小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご全般コラム 記事一覧

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

近年つぎつぎとアニメ化など
ヒットを飛ばしている
「なろう系」と言われる小説
ジャンルがあります。

もともとは投稿サイト
「小説家になろう」から
生まれた作品を指して
いたのですが、
最近の特徴では

悪役令嬢転生もの

異世界転生ものなど

作者も内容も違えども、
ひとつの「型」にちかい
世界観のフォーマットがあって
読む人に物語に入ってもらいやすい

そんな舞台設定が特徴です。

これは、読む人のストレスを
減らす効果があるそうで、

中世ヨーロッパが下地である
貴族がいる絶対君主制である
ゴブリンなどモンスターがいる
魔法が使える・・・

など、ベースが同じだと、
物語冒頭で世界観の説明がいらず
スッと内容に入り込めるんです。

ただ「内容」はそれぞれ
ガラッと違いまして、
たとえば同じ「悪役令嬢もの」
というストーリーでも

料理の美味しさがテーマであったり
人材マネジメントの話であったり
お化粧やモノづくり、中には
異世界でイベントプランナーの話も…

つまり、
ベース世界観を共有して
その上に百花繚乱の楽しい
物語が紡がれているんですね。

落語や歌舞伎の「型」みたいな
ものですね~。

 

◆魅力と多様性のマレンゴ料理

たまご料理でも、
共通の様式をもとに
千差万別のステキな料理を
つくる。そんなジャンルがあります。

「マレンゴ料理」

といいます。

マレンゴ風とも呼ばれまして
あのナポレオン・ボナパルト
さんがその由来です。

かつてナポレオンが
イタリアのジェノバ近くにある
マレンゴという町で、
オーストリア軍に勝利しました。

その晩、ナポレオンは
料理人に食事を命じたのですが
なにぶん急な逗留だったため
食材がない・・・!

料理人デュナンさんは
焼け跡の町へ行きまして
壊れた農家から持ち出して
きたのが、

たまご
鶏肉
トマト
ニンニク
川えび(ザリガニ)

だったのです。

このありあわせの食材だけで
作られた料理をナポレオン
は大変気に入って、

その後も戦場でたびたび
作らせたのだそうです。

以来、
これらの限定した食材で
創意工夫を凝らした料理を
「マレンゴ風」と呼ぶように
なりました。

◆可能性大!な

いろ~んなバリエーションの
マレンゴ料理があるんですね。

たまごも、
定番は目玉焼き、あと
ゆでたり揚げたり
ポーチドエッグなど
脇役になったり
主役になったり…

いろんなマレンゴ料理があって
かなり楽しいです。

限られた条件だからこそ
逆に創意工夫の知恵が生まれ、

また「マレンゴ風」のフォーマット
があるからこそ、お客様にも理解
してもらいやすくなるわけです。

「型」に沿って
すごく新しい人気メニューが
生まれるかもしれません。

たとえば、この食材だと
「親子丼」だってアレンジで
マレンゴ風になり得ますが、
海外での受け入れられ方が
変わってきますよね。

中華風、ケイジャン風、
いろんな可能性がありますよね?

生卵&生海老の
たまごかけ風マレンゴとか
ワクワクします。

ぜひ、ヒット連発のなろう系のように
あなた独自のマレンゴ風料理で

ご繁盛のきっかけになりましたら
幸いです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年08月24日

夏も後半に入りました。
もうしばらくすると、
あっという間に秋ですね!


こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

ある本を読んでいたら

「鈴虫をもらった話を
外国人の方にしたら、
すごく驚かれた。」

という話が出てきました。

「どうして虫を飼うんですか!?」

と気持ち悪がられたそうです。

「いい声で鳴くんですよ。
秋の虫は有名ですよ。」

と返しても、

「でも虫ですよね?」

とわかってもらえなかったとか。

なかなか興味深いですね。

虫の鳴き声を楽しむ

というのは割とめずらしい
文化なようです。

 

そういえば、こばやしは
20代の頃、海外に一年ほど
いたことがあるのですが、

ある時、いろんな国の人と
ごっちゃになって飲む機会が
ありまして、

「どんなところにセクシーさを感じるのか。」

という談義をしたことがあります。
その際、

「うなじにドキッとする」

という話をしても、
そこにいた外国の方
どこの国の方も分かって
くれなかったんです。

「首なんて、そんなところ
何もないじゃないか!」

なんて身もふたもない
ことも言われました(笑)

考えてみると、
うなじになまめかしさを
感じるのって着物文化ならでは
の考え方なのかもしれません。

◆たまごに対する違いもある!

たまごにも、
国によっての文化の違い
があります。

たとえば日本人は、
他国に比べて、とても
たまごの外観を重視する
と言われます。

たまごのパックも
透明で中身が良く見える
ものが主流です。

スーパーさんでも、
パックをじっくり比較して
キレイなたまごを選ぶ
そんな方もときどき見かけます。

対して欧米では、
たまごの外観はさほど気にしません。
パックも多くの商品が
紙でできた透明じゃないものです。

買う際に全く中がみえません。

もともと欧州は乾式とよばれる、
たまごの表面のよごれを
乾いたブラシで払い落とすだけの
方式が多くとられていました。

そのほうが卵表面のコーティング
がはがれずに、品質が長持ち
するのです。

ですが、
日本では殺菌水で“洗浄”し、
表面の汚れをすべて落とします。

賞味期限が短くなるなど
デメリットもありますが、
衛生面の重視と外観の清潔
さはハイレベルなんですね。

 

また、賞味期限なんかも
国によってだいぶん違いますね~。

中国のバイヤーさんから、

シンガポールなど
東南アジアの国では
たまごの賞味期限は
「常温2か月」なんてのも
めずらしくないよ。

なんて聞いたことがあります。

いや確かに、
条件によってはそれくらい
持つんですが、

『たまごは生鮮食品』

な日本とは、考え方の違いを
感じることがあります。

 

他には、赤卵・白たまごの違い。

イギリスは、小売店で流通する
たまごのほぼ100%が赤卵です。

「白たまごなんてありえね~。」

ってほとんどの人が思ってるわけです。

対して米国では日本と同じく
白たまごが主流です。

でも、欧米共通して
放し飼いに対して関心度が
めちゃくちゃ高かったりします。

コロナ禍が終わった後の
国際交流が戻ってきたときには
こういった文化の違いが
メニュー人気に
あらわれてくるかもしれません。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年08月23日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

 

以前、料理家の平野レミさんが
たまごのカラを使った

エッグプラントゼリー

なるものをNHKの料理番組で
ご紹介していました。

「エッグプラント」って
英語で「なすび」のことなんです。

ですのでこの料理、

たまごのカラと

リンゴジュースと

なすび

を使ったかなり斬新な料理でして
さすがレミさん・・!と
印象に残ってました。

 

さて本日のポイントですが、
たまごのカラ、

たまごのフォルムって、

実はすんごく魅力的に
感じる人が多い、

ということです。

左右対称で上下非対称な
自然界に存在する
この滑らかなフォルムは

本能的に人の目をひきつけやすい

そんな研究結果もあります。

実際、この『たまご型』に
魅了され、この自然の
摂理を解き明かして
数式で表してみよう!

そんな天才科学者さんも
幾人もいらっしゃるくらい。

たとえば、
土星の衛星や木星の大赤斑
(目玉みたいなデッカイ模様)を
発見した天才天文学者
カッシーニさんは
有名な卵型の数式を
残しています。

(関連:たまごを数式で表した偉人たち | たまごのソムリエ面白コラム

また、身近にあって
親しみやすいフォルムだと、
上記の平野レミさんの料理のような
ちょっと奇抜なレシピの場合も
すらっと受け入れてもらい
やすい、そんなメリットが
あります。

 

◆卵型のフォルムを料理に利用!

で、ですね。
そんな魅力的な卵型を
料理メニューに活用するには
どうすればよいでしょうか?

いちばんシンプルなのは

中身を出した
たまごのカラを使う

という方法です。

たまごの上部に穴をあけて
ストローなんかを中に入れて
崩してから、穴から出します。

あとはキレイに洗って
料理につかうだけ。

ゼリーだけじゃなくって

茶碗蒸しやプリン

さらにはスポンジなどを
卵型で焼くこともできます。

中身をだすのは
ストローで代用可ですが、

海外では卵のカラを壊さずに
中身を出す専用の器具も
売っています。

だいたい1000円くらい。

そのまま容器代わりに使って
コストダウン!なんてことも
できます。

ぜひ、このステキなたまごフォルム
あなたのお店のちょっとした魅力アップに
活用してみてはいかがでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年08月19日

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

お世話になっている方から

流しそうめん用の竹

をいただきました。

面白いです。
竹って乾燥すると割れちゃうので
来年は使えないのだとか。

ことしの為だけの竹。

とてもステキな「体験」
プレゼントしていただいたんですね。

さっそく家族でやってみました。

 

なにせ初めてなので
どんな風にするのか調べてみたら、
ちょっと驚きました。

流しそうめん、って

流すのはそうめんだけじゃないんですね。

いろんな具材を流して
楽しむんだそうです。

なのであれこれ準備しました。

まず麺。

我らが徳島の「半田そうめん」

外せない「揖保乃糸」

あと蕎麦うどん中華そば

 

そして、転がる具材。

プチトマト・かまぼこ

キャンディチーズ

水餃子・・・

 

さらにデザートに

スイカ角切り

パイナップル角切り

みかん・ぶどう・・・

めっちゃ盛り上がりました。

これやってみると、
ハシで掴むのって
かなり難易度たかいんですよね。

どの具材や麺も、
流れるスピードが違いますし。

それだけに楽しいんです。

そして、涼しい。

猛暑のさなかでしたが、
水しぶきがほどよくかかって
かなりヒンヤリ。

とても良い体験をいただきました。

 

◆たまご料理は「体験」の魅力

実は、たまご料理の
大きな魅力は、

目で見た変化を楽しむこと

なんです。

以前に、日経新聞社が

『「ホテルで楽しむ優雅な朝食」東西ベスト10』

なる特集を組んでいましたが、
その3位と4位の
ホテルオークラ東京と
帝国ホテル東京、
その「魅力」が

『目の前でシェフ作りたてのたまご料理が食べられること』

でした。

いま、コロナ禍で
状況は変わっていますが、
そもそも

どんどん鮮やかに変化する
たまご料理のでき具合

これってすんごい魅力なんです。

オムレツに限らず、
クレープや江戸前の玉子焼き
これらも、目の前でステキに
できてくるのを見ていると
たまらなく魅了されますよね~。

オムレツなんて数十秒ですし
他の料理で、
これだけ短時間で鮮やかな
変化が起こるものって
ほぼありません。

たまご料理の魅力は
パフォーマンスにあり。

それくらいの
演出込みのメニューイングが
アフターコロナで
また何か考えられるんじゃないでしょうか。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年08月18日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

都心からちょうど30㎞あたりに
大きな経済圏ができているよ。
そんなエリアの可視化が
話題になっていました。

たしかに!

これより近いと通勤圏内になり
都心までいっちゃうでしょうし、
これより遠いと都心近郊の
メリットが出ないんでしょうね。

なかなか興味深いです。

かつてはたまご業界も
こんなふうな

絶妙の距離感

がありました。

 

◆つかず離れず山の中

たまご養鶏産業って、

大都市からある一定の距離で
大きな農場ができているんです。

まず、届け先は
できるだけ近くがイイ
という作り手の希望でした。

生鮮が大事な日配食品ですし
短時間で売り場まで持っていく
必要がありました。

また、
とにかく重量がありますから
輸送コストの面からも、
そんなに出荷先まで
離れたくなかったのです。

できるだけ多くの人が住む
近くで採卵できることが
良かったのですね。

ですが、
たくさんニワトリを飼うと
やっぱり問題も起こりやすくて
逆にあまり人が密集している
ところだと飼育がしにくいんです。

実際、大阪近郊で長いこと
養鶏をされていましたが、
周りがどんどん開発されたことで
音などで苦情がでるようになり、
郡部へ移転された卵屋さんを知っています。

ですので、大都市から
程よく離れた
でも離れすぎてない
そんなエリアには
たいてい大きなたまご屋さんの
農場ができる場所だったのです。

 

◆物流網の発展が変えた!

ただ、それも昔の話でして
今では大阪や京都の量販店特売に
鹿児島のたまごが並ぶ…
なんてことも珍しくなくなりました。

それは、物流がとても発達したから。

一晩で田舎から大都市まで

一気に新鮮なたまごをお届け
できるならば、より田舎の方が
たまごの出荷には向いているのも
事実です。

そのぶん、ニワトリさんに
よりよい環境で育ってもらう
そんなこともできるわけですね。

僕たちがお届けするたまごも、
四国の徳島という田舎でありながら
多くのお客様が関東にいらっしゃいます。

朝集卵の産みたてをその日に
出荷する仕組みになっていますが
夕方から一晩かけて都市部まで
運んでいただけるんですね。

地場のたまご配達は
翌朝からになりますから、
すぐご近所の地元でお届けするのと
クオリティは変わらないわけです。

そして、その分だけ、
僕たちのような小さな卵屋は、
全国にお客様のエリアを広げられ
より尖った、ピンポイントに
喜んでいただけるたまごを
考えることができるように
なっています。

ありがたい時代ですね~。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年08月16日

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

夏真っ盛りですね!

ウチの田んぼの稲穂もすくすく育ってきてまして
新米が採れるまであとわずか!です。

たのしみですね~。

 

さて、僕たちは地元の産直店さんに
たまごの売り場を持たせてもらっています。

売れ方やお客様のお声がけから
いろんな情報も得られますし、

たくさんある種類のたまごも、
余裕が多くあるときは
こちらで販売を多くさせて
いただいたり、調整弁としての
メリットも大きいんですね。

この産直店さん、僕たちは
たまごを通年お持ちをしてますが、
野菜などに関して、
ご出品されている農家さんによっては
夏場には出すものが少なくなる
そんな方もいらっしゃいます。

それは、夏場にお米を作っていらっしゃる方。

秋に刈り取った後、
そこでいろんな野菜を作られたり
そんな農家さんもいらっしゃるわけです。

ですので、
夏は数か月出品が少なくなり
相対的には冬場の方が
野菜が多く集まる傾向があります。

美味しいお米とひきかえ
しょうがない部分もありますね~。

 

実はたまごもちょっとだけ
似た傾向があります。

ぼくたちも、
全てのお客様にお出しする
たまごが最も少なくなるのは、
夏なんです。

なぜか?

それはぶっちゃけると
売れない時期だから。

いや、正確には
お客様がたまごを使う量が減る時期だから。

たとえば、洋菓子店さん。
夏は、焼き菓子よりも
涼しげなゼリーなど水菓子の
売り上げが上がります。

一年通してみると
スポンジケーキなどの
販売比率が低い
すなわち卵の使用量も減るんです。

料理店さんでも
あつあつたまご料理!なんて
のよりも、さっぱりお刺身や
夏野菜料理などを重視される
お店さんもあります。

ご使用量が減るので
僕たちのご出荷する量も
減らすのです。

じゃあ、困った季節なのか?
というとそんなことはありません。

この時期には全国で
農場にてはニワトリさんの
若い鶏への入れ替えを
積極的に行いますし、

強制換羽といって
たまごを生むのを休ませて
ニワトリさんにリフレッシュしてもらう
そんな時期に充てたりもします。

また、お客様との打ち合わせも多い時期ですね。

ちょっと小休止の時期は
その時期しかできない
やるべきこといっぱいの
大事な時期だったりするんです。

ここまでお読みくださって
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2022年08月14日