実は新しい食材、ニワトリさん
鶏と卵、どっちが先か?
なかなか決着がつかないこの問題、「食材の歴史」に限ってみると結果は明らかなんです。
では質問。
鶏肉と、鶏卵。どっちが先に食べられ始めたでしょうか?
答えは卵。
ニワトリさんはもともと、たまごを産んでもらうのが目的で飼われたんですね。
食材として卵が注目されたのは古く、古代ローマでも卵料理が広く食べられていました。
対して、鶏肉を食べるのは、たまごを産まなくなったニワトリさんのみ。
当然老いてますし、あんまり美味しくなかったようです。
庶民の味方、おいしい若どりの鶏肉が広く食べられるようになったのは、なんと19世紀以降なんです。
うーん、実に2000年以上の開きがあるってことですね!?
この、鶏肉の大量供給技術が発達したのは、アメリカ。
グリル用のニワトリ飼育法として、大量飼育方式が開発され、これにより安価な鶏肉の供給が世界中で可能となったんです。
加えて、19世紀以降の、冷凍技術の発達のおかげでもあります。
鶏肉は淡白でやわらかいですが、反面傷みやすく長持ちしない性質をもちます。
広く食べてもらうには、保存技術も重要だったんですね。
そう考えると、
卵白が菌を殺す作用を持ち、殻に守られることで、自然に日持ちする「たまご」の重要性、
長い歴史の中でしみじみありがたく感じますね。
参考:「知っておきたい食の世界史」(角川文庫)