落ちるときはご一緒です【たまごのことわざ その50】
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
たまご鶏のことわざ第50弾、今回は中国から。
<巣がひっくり返れば完全な卵は残らない>(覆巣之下無完卵)
「根本が覆ると末端の者は被害を免れない」
という意味です。 昔で言うと、
『一門に及ぶ災いがあると一族の者はそれから逃れられない』
という事を表したりもします。
中国は昔から強い「コネ社会」でして、
「一族や関係者のつながり」が現代でも非常に重要だったりします。
もともとは頻発した飢饉や戦争などから自分たちを守るために、
一族で団結したのがその成り立ちとも言われます。
以前にご紹介した「鶏犬昇天」のことわざも、
「一人が出世したらペットまで出世できる」
という意味でして、
本日のことわざと同じくコネ社会を端的に表現しています。
逆に言うと“連帯責任”、
「コネの基盤」がオジャンになると、
関係者みーんな、
他の「つながり」を持つ者に押しのけられてしまう。
これが悲しい実情なのかもしれません。
さて、このことわざには、こんなエピソードがあります。
◆曹操にケンカを売って…!?
三国志の時代、
孔融さんという方がおりました。
彼はあの「孔子」の子孫、いわゆる秀才でして、
北海という結構大きな県の知事さんまで勤め、
その後もトントン拍子に出世します。
が、あまり対人関係や根回しが得意では無かったのか、
引き立ててくれた曹操さんをたびたび批判し、
ついには他国の使者、
孫権さんの使いにまで曹操批判をぶちまけたことから、
ついには曹操さんの怒りを買って処刑されてしまいます。
さて、その当時、
孔融さんには9歳と7歳の子供がいました。
が、驚くことに
目の前で父が逮捕されたとき、
二人は平然と碁を打ち続けている…。
「お父さん捕まってしまったけど、大丈夫なの?」
と聞かれ、
「巣がひっくり返ったのに中の卵が割れないハズないですよね。自分たちも覚悟していますから。」
と答えたそうです。
死を覚悟しているから動じないんですねー。うーむ。
それを聞いた曹操さん、ついには二人を処刑(えー!)してしまいました。
これが、冒頭のことわざの由来なんですね。
実際「三国志」のみならず、古来中国では、
戦に負けたり
失敗や裏切り、
処罰に対しては、本人のみならず
一族郎党皆殺し
なんてことが普通だったようです。
そう考えると、
「巣がひっくり返ると完全な卵は残らない」
という表現は、
なかなかにオソロシイ…
いろいろ考えさせられますねー。