのギャップを

「まず今より良い状態」にできる

セカンドベストな方法で

どんどん埋めていく…

 

これは、飲食店さんでも

僕たち卵屋でも

どの商売でも必要なことですよね。

 

僕も考え続けます。

 

ここまでお読みくださって

ありがとうございます。

(参照:Rettet das Huhn: “Adoptiveltern” für Ex-Legehennen gesucht | NDR.de – Nachrichten – Niedersachsen)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年08月1日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

 

世界的な穀物価格高騰で
日本だけじゃなく東南アジア全域でも
鶏卵の価格が高くなってきています。

 

いや、たまごに限らず
穀物を食べる畜産全般ですね。

 

一昨日のニュースですが、
マレーシア国内貿易消費者省の
ノレナ・ジャアファル局長が
地元ニュースのインタビューで

 

「最近の値上がりで
卵が買えなくなったら、
そのぶん食べる量を
減らせばいいだろう。」

なんて答えて、
SNSで大炎上しています。

「1週間に20個
食べていた卵を、
15個・10個と
減らせばいいんです。」

とも言ってまして、

 

「生活に一番大事な
たんぱく源なのに!」

「たまごで栄養を
取っている国民を
何と思っているんだ!」

・・・と怒りの声があがってるんですね。

 

うーん「減らせば?」は
「代わりにケーキ食べれば?」の
マリーアントワネットよりひどいですね~(汗)

 

マレーシアは価格高騰対策に
何度も価格統制をやっていまして、

 

今年の初めにも

「これ以上、卵の値段を上げるな。」

なんてお触れをだしています。

世界的な飼料高騰で
現状そんなこと言っている
状況じゃないですから
業界も猛反発していまして

 

先月末までの価格統制のなかでも、
すでに全国のたまご屋・養鶏業者で
1000件超えての価格販売違反が発生
という大変な事態となっています。

ちなみに
マレーシアは超卵好き国でして、
2015年から統計を取っていませんが
その際は年間一人315個の消費、
一人330個の日本に次いで

世界第三位

でした。

 

高官の「週に20個食べるのは・・・」
というのも割と実情を踏まえた
表現なんですね。

 

たまご屋としては
とてもシンパシーが沸きます。

 

◆日本の現状相場価格は…

日本でも状況は同じでして、
相場価格自体は需要と供給の
バランスによって決まるため

 

鳥インフルエンザ大発生で
大不足した昨年よりは低価格ですが、
それでも過去5年では昨年に次いで
高価格となってきています。

この先飼料価格高騰と
円安の双方がさらに進むと
全国で減産方針となり
秋口くらいには相場高騰へと
進んでくることも考えられます。

 

せめて四半世紀ぶりの
超円安だけでも
解消されれば違ってくるのですが・・・

 

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2022年07月8日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

TikTok中心に海外で「エッグクレンジング」

なるものが話題になっていますね。

なんでもメソアメリカの儀式で、

卵を使ってオーラを浄化するというものです。

 

レモン水で洗った卵を、

頭から腕、胴体、足へとコロコロと体全体に転がす

 

そうすると、

あなたの魂や精神、オーラから卵が

すべてのネガティブなエネルギーを取り除いてくれる。

 

その後、卵を割ってみて、黄身のカタチをみて、

泡があればマイナス感情

くもの巣っぽいシワがあれば誰かの嫉妬

そんなものが取り出されたことがわかる…

 

・・・という「儀式」です。

うーん、なかなか興味深いですね。

 

僕がお伝えする

たまごの「ここがイイ!」という紹介は、

論文やデータなど、

根拠があるものだけです。

 

ですので、この儀式が万人に

ホントに効果があるかどうか

は正直わかりません。

 

ただ、自分を癒すひとつの手法として

「たまご」が使われ

拡散され実行されているという点に

面白さを感じます。

 

かつてコロンブスが

アメリカ大陸から持ち帰ってしまった梅毒は

その後ヨーロッパで広まり、

ナゾの新しい奇病だったことから

 

その治療方法として

「ひよこ」を患部にやさしく当てる

という施術(?)が

されていました。

 

たまごやヒヨコ、

ニワトリさんを「癒し」とする考えは

昔っから続いている

ともいえるかもしれません。

 

じっさい、米国のデータでは

ヒヨコの売上・たまごの売上は

社会不安がある年ほど大きくなるとの報告もありまして、

 

金融不安の年や大統領選挙の年、コロナ禍でも

たまご・ひよこの売上が増えています。

 

そもそも生命の源である「卵」を神聖視する文化って世界中にありまして、

「たまごから生まれた」なんていう伝説を持つ英雄がいる国も少なくありません。

 

欧米のキリスト教文化圏なんて、

「卵を信奉する」みたいな土着の宗教を

徹底的に排除して広まったために

聖書にも不自然なくらい「鶏卵」の記述がまったくないのですが、

なのに、そういった卵神聖視の文化とふたたびくっついて

 

復活祭のイースターエッグとか

イタリア謝肉祭の“卵投げ”や

英国の教会主催の“たまご渡し”みたいな

教会主導の「たまごのお祭り」があちこちにあります。

 

つまり、いまTikTokでバズってる

卵=癒される

という考えは、長い歴史の産物とも言えるんです。

 

僕はたまごって『美味しく食べるもの』

だと思ってますので、

エッグクレンジングは

「もったいないな」

という感覚ですが、この

「たまご=癒し」の感覚って有効に使うべき、とは思ってます。

 

たとえば、

『ホッとする』

『昔ながらの』

『ふわっと』

みたいな癒しキーワードと玉子料理って

かなり相性良いんですね。

 

やってみると注文数が伸びるキーワードが

たくさんあります。

 

食材として長く家庭で普及しているとか

健康的な感覚とか

いろんな要因はありますが、とにかく

 

コロナ禍で不安の多い情勢です、

ちょっとでも安心や癒しにつながる

あなたのお店のメニュー要素として、

『たまごメニュー』+『いやし』キーワードで

考えてみてはいかがでしょうか!?

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2021年10月4日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

つい先週、こんなニュースが海外で話題になっています。

“シルバーレイク公園でのボランティアによる卵漬け作業に抗議が殺到 (Protest greets volunteer egg-addling effort in Silver Lake Park | Post Bulletin)”

これ、どういうことかと言うと、

米国にシルバーレイク公園という大きな自然公園があるのですが、そこのガン(ガチョウ)が増えすぎたのですね。で、数を減らすために「卵に油を塗る」作業をボランティアでしていたところ、「なんてかわいそう!」という抗議が殺到して騒ぎになっているのです。

卵が孵化14日目になっていないものに限るから人道的だよ、残す卵もあるので全滅じゃないよ、という意見に対して、「生まれないのを分かっていて抱卵させるなんて親鳥がかわいそう」「プラスチックの偽卵と入れ替えるべき」「規模が大きすぎだ」などの反論がでて対立しているようです。

さいしょに読んだときは「そんなことせずに獲った卵を責任もって食べちゃえばいいのでは。」とも思ったのですが、それだと減った分だけまた産んでしまうので意味がないんですね。

うーん、動物愛護の視点と環境バランスの観点が絡み合っていて、なかなか難しい問題です。

さて、

事の是非はちょっと置いておいて

ちょっと興味深いのが、

「卵に油を塗る」という点。

なぜ、それで「雁の数を減らせる」のでしょうか‥‥‥!?


〇卵は呼吸をしている

すべすべとした卵のカラ。

実はこの卵殻には、なんと一万個もの微細な穴があいています。

「気孔」というのですが、そこから呼吸(ガス交換)をしているんです。

有精卵の場合はこの気孔から酸素を取り込んで胚が育ちますので、すなわち上記のニュースのように油でコーティングしてしまうと、かわいそうですがそれ以上育たなくなります。

有精卵だけじゃなく、あなたのご家庭の冷蔵庫にある卵も同じ。

呼吸(ガス交換)をしています。

なので、保存中にその影響がでます。

食用たまごの場合はメリットとデメリットがありまして、

まずメリットは、呼吸の結果、ゆでたまごがキレイに仕上がる、ということ。

産みたての卵にはたっぷりの炭酸ガスが含まれていてpHが低く、そのせいで茹でると白身が卵殻膜とくっついてきれいに剥けません。あちこちくずれてボロボロになっちゃいます。

でも、気孔から3日ほどかけてゆっくりと炭酸ガスが抜けまして

そうすると、ツルン!と剥けます。

呼吸のデメリットは、卵の「鮮度」が落ちやすくなること。

油などでコーティングして呼吸を止めると、有精卵は成長が止まってしまいますが、

卵の鮮度は長持ちすることが知られています。

これはいろんな研究データがあるのですが、油などでコーティングして呼吸を止めることで、まず黄身の盛り上がりや、白身のプリッとした弾力性などのいわゆる「張り」が長持ちします。

海外にはそのために開発された卵に膜をつくるバイオコーティングまで作られています。

(関連:ふりかけるだけで卵の保存性を劇的に伸ばすバイオシールドが開発される!?【インド】 | たまごのソムリエ面白コラム

その他、呼吸によりそばにあるいろんな食材の香りを吸ってしまうなど、いくつかの影響があります。

あまり卵を長期間保存することなんて無いかと思いますが、災害などで局所的に食料供給が絶たれ、なにがしかの保存性を求められるサバイバル状態が来るかもしれません。

もしそんなときがありましたら、卵と油の関係を思い出してくださいませ。

上記のニュースの環境トラブルは重要な問題ですが、卵と油、プラカードに書いてありますように「ケーキのため」だけに使えるようになりたいものですね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2021年05月6日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

とんでもない寒波が来てますね~。

さて、海の向こう、アメリカでも寒さが続いています。

先日、カンザス州のハイウェイパトロール隊がSNSで一枚のたまご写真をアップしました。

おお・・・!

たまごの中身が出る途中でカチンコチンに凍ってます!

これはスゴイですね。

『もし寒さで車が動かなくなった時は、カンザス州緊急対応サービスがありますので、慌てず連絡してくださいね!』

とのメッセージに添えての写真だったんですね。

これは判りやすいですね~。

こばやしは20代の頃、カンザス州の隣の隣の州サウスダコタという所に半年ほど住んでいたことがあり、冬に車がハイウェイで故障して凍死しかけたことがあります。

ガソリン計のメーターが凍り付いてガス欠に気づかなかったのです。

大陸の冬ってめちゃくちゃ冷えるんですよね。毎夜気温はマイナス20℃近くまで下がり、車のフロントガラスが寒さで収縮してヒビが入るくらい……。

運よく通りかかった車に助けてもらいましたが、このハイウェイ緊急サービスを知っていればもっと安心していられたでしょうね。

日本の寒波も大変ですが、みなさま暖かくしてお気を付けてお過ごしくださいませ~。

(local News that matter /It’s so cold in Kansas, Highway Patrol says an egg did this)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまごの海外ニュース 2021年02月17日