ニワトリさんは見飽きた!?【たまご鶏のことわざ】その30
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
たまご鶏のことわざ30弾、今回も中国から。
<家にいるニワトリよりも、野にいるアヒルを気にかけろ>(家鶏野鶩(かけいやぼく))
これは、
「見なれたものを遠ざけて、新しいものや珍しいものを尊びなさい」という意味です。
中国には「犬鶏」という表現がありまして、これは村里が近くにあることを表わすんですね。 すなわち、犬とニワトリさんは、人が住んでいる場所の象徴である・・・・・・転じて“家鶏”は「見慣れたもの」「良いもの」「古いもの」を表わす言葉になります。
この諺は、現代風に言うなら、
ネットやTV・知人のうわさで手軽に入る情報ばかりじゃなく、ちゃんと出かけて実際に体験しなさいよ、
という風にも取れるでしょうか。
◆ひきこもりはやっぱり不利!?◆
このことわざの由来には、こんなエピソードがあります。
晋という国があった頃のお話し。
庾翼(ゆよく)さんという方がいました。 この人は軍人でありながら著名な書家でして、同時代の「王羲之」さんとならぶほどの評判がたかい売れっ子でした。
が、年がたつにつれ、王羲之さんの方がさらにドンドン有名となっていき、ユヨクさんに習っていた人たちも王羲之さんに習うようになっちゃったんですね。
そこで、「ああ、オレが家鶏みたいに家でノンビリしている間に、世の皆は野生の鶩(アヒル)みたいな王羲之を愛するようになっちゃったんだなぁ・・・・・・。」
・・・・・・、という嘆きを手紙にして友人に送った。
これが、この故事成語の由来となりました。
まぁ、確かにその通りでして、
王羲之さんは精力的に活動する中で行書・楷書・草書の書体を完成させ、世の中に受け入れさせたスンゴイ人物です。 各地を回り「書」を“芸術”にまで高め、1600年以上経った現代でも愛され続けているほどの功績をつくりあげたのですから、なるほどジッと家にいたユヨクさんではとても太刀打ちできる相手ではなかったのかもしれません。(ちなみに日本でも奈良時代以降、王羲之さんの書がお手本とされていました)
◆アヒルだって、中国ではメジャーな畜産動物◆
余談ですが、世界で飼われている畜産鳥(家きん)は、86%が鶏さん、アヒルは4%ちょっと、ガチョウが約3.5%となっております。 ニワトリさんが多くてアヒルは少ないわけですが、じつは全アヒルのうち7割が中国で飼育されています。 中国は「アヒル大国」でもあるんですね。
現代中国では、アヒルは「珍しいものや新しいもの」では無くなっていたりするわけです^^
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。