小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

蘇州でアヒルの卵を売る【たまご鶏のことわざ 82】

こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ第82弾、
今回は中国から。
いろんな説が興味深いことわざです。

 

<蘇州でアヒルの卵を売る>
(到蘇州賣鴨蛋)

 

これ何かというと、
「誰かが亡くなる」ことを表しています。

「彼は去年、蘇州へアヒルの卵を売りに行っちまったよ。」
なんて風に、死を婉曲表現しているわけです。

日本でも『鬼籍に入った』とか
『お迎えが来た』みたいな
ストレートじゃない、
ちょっと分かりにくい
死の表現をしますよね。

 

そういえば「成仏する」
日本では亡くなる表現ですが、
よく考えると独特だなぁと感じます。

直訳すると『ブッダになる(become Budda)』、
海外の人にはサッパリわからんのじゃないでしょうか。

 

話を戻しまして、

じゃあなんで蘇州?
なんでアヒルの卵なの?

という話を。

蘇州というと、
上海の西隣りにあるでっかい都市。

いったいそこに何が!?

これ実は、
福建省南部の風習と、
そこに影響した台湾の風習が
元々になっています。

これらの土地では、
お墓参りの後にアヒルの卵の殻
お墓の塚に撒くんです。

特に台湾の葬儀では、
アヒルの卵が重要な役割を
担っているんですね。

親しい人が故人に
「アヒルの卵が孵化するころに、また帰って来てね」
とのメッセージなのだとか。

 

いやいや、
その逆だよ…との説もありまして、
茹でたアヒルの卵のカラを剥く・・・、
こうするとアヒルの子は生まれないので、

「故人が現世を懐かしみすぎないようにね」
なんて意味が込められているとも。

 

他には、『伝説』があります。


清の時代。
台湾人の息子が蘇州に行って
アヒルの卵の商売を始めたところ、
金持ちの娘と結ばれ、苗字が変わったという。

いっぽう、貧しい老母は
息子の名前を聞かなくなったため
お寺で行方を占ってもらったところ、

「その苗字の人物はもういない。」
との神託が。

蘇州でアヒルの卵を売り続け
その結果死んでしまったのだと思い、
泣げき悲しんで暮らした・・・

以来、人の死を
「蘇州にアヒルの卵を売りに行く」
表現するようになったとさ。


というお話です。

うーむ、なかなか切ないですね。
神さまもウソはついてませんが、
ちょっと不親切じゃないでしょうか。

 

あと面白いのが、ダジャレ起源説

墓の盛り上がった『土の丘』に卵カラを撒く。
これを台湾語発音すると、

『土丘』と『蘇州』が発音がめっちゃ似てるんです。
なので、同じに聞こえる文

『土丘要鴨蛋』
(土丘にアヒル卵が必要だ)

↓ ↓ ↓
『蘇州賣鴨蛋』
(蘇州へアヒル卵を売りに行く)

となっちゃったんじゃないか。

これも有力な説なんだそうです。
おもしろいですね~。

 

いずれにせよ、
あまりに古く、
所作のみが定着したため、
その由来が所説たくさんあるわけですね。

ちなみに中国はアヒル大国です。

世界で飼育される
全アヒルのうち
なんと7割が中国に。

ニワトリほどじゃないですが、
年間200個の卵を産み、
羽も布団などに活用でき、
肉も多く獲れる。

じつはかなりお役立ち度が
高いんですよね~。

中国の古くからのことわざにも
上記に様にアヒルが出てくるものが
たくさんありまして、
暮らしの中でのつながりが
よくわかります。

ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ2023年06月25日