アレルギーの人に卵料理を楽しんでもらう三つの秘策:その1
「卵アレルギーの人でも食べられるたまごってないですか?」
こんな質問を良くいただきます。
特にお子さんについて、アレルギーで悩まれておられる方も多く、非常に心苦しく感じます。
結論から言うと、現在アレルギーフリーの卵は存在しません。
◆たまごの主要成分がアレルゲン
広島大学大学院 生物圏科学研究科 堀内先生のお話によると、
鶏卵中のアレルゲンとなるタンパク質「オボムコイド」は、なんと卵白たんぱく中に11%も含まれるんだそうです。また、活性がやや弱いアレルゲン「オボアルブミン」は54%を占めます。これらを除去するという事は「生命としての鶏卵の構造」を著しく改変することを意味します。よって、飼育環境や飼料・鶏種などの条件改善でこのような大変化を起こせる可能性は極めて低いようです。
つまり、「水が違うから・・・」「自然の中で飼っているから・・・」「こだわりの飼料だから・・」「健康なニワトリだから・・・」など通常の方法では、残念ながらアレルギーで苦しむ方に喜んでもらえる卵は作れないという事です。
◆医薬面から強く望まれているアレルゲンフリー鶏卵
また、インフルエンザワクチンなど一部の医薬品は卵(有精卵)から作られており、卵アレルギーが原因でワクチン摂取ができない方もいらっしゃいます。
堀内先生はニワトリES細胞の樹立と遺伝子改変によって、低アレルギー卵の開発を目指されておられます。安心してワクチン接種ができ、食卓にこのような卵が並ぶ日も遠くないかもしれません。
◆卵は無理でも「卵料理」なら可能・・・!?
ではいますぐ、卵アレルギーの人にも卵を楽しんでもらうのは無理なのでしょうか?
いやいや、現状の中でも工夫はあります。
明日は「卵アレルギーの人が卵料理を楽しむための三つの秘策」についてご説明します。
参考:「遺伝子改変ニワトリの開発 アレルギーフリーのたまご開発が可能か?」堀内 浩幸(広島大学大学院 生物圏科学研究科 助教)・たまご研究会報告(2009)