たまごのアイデンティティ
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
大みそかの人気番組「絶対に笑ってはいけないシリーズ」が今年は休止されるそうですね。
録画してウチの息子と一緒に毎年観てましたが、
面白いですよね~。
『人間ガマンすると、むしろ笑いたくなる』
ってのをコンセプトにしたのって、
一種の発明だと思います。
で、
今年は「絶対笑って年越したい!笑う大晦日」になるんだとか。
いままで「笑ってはいけない」がタイトルでしたが、
「笑ってほしい」ってのはずっと変わってないわけです。
むしろタイトルでアイデンティティを
さらけだしたカンジですね。
さて、本日のテーマは
この「アイデンティティ」
たまごって、なに?
ってことを時々考えます。
「たまごの定義」ですね。
ひとつは『生命が生まれる源』であること。
日本で流通するたまごの99.9%は無精卵ですので、
じっさいは温めてもヒヨコにはなりません。
このことは、
安全面からのメリットでもあるのですが
たとえ無精卵であっても、
もし有精卵であったなら、
ヒヨコになるかどうか
ということが、
「たまご」である以上
とても重要なんです。
何年か前、業界で
「コレステロールの低い卵」
「カロリーの低い卵」
の議論がありました。
こんな卵も、
作ろうと思ったら
できちゃうんですね。
栄養の足りない飼料
で育てればいいんです。
そうすれば、卵も栄養不足になります。
理論上モノはできる。
でも、それが
有精卵だったとしたら、
はたしてヒヨコになるのか?
ということなんです。
栄養不足では
ならないだろう。
だったら、
それはもはや
卵じゃないよね。
そういう結論でした。
だから、たまご業界全体としては
「カロリーオフ」のたまごは
目指さないんです。
ぼくも、このことに全面同意します。
それが、
生き物に対する敬意を払うってことだと思うんです。
これは他の生き物の業界でも
同じじゃないでしょうか。
油ののった旨味たっぷりのアジを養殖
なんてのは良くても、
栄養カットした飼料で
カロリー半分のアジです♪
なんてのは、やっちゃいけないですよね。
余談ですが、
「カロリーオフ・コレステロールの少ない卵がほしい」
っていう要望、お客様からもいただきます。
ですが、そもそも
「コレステロールは取りすぎても健康上問題は無い」
と国立栄養学研究所の発表ほか学説で
判明していますし、
もともと卵のコレステロールが問題視されたのは、
百年前ウサギに実験で食べさせたところ
「草食動物」であることを考えてなくって
ウサギに悪い影響がでちゃったから
勘違いした…
というところから、始まっています。
以来、「卵は食べすぎちゃダメ」
の迷信が出て100年経ってるのですが、
自分たちが正しい情報をまだまだ
お伝えしきれていないだけなんです。
それを
「お客様の要望だから。」
ってんで迎合して、
ニーズがあるから売れそうだ、
なんて考えちゃいけませんよね~。
たとえ、
いくらお客様が求めていらっしゃるものでも、
たまご屋として、やっちゃいけない
アイデンティティの問題だなぁ。
そんな風に思います。
でもごく一部、
業界では目指していない卵
そういう特徴のたまごが販売されてますし、
差別化をめざすあまり、
今後も新たに出てくるかもしれません。
それを、ぼくは危惧しています。
ぜひ買う側の人
あなたには、
こういった考えがたまご業界ではあるんだな、
ということ、ぜひ
ご理解いただけましたら幸いです。
番組のタイトルがどうあれ「笑ってほしい」という根っこが同じであるように、
美味しくて健康で、命に敬意を払える食材であるという根っこはみんな同じ、という業界でありたいです。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。