たまご・鶏のことわざ_その13・・・「鶏鳴狗盗」
こんにちは!たまごのソムリエ、こばやしです。
さて、たまご・鶏のことわざ第13弾、今度は中国です。
<鶏鳴狗盗>(けいめいくとう)
直訳としては、「鶏の鳴きまねをしたり、イヌみたいに物を盗む」となります。
面白いのは、その解釈です。
1. 小策を弄ろうする人や、くだらない技能をもつ人、つまらないことしかできない人のたとえ。
2. つまらないことでも何かの役に立つことがあるたとえ。
(「新明解四字熟語辞典」(三省堂)より)
斉という国に孟嘗君なる人物がいました。 この方は斉の政治家だったのですが、才能を持つ者を集め、自宅に食客として住まわせていたんですね。 その数、なんと数千人! まァこれだけいると中には「ちょっとモノマネができます。」なんて一発芸レベルの人達もたくさんいて、「なんであんなヤツらまで食わせてやってるのか?」と周囲に不審がられていました。
が、孟嘗君が秦の昭王に捕えられちゃったときに、そのピンチを救ったのがこの食客たちだったんですね。 狗(いぬ)みたいな「素早さ名人」が秦の宝物「狐白裘」を取り戻し、王の娘・昭姫にコッソリ献上、その取り成しで釈放してもらいます。 しかしその後追手を差し向けられ、国境の門で追い詰められます。 絶体絶命、そのとき・・・・・・!「鶏の鳴きまね名人」が「コケコッコー!」の名演技、ウッカリ守衛が夜明け前の夜中に国境を開門しちゃったことで、あわやの脱出を図ることができたんですねー。
町の人いわく、「なるほど、人は使いようなんだなぁ。」と孟嘗君の「先見の明」に感心しきりだったそうな。
・・・・・・以上が、「鶏鳴狗盗」の元エピソード。
なので、(1)つまらないことしかできない人のこと (2)つまらないことでもいつか役に立つ
という二つの意味を持つことになるわけです。
なんにせよ、孟嘗君さんの「人の長所を活かす」という発想は、我々中小企業にとってすごく大切な考え方だと思います。
ところで私は少々整理が苦手でして、「この資料、いつか役に立つかもしれん。」などと思うとなかなか捨てられません。
これって戦国四将の一人と称えられる孟嘗君サンの「いつか役に立つ」思想と共通する・・・・・・・・・と良いなァ。 そう思いながら仕事しています(^^;)
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
◆おまけ
ちなみにこの孟嘗君さんは5月5日生まれで、中国の占術によると「門戸の高さに成長した頃に親を殺す」凶運を持つ子として生まれました。 日本だったら、「子供の日」なのに・・・!
が、孟嘗君のお父さんはリッパでした。
「そんなもん、ウチの門戸をめっちゃ高くしとけば問題ないだろ。」と周囲の意見を取り合わず、孟嘗君を立派に育て上げたのだとか。 こういう柔軟な発想と価値観が後の立派な大人物を創るんですねー。 為になります。