小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご全般コラム 記事一覧

弊社専務にお孫さんが生誕し、おじいちゃんになりました。「おさるさんみたいでカワイイって感じじゃないけどなー。」といいながら、とてもうれしそうです。社内みんな、とっても幸せいっぱいの気分に包まれています。Embarassed

赤ちゃんは、生まれてすぐからは、一日たまご一個分の体重が増える。」我が息子が生まれたときに、産婦人科の先生より伺いました。すごい成長だなあ、毎日顔が変わってて当たり前だなあ、としみじみ思ったものです。
平均的な卵のサイズは、Mサイズで約60グラム前後です。「60グラムずつ増えます。」と言われるよりも、「卵一個分増えます」と言われるほうが、なんだかイメージしやすいですね。しかも、ご家庭でもしょっちゅう触っているものでしょうし、私も料理するたびに「ほう。これだけ毎日成長するんだなー。」と卵を手にしみじみ思ったものです。
逆に危機のときにも、この「イメージさせる伝え方」がとっても重要になります。阪神大震災の時、「すごい地震で大被害です!」と言っても本社にすぐには危機感が伝わらず、「高速道路も横倒しで大変なことになってます!」と言ったとたん、パッと事態の重大さを理解してくれたという、ある企業さんのお話も聞いたことがあります。目に見えないイメージを、以下に伝えるか、その伝達力イメージ喚起力は時には重要になってきますね。
飲食店にては、おいしそうに見せる写真や絵「シズル」、そしてメニューコメントが重要になってきます。「ビストロスマップで先週取り上げられていた絶品の鴨肉です。」「一口目のとろみがちがいます!」など、いろんな伝え方がありますね。

また、フードコンサルタント大久保一彦氏は著書にて、「一見客→常連客となるにしたがって、選ぶメニューが変化する誘導の仕方、伝え方が重要。」と言っています。店内メニューやお品書きは、お客さんの満足度とお店の利益にとって一番プラスになる様に「なんとなく」選んでもらう事が重要になってきます。これについてはまた後日。

急ぎで作ったデザートが、おいしい食感になった!」こんな事を、得意先の社長さんから聞きました。繁盛し注文が多くて足りなくなり、急遽冷やして作ったそうです。
「なんでかなー?。」と考えて、ちょっと調べてみた所、こんな現象がありました。

shucake200706.jpgお湯の方が早く凍る」という現象・・・「ムペンバ効果」
発見されたキッカケは、学生のアイスクリーム作りだったそうですが、これは調理にも応用できそうですね。寒天やペクチンなどの多糖類からできるゲル化構造は、生成の速度で立体構造が変わることも知られています。あったかい状態で冷蔵庫に入れるのか、ある程度室温まで下がってから冷蔵庫に入れるのか、凝固速度をコントロールすることで他店とは変わった食感のお菓子やデザートができるかもしれませんね。



それにしてもこの現象、昨年NHKの番組で紹介されたそうですが、物理学者間ではその効果に対して賛否分かれているようです。
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51335747.html#comments
面白いですね。すごく身近にあるものなのに、物理現象のプロの意見が、ここまで正反対に分かれるなんて・・。
※上記リンク先では、いろんな人が試してみた結果も載っています。お湯の方がかなり早く凍った人も多いようですね。仮説として蒸発熱の差や、空気など不純物の減少が原因では?と言われているようです。
(参照) 冷凍庫で実験してみた動画(音が出ます)

※2_写真は洋菓子講習で教えてもらった、「もちもち新食感シュークリーム」 

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この卵はおいしいよ!と言われたとき、皆様はどんな卵を想像するでしょうか?「盛り上がりが良い。」「臭みが無い。」「殻が固い。」「黄身が濃厚。」・・・。いろんな観点があると思います。

我が社の定義する「卵の美味しさ」とは、「料理になったときのおいしさ」の事を言います。例えば、「黄身の盛り上がりが良くて箸でつまめる」という事は、弊社では「新鮮さの指標」にしていますが、だからと言って「おいしい料理になるか?」は別問題だと考えています。
ちょっと質問です。「黄身が濃厚な卵を使うと、どんな料理になっても美味しいでしょうか?」皆さんどう思われますか?
答えはNOです。正確に言うなら、「料理の中には黄身が濃厚な卵の方が、おいしくできる場合もある。」が正解です。
ケーキを一例に挙げてみましょう。ある洋菓子店の社長さんのご要望あり、弊社のこだわり卵を用いてチーズケーキをご試作いただきました。一つは黄身の旨味が濃厚で、黄身もメチャクチャしっかり、卵かけ御飯でも最高、我が社トップ売上の卵。
cake.jpg後者は植物飼料中心で放し飼い、とってもあっさり風味の卵。この2つ、どっちがおいしいチーズケーキになると思いますか?

結果は、ダントツで後者でした。まずケーキになったときの「チーズの香り」が全く違いました。濃厚で旨味たっぷりのこだわり卵は、生で食べるには最高の評価でしたが、ケーキにする事で卵の風味がチーズの香りを殺してしまったのです。反対に、生で食べるにはちょっと物足りないくらいの「あっさり風味」の卵を用いると、驚くほどチーズのふくよかな香り豊かな、おいしいケーキになる事がわかりました。この場合「他の食材の香りを引き立てる」というファクターが重要だったんです。もし、卵かけ御飯で評価をするなら、全く逆の結果になります。つまり、「どっちがうまい卵か?」じゃなくて「料理との相性」なんですね。ネギだって、「京ネギとわけぎのどっちが美味しいか?」なんて、少しナンセンスですよね?

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「箸でつまめる卵は、おいしいオムレツになるか?」
「殻が固い卵は、美味しい玉子焼きになるか?」これらの質問も、同様です。これらは「良い卵」の一つの指標にはなりますが、「おいしさ」を追求するならもっと深い観点が必要になってきます。繰り返しますが、ものすごく単純に考えても、「生で食べる場合」と「加熱したときの食感や風味を楽しむ場合」では既に「おいしさ」の基準が大きく違います。

1400件を超える料理店・洋菓子店さんからの聴き取りと弊社の研究、生産者さんとの取り組みから分かってきた、本当の「卵のおいしさ」について、今後少しずつお話できればと思います。(続きます)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年02月23日

料理の写真を撮るのに苦労します。メニューや雑誌、商品パッケージなど、世の中にはたくさんの「料理の写真」があります。どれも美味しそうですよね。言うまでもなく「おいしさ」にとって視覚は重要な要素です。「買ってみたい・食べてみたい」この欲求を引き起こす為には、「美味しそうに見える」表現、いわゆる「シズル」というものがとっても大切になってきます。飲食店にとっては、粗利やお客さんの満足度の高いメニューへ誘導する重要なツールにもなり、利益や売上を大きく左右します。(このことについては後日)
さて、以下は自分が撮った写真です。ある日の我が家の夕食です。メニューは愛知県発「味噌煮込みうどん」!一枚目は一眼レフのデジカメ(D20)で撮影したものです。

対して、下は携帯で撮ったものです。全く「おいしそう」さが違いますね

ALL Aoutの記事によると、料理の写真をキレイに撮るコツはアングル(着席目線の45度)、そして光源(自然光に近い)だそうです。機種の違いもありますが、実は、一枚目の写真はこの二点を意識して撮影してみました。

こんな工夫や学びも、我が社の理念「おいしさ」を届けることに繋がりますね。勉強なりました。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年02月13日

遅ればせながら、御礼申し上げます。先週の大寒生まれの金運たまご、先週の内に完売いたしました。沢山の反響、誠にありがとうございます。お店によっては、お出ししたその日に完売した所もあった様で、本当に嬉しい限りですLaughing

なにより、お店のバイヤーさんや、企画に賛同いただいた飲食店洋菓子店の方々も「これは景気がいいね!」と喜んでいただいたことが、とても嬉しかったです。やはり元気の源は「食」から、お世話になっている皆様の笑顔を見て、ワイワイお話ができたことで、我々も大いに元気を頂きました。

次の企画もただいま練っているところです、楽しみにお待ちくださいませ!

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年01月29日

発酵醸造学の大家、小泉武夫氏の著書「発酵食品礼賛」に、中国伝統の「卵白粉」というものが出てきます。「卵の卵白だけを発酵槽に入れ、夏期で2から3日、秋期で4から5日、冬季で1から2週間、放置した状態で、空気中から進入した菌で発酵を行わせる。(中略)この発酵した卵白を濾過した後、乾燥させてから粉末にしたもの」だそうです。これは非常にきめ細かい優良な粉となって、現在では滋養剤や高級菓子などに使われ、なかなか手に入りにくいものとの事。

う?ん、洋菓子のシュガーパウダーや、和菓子の上新粉みたいなものなんでしょうか?日本では卵料理というと、新鮮なたまごを使うことが前提になります。発酵させて食べる卵食材とはなかなか面白いです。ぜひ一度食べてみたいですね。(注:ちょっと調べてみましたが日本では一般的に卵白粉というと業務用で使われる「単に卵白を粉末にしたもの」を指すようです)

発酵菌はバクテリアとされているそうですが、どんな味になるのでしょうか。小泉氏も書かれていますが、そもそも卵白には、「卵白リゾチーム」という、なんと菌を溶かしてしまうスゴイ酵素がはいっていますので、実はそう簡単に発酵したり(腐ったり)しないんですよね。(この酵素はみなさんお使いの風邪薬にも入っていたりします)卵の賞味期限などに関わる菌のリスクも、もっぱら菌に弱い卵黄の賞味期限に依存します。

発酵させる目的は、「卵殻膜や胚などを発酵による泡とともに浮遊させて除去し、製品純度を上げるため」だそうですが、どぶろくと日本酒の関係の様に、「より美味しいもの」を追求した結果の細やかな知恵と伝統には、本当に頭が下がります。だって、たとえば小麦粉だって(キレイな白い粉)として使えるかもしれませんが、それを鶏の飼料にして生まれた卵の卵白を発酵させて、更に不純物を取り除き、乾燥して粉状にしたものを使うんですから。

卵白ならそれこそ我が社にたくさんありますが、この卵白粉は自家製でできるシロモノじゃなさそうですので、ぜひいつか中国に行って「高級菓子」と一緒に食してみたいですね。Wink

 

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご全般コラム 2009年01月28日