離れるのはコワイです・・・【たまご鶏のことわざ その62】
こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごのことわざ第62弾、今回は中国のことわざ。
<探卵之患(たんらんのうれい)>
お母さん鳥が巣から離れている時に、卵を心配する気持ちのことですね。
転じて、大切な場所を襲われることへの恐れのことを指します。
「探卵之患があるので、当面は一人で店を回そうと思います。」
のような使い方ですね。
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昔々、中国の「北斉」という国のお話です。
王様に対してある客が、
「強い鷲であっても巣を離れてしまったら卵を取られてしまう危険が生じます。王様が王宮を離れても良いのですか?」
と諫めたことがあった……という記録。それがこのことわざになっているのですね。
この王様、孝昭帝さんは減税して経済を立て直し軍事でも成果を発揮したやり手の王様でしたが、身内や政敵を謀殺したり結構物騒な人生を送っています。
そんな生き方に対して、
「王は王宮にいて後継の天子を育て支えて行くべきですよ。」という、心やすらかな生活をしてはどうかというアドバイスですね。
孝昭帝さんはまだ幼い先帝から立場を奪い更に殺して王様(帝)になったのですが、今度は自分が息子達に殺される事を恐れ、別の親族に皇位を譲っています。
上記のことわざのように、巣の卵を愛し心配するくらいの気持ちがあれば、また違った穏やかな人生となったのかもしれません。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
(出典 :『北史』「北斉孝昭紀」)