小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご全般コラム 記事一覧

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

日経サイエンスに載っていた文章が
ちょっとした話題になっていました。

 

ある化学者グループが
ゆでたまごを生卵に戻した

とあって、これにすごい
反応があったわけです。

これは、
カリフォルニア大学(米国)、
フリンダース大学(オーストラリア)研究チーム
の成果で、

当ブログでも
当時ご紹介したことがあります。

「ゆでたまごを”生卵”に戻す技術」を開発、19兆円産業のコストダウンになる!? | たまごのソムリエ面白コラム

ゆでたまごを元に戻すためだけの
研究じゃなくって、これは
変性したたんぱく質を自在に
分解することで、応用すると
複雑なたんぱく質の実験時間を
数百分の一に短縮できる技術なんですね。

で、なんで「たまご」が分かりやすい
インパクトとして実例ひきあいに
出されているのかというと、

「たまごの魅力の大部分が
たんぱく質変性にある」

からなのです。

たまごは、調理によって

・起泡性(あわだち)

・両親媒性(油と水となじむ)

・熱変性(熱で固まる)

・マスキング効果(味をまろやかにする)

・食感滑らかさ寄与

こんないろんな効果がありまして
そのほぼすべてに「たんぱく質」
とその「熱などによる変性」が
寄与しているのです。

身近にあって
これほどたんぱく質の変化を
説明できる食材ってほかに
ありません。

実際、上記の記事やニュースの
見出しのインパクトはすごいですよね。

 

◆多様な食感を楽しむのがたまご料理

そして、この「食感」は
たまご料理の最大の魅力です。

熱を加えると変性するのですが、
「めっちゃ熱が加わった部分」
「ちょっと熱が加わった部分」
「ほとんど生の部分」

が重層的に重なることで、
何重もの食感がたのしめる
夢のような料理、
これがたまご料理の魅力
なんですね。

たとえば
半熟たまごの魅力。

たとえば、
とろふわのオムライス。

ぜんぶ、この
たんぱく質の変化が
幾重にも重なっているから
美味しいのです。

ですので、
新しいメニューなんかを
考えたり、また卵の調理を
する際は、
この熱変性が重層的になるように
すべきですね。

 

◆人気メニューの秘訣に!?

最近人気の高い
トルネードオムライスなんかも

じつはこの重層感が
見た目と共に
魅力の理由です。

そして、何も一緒に
加熱する必要もなくて、

強く加熱するものと

ゆる~く加熱するものと

あとで合わせて
「炊き合わせ」みたいな
技法でも美味しくできるんですね。

このあたりはまた後日に!

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年11月12日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

少し前に出張していたとき、
面白いお店がありました。

アイリッシュパブなのに
イチオシメニューがオムライスなんです。

なかなか興味深いですね~。

すごくワクワクします。


たまご料理って
お酒との相性がよいものが
た~くさんあります。

たとえば
煮玉子やデビルエッグなんかは
日本酒でもビールでも、
すっごく合うカンジですね。

ゆでたまご的なつまみ料理は
ビールとの相性もぴったりで、

その証拠に、ゆでたまご料理の
イギリス伝統スコッチエッグは
「英国最高の酒おつまみ」
と正式に認定されているくらいです。

アルコールとの相関で
いいますと、欧米には
たまごの黄身や白身を使った
カクテルもたくさんありまして、
たまご風味や食感が合う
お酒の組み合わせも
とても多いのです。

ただ・・・・・・

赤ワインと玉子料理
これは、合わせるのは非常に
難しいんですね。

赤ワインの渋みと風味が、
卵の甘旨味と合いにくいのです。

ビールとは結構合うのに
不思議ですね~。

ただし、対策が
ないわけじゃなくって、

玉子料理にプラス酸味があると
比較的ワインと合いやすくなる
んですね。

たとえばマヨネーズ。
フリッタータなんかでも
そこにちょっとマヨネーズを
隠し味で入れるだけで、
ワインとの相性も良くなります。

あとは酸味で言いますと
ピクルスとか。

たまごのピクルスって
僕大好きなんですが、

これはお酒とよく合います。

ワインとの相性も良いですね。

酸味が卵とワインを
うまく橋渡ししているな~と
感じますね。

たまごのピクルスって
飲食店さんでも実は
取り回しとして面白いんです。

たまご料理の中では
驚異的にながもちしますし。

たまごは生の状態だと
数週間持ちますが、

加熱してしまうと
せいぜい数日の賞味期限です。

これは、溶菌作用のある
白身がたんぱく変性して
効果が無くなってしまうからですね。

ですが、
ピクルスと中国料理の塩漬け玉子
この2つは、
かなり長持ちするんですよ。

レシピによると
2か月くらい持たせることも
できます。

合間の時間に仕込んで出せますし
生ハムやサラダとの相性も
抜群です。

ぜひ、お酒のお店での
たまご活用、いろいろ
お試しくださいませ。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年11月3日

温泉玉子って、実は2種類あります。
『主役温玉』と『名脇役温玉』です。
それは・・・


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

温泉玉子、ってありますよね。

ピンポイントな温度で卵を
熱調理した日本固有の料理で、
僕の知る限り、
海外の文化では存在しない料理です。

黄身の方が固まる温度が
白身よりもちょっと低いため、

黄身が固まる温度だけど
白身が固まりきらない温度

65℃~70℃の
温度で加熱することでできあがります。

黄身がしっとり固まって
白身がふるふる・・・

これを、
だし汁なんかで食べると
めっちゃ美味しいんですよね~。


ただ…近年、
この温泉玉子に関して、
おおきく分けて2種類の固さが
あるのをご存じでしょうか?

「黄身しっとり」と
「黄身トロトロ」が
あるんですよ。

本来の温泉玉子は、
「黄身が固まって白身が固まってない」
という料理ですから
前者が正式です。

ですが、
いろんな料理店さんや
ご家庭の料理で、
かなり広く好まれているのが
後者の温泉玉子なのです。

つまり、
白身ふるふる
黄身トロトロ
の温泉玉子。

言うなれば、
超半熟のゆでたまごや
目玉焼きに近いものです。

こちらがあまりに広がっている
ため、本来の「黄身しっとり」
温泉玉子の方が、

「これ思っていたのと違う!?」

と言われたりもしています。

僕はどっちの温泉玉子も
大好きなんですが、
なかなか面白い状況です。

これ、
どうしてこんなことが
起こっているのかというと、

料理での温泉玉子の
使われかた

が理由なのです。


◆トッピングに適した温玉の固さ

温泉玉子はもともと
そのものが『主役』でした。

温泉玉子を小鉢に割り込んで、
そこに出汁などをかけて
たまごの味と食感を楽しむ料理。

ところが近年、
みなさまもご存じの通り、
サラダやパスタ、焼き物など
いろ~んな料理のトッピング
『名わき役』として温泉玉子が
使われているんですね。

これは、西洋にもともと

ビスマルク風

という卵トッピング料理の
ジャンルがありまして、

半熟目玉焼きを
ゆで野菜やサラダや
肉料理なんかに乗せて食べる料理です。

欧米で幅広く好まれ、
食べられているのですが

日本に定着する過程で
温泉玉子トッピングに
変化したのです。

それで、
お肉や野菜と絡みが良く
まろやかさを演出できる
黄身半熟バージョン温玉
生まれてきたのですね。

ちなみにどちらも
作り方は同じで、

前述の温度で、
18分ほど加熱すると
トッピング向け黄身トロトロ温玉

25分以上加熱すると
主役級の黄身しっとり温玉
になります。

ぜひ、どちらの温玉も
美味しく楽しんでくださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年10月30日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

スターバックスの食事に、
「あらびきソーセージ&スクランブルエッグ イングリッシュマフィン」
というものがあります。

結構おいしくって、時々食べるんです。

でもこれ、考えてみると
マフィン
ソーセージ
スクランブルエッグ

これって定番の英国系ブレックファストなんですよね。

マクドナルドのモーニングセットも
同じ構成ですし。

でも、まとめてサンドイッチにすると
ちょっと変わったカンジがしますし、
手軽さと贅沢感の両方を
ほどよく味わえるメニューとも言えます。

こんなふうに、
既存のよくあるメニューでも、
構成や演出をちょっと変えると
めずらしさやこだわり感や
差別化を打ち出せる可能性が
あります。

たとえば、

だしまき玉子丼

という料理があります。

できたてだし巻き玉子を
あつあつごはんにのせて、
だし餡や汁をかけた料理です。

ややマイナーですが
人気あって好きな方も多い
たまご料理です。

構成する食材は、
親子丼と同じくらい・・・
もしかすると原価は安いかも
しれません。

もし、ごはんとお汁、
それに玉子焼きが別皿にある
料理ならどうでしょう?

美味しいですがもしかすると
フツーな気がしてしまう
かもしれません。

でも、ドーン!と
どんぶりの上に乗せて
だしがかかってると、

テンション上がりますよね。

こんな風に、
ひとまとめ!にすることで
見栄えがする別メニューになります。

 

反対に、
ばらばらにしてしまう
楽しくなることもあります。

たとえばサンドイッチ。

いろんな具とパンを用意して、
手巻き寿司のように
好きなものを挟んで食べる。

手間はさほどなわりに
すごくテンションがあがる
パーティ仕様のメニューに
なります。

こんな風に、
既存の料理メニューでも

統合してみたり
ばらしてみたり
魅せ方を変えてみると

面白い伝わり方や
繁盛のヒントが
考えられそうです。

オムライスなんか典型的ですよね。

外開きのたんぽぽオムライスや
トルネードオムライスなんかも
見た目が異なるとまたちがった
ステキ価値があります。

煮玉子だって、
カッティングを変えると
それだけで伝わり方が
変わってくるかもしれません。

考え出すと、いろいろありますよね~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年10月27日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

先日、スモークサーモンなど
燻製の料理食材を扱う会社さんと
話をする機会がありました。

「キャンプ流行りで
スモーク料理に触れる機会も
増えていますよね。売り上げ増に
なっているのでは?」

と聞いてみたところ、

「いえ、逆です。サッと出せる
ホテルのグランピングでも、
生はいっさい提供NGというところも
多くて・・・。」

とのことでした。

もともと燻製とは、
食材を燻煙すると水分が抜け
また煙で雑菌を殺すことで
保存性を高める調理法です。

ですが、
生の食材に軽くいぶして
その淡い香りを楽しむ目的で
調理することも多いわけで

アウトドアとの相性は
決して良くないんですね。

合いそうなのに、意外と
なかなか難しいですね。


その反対に、
割れ物で相性良くなさそうな
『たまご』は、じつは
アウトドアで意外と有効なのです。

◆アウトドアでの卵のメリット

まず生卵は、
常温で持ち運びができること。

これは、生肉や生魚介を想像
していただいたらわかりますが、
たんぱく質としてはかなり優秀です。

基本的に卵は、常温でも
表示の賞味期限を保持できるんです。

そして、加熱調理もできますし、
なんなら半熟やたまごかけで、
生にほど近い調理でも安心です。

次に、
調理方法とレシピが多岐にわたること。

世界には3万の卵料理のレシピが
あるとも言われますが、
アウトドアに向いた料理も
たくさんあります。

一例を挙げますと、
スキレットをつかっての
目玉焼きやスパニッシュオムレツ

また、BBQの火に直接かけても
香ばしくておいしいゆで卵になります。

アジアでは定番の味だったりも。

これけっこうおススメなんですよ。

最後に、
体力保持にちょうど良いこと

たまごはその良質なアミノ酸や
たんぱく質が、食べた後に長く
体温保持に最適なんですね。

冷たい海に潜るプロのダイバー
さんはゆで卵を食べてから潜るのだそうです。

秋以降の冷え込みやすい時期は
たまご料理は、アウトドアで
有用なんじゃないでしょうか。

「そんなこと言っても割れるじゃん。」

と思われたあなた。

じつは、こんな風に、
生卵を割らずに運べるツールが
あります。

それも、ダイソーで買えます。

他アウトドア専門店では
10個入りや6個入りの容器も
あります。

ぜひ、
屋外の料理でたまごをご活用くださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年10月24日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

お店のオリジナリティに
面白いのが

自家製マヨネーズ

です。

欧州では家庭ごとに
マヨネーズを手作りしている地域も少なくありません。

またマヨネーズは
油とお酢と卵黄という
シンプルな組み立てながら
和洋中いろ~んなメニューに使える
万能調味料です。

サラダだけじゃなく
サンドイッチから
目玉焼きや肉魚料理の
付け合わせ、

お店の味に独自性を
出すのにはうってつけですよね。

日本では業務用も大手メーカー
品が普及していますが、

あえて
飲食店さんで手作りすると、
粗利のとれる面白い
差別化メニューになります。

たとえばメーカー品のように
長期保存する必要がありませんから
酸度を変えてまろやかにしたり、
いろんなアレンジもできます。
せっかくなので油や卵に
こだわって差別化も面白いのです。

 

◆マヨネーズにならない!なぜ・・・!?

ある取引先のスタッフさんに

ちゃんと手順どおりやっても
なぜかマヨネーズにならない・・??

というご質問をいただいたことがあります。

よくご確認をしてみると、
ひとつ原因がありました。

それは、

たまごが冷えていた

ということ。

じつは
冷蔵庫から出したばかりのたまご
では良いマヨネーズにならないのです。

マヨネーズとは、
水分(お酢)と油分を、
たまごの黄身中のレシチンという
両親媒性(水とも油ともなじむ)
の成分で乳化させてできたものです。

このレシチンが、
低温ではうまく働きません。

通常、水と油って、
なじまないですよね?

油どうし、水同士で
くっついて大きなカタマリに
なります。

ところが、
このレシチンがあると、

レシチンのはしっこ部分が
油となじむため油滴に
くっついて周りを囲み、
水分の中でミクロのバラバラに
存在できるようにしてくれるのです。
(水中油滴型エマルジョンといいます)

だいたい16~18℃くらいが
うまくいきやすいです。

逆に30℃くらいの温かすぎても
今度は油が流動して
すぐくっついちゃうので
うまくいきません。

さきほどのご相談いただいた方も
メレンゲづくりの感覚で
冷蔵庫から出して手早く
調理されたので
うまくいかなかったわけです。

ちなみにマヨネーズができて
保存するときも、すぐ冷やすと
やっぱり分離してしまったり
しますので、そちらも注意です。

また、

金属製のボウルは使わない

のが大事です。

油って空気に触れると
酸化しちゃいますよね。

マヨネーズづくりで
泡立てると、
空気にめっちゃ触れることに
なりますから、
酸化も進みやすいのです。

できるだけ避けるために
金属製のボウルは避けるべきです。

これはおもしろいことに
オムレツづくりとは真逆です。

ぜひ、自家製マヨネーズで
ワクワクの繫盛メニューを
ご検討くださいませ~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年10月9日