小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご・鶏のことわざ 記事一覧

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ第42弾、今回は中国から。

<鶏犬不寧(けいけんふねい)>

すんごく緊迫した状況で、心が落ち着かないことのたとえです。

鶏や犬さえも落ち着かないくらいという意味なのですが、

要するに本人だけじゃなくって、周りにいる動物まで動揺しちゃっているイメージですね。

日本で言うと、

「上を下への大騒ぎ」

ですね。

ちなみに『鶏犬不寧』というタイトルのドタバタコメディ中国映画もあります。

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さて、このことわざの出典は、

唐の文学者・柳宗元さんの「捕蛇者説(蛇を捕るものの説)」というお話し。

————————–

『人々に害なす毒蛇を捕獲することで、税金を払う変わりとしている男がいた。

彼の祖父も父も蛇捕りのために死んでおり、

「ワタシも何度も死にかけているんですよね・・・。」と辛そうに言う。

「それは大変だ。政治家にとりなして元の税金で納められるように役目を変えてもらおうか?」

と言ってみたところ、男は大泣き。

「この大変なお役目だって、税金を取られるヒドさにはゼンゼンかなわないんですぜ。 情け容赦ない役人が来てわめき叫び大暴れ、驚くものは人ばかりか鶏や犬さえも落ち着いていられないくらいです。

あまりにひどいせいで村人は飢え死んだかよそへ移ってしまった。 私は蛇捕りをしているから残っていられるんです・・・・・・。」

私は彼の話を聞いてとっても悲しい。

税の取り立てが毒蛇よりも怖いなんて、為政者は誰も知らないのだ。

だからこの話を出版して、民衆を見る為政者がこのことを知るのを待ってやるのだ。』

————————–

・・・・・・とまあ、こんなカンジの内容でして、

高校の教科書にも載っている、大変有名な古典文学です。

あまり鶏はカンケイ無いようにも思いますが、

とにかくこの有名文学の一節から「鶏犬不寧」の表現が生まれたわけです。

◆おなじみ鶏と犬の組み合わせ
当ブログではおなじみの、鶏と犬のワンセットことわざです。

犬と鶏イコール「人間のそばにいる存在」、

時には“犬と鶏”と書くだけで村里を表したりするくらい。

当ブログでも、過去にいくつか犬鶏の組み合わせことわざをご紹介したことがあります。

鶏犬昇天 【たまご鶏のことわざ その30】

陶犬瓦鶏 【たまご鶏のことわざ その29】

鶏鳴狗盗 【たまご鶏のことわざ その13】

日本だと、人間のそばにいる存在、というと犬鶏じゃなくて

「犬ネコ」の組み合わせでしょうか!?

さて、

いよいよ年末残り2週間。

お客様のお店も宴会シーズンやクリスマス、繁忙期に入り、

注文が増える時期です。

「鶏犬不寧」の大騒ぎとならないように、

しっかりと準備万端待ちかまえて行動したいと思います^^

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:ニワトリさんは見飽きた!?【たまご鶏のことわざ】その30

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年12月19日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまごのことわざシリーズ第41弾、今回は中国から。

<啐啄同時>(そつたく)

師弟の呼吸がピタリと合う事、またとないチャンスを意味します。“啐啄の機”なんて言い方もします。

「啐(そつ)」とはヒナが殻を割って出ようとする鳴き声、

「啄(たく)」とは母鳥が卵の殻をコンコンとつつく音です。

ヒナは卵から孵るときに、内側から殻をつついて穴を開けます。

ただ、

ヒナは体力もありませんので、

自分ひとりの力だけで殻から出てくることはできません。

親鳥が外から殻をつついて

カラを割ってやらなくてはいけないんですね。

とはいえ、まだ孵るタイミングじゃないのに

親鳥が早くつついて割ってしまったら・・・

ただの「割れタマゴ」になっちゃいます。

また逆に

親鳥が手伝い始めるのが遅れると、

ヒナ鳥は出られずに、体力を失って死んじゃいます。

つまり、“啐(そつ)”と“啄(たく)”が「同時

じゃないといけないんですね。

このことから、禅宗で、

「導く師と弟子との呼吸がぴたりと合うこと」

これを、たまごで例えたわけです。

ご家庭でも、おんなじですよねー。

「ちょっと英会話習ってみない?」

「えー、やだよ。」

なんて息子さんとの会話、ご経験ありませんでしょうか?

まずエジソンやイチロー、

はたまたポケモントレーナーでもガンダムでも良いのですが、

たとえば偉人のお話などから“技術習得”に興味を持って、

(やってみてもいいかなー・・・。)

と感じている“瞬間”に!

ズバリ!

「やってみない!?」

・・・・・・

お母さま、

あなたが誘えるかどうかが、大きなポイントになるんです。

それってむずかしい……!

そのとおり。

けども、それのタイミングを見抜くのがまさに信頼関係、

「啐啄」なんですね。

ちなみに、孵化直前のたまごにスピーカーで“卵をつつく音”を聴かせると生まれるのが一日早くなり、また、“親鳥の鳴き声”を聴かせると安心して生まれるのが一日遅くなるそうです。

ヒナも、命をかけて音を聞き逃さぬよう、ここぞ!というタイミングを計っているんですねー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年11月12日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざシリーズついに第40弾!今回は米国から。

<“好機”は卵のように、ひとつずつやってくる>(Opportunities, like eggs, come one at a time)

19世紀の米国作家、ヘンリー・ウィーラーショーの言葉です。

良いタイミング、勝負どころ、チャンス、好機…

人生にはこんな瞬間があります。

が、案外とその時って、わかんないものですよね。

後になって、

「あのときのおかげだよな。」

などと思い返してみて気づくものです。

そして、

わかんないだけに、見逃すこともあるわけです。

「ああ、あのとき挑戦しておけば良かったなァ・・・。」

なんて風に。

でも、

好機を逃してしまったことを悲観する必要はありません。

好機ってのは、

毎日生まれる卵のように、

自分があきらめないかぎり

何度も

なんども

やってくるんですね。

「チャンスの女神には前髪しかない」という諺があります。

これは『チャンスを後から追いかけても掴めない』・・・・・・という意味ですが、

重要なのは、

チャンスの女神は何人も何人も走ってくる、

ってコトです。

過ぎてしまった好機を嘆くくらいなら、

「さァて、つぎ行ってみよう!!」

という発想を常に持つことが、

ハッピーな人生を送るコツのようです。

僕の大好きな卵の格言です。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます^^

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年10月19日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ第39弾、今回はフランスです。

<卵を盗むものは、牛も盗むようになる>He that will steal an egg will steal an ox.

最初はちいさな出来心であっても、だんだんと大きな犯罪をするようになる、そんな意味です。

日本で言うと「うそつきは泥棒のはじまり」でしょうか。

最初っから大それた悪いことをする人って、いないんですよね。

まァ、これくらいならいいか。

そういう小さな気持ちがだんだんと倫理観を壊していくんですね。

だから、子供がズルをしたときやウソをついたとき、

はたまた友達のものを壊したとき、

厳しく叱ることがとっても重要なんです。

万引きでも、最近は「かならず警察に通報する」のが主流となっているそうです。

「悪いことは悪い事」ということに早めに気づかせること、

意外と思っているよりもずっと大事なことなんですねー。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエコラム・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年09月23日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ第38弾、今回は中国から。

<鶏に嫁入りしたら鶏に従いなさい(嫁鶏随鶏・かけいずいけい)>

結婚したら、夫が良くても悪くても一生つき従いなさい。
そういうことわざです。

“嫁鶏随鶏”のあとに“嫁狐随狐”と続く言い回しもありまして、とにかく鶏さんだろうが狐だろうが、一緒になったら共にすごしましょう、ということを言っているんですね。

人間は誰しも「長所半分・短所半分」と言います。

ゾウだろうがワニだろうがじっくり生活してみれば、腹の立つところも良いところも両方、誰にだってあるってわけです。

「ああ、なんで自分はこんなダンナと・・・」

なんて嘆くよりも、良いところを探して褒めて伸ばす、そういう人生もまた悪くないんじゃないでしょうか?

このコトワザは少々“男尊女卑”な言い回しにも感じますが、中国ですので儒教的な教えが影響しているのかもしれません。

 

そういえば
同じ鶏のことわざなのに、
前回のことわざと発想が逆ですね。

西洋東洋の考えの違いを垣間見たようで、ちょっと面白いです。

(参照:奥さまは口うるさく言うべき!?【たまご鶏のことわざ36】

 

とはいえ
実際のところは違う気もします。

中国出身の知人数人を見てますと、
私の知る限りたいへん奥さまが強い家庭ばかりなんですね。

“嫁鶏随鶏”というより
鶏随鶏”、

むしろ夫が奥様につき従っているようなイメージですねぇ。

日本でもそんなカンジかもしれませんが・・・。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます^^

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年08月19日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ第37弾!今回は中国から。

<鶏骨支床(けいこつししょう)>

体が痩せ衰えて寝床から支えることがやっとの状態を表わしまして、それくらい憔悴しきって誰かの死を悼み喪に服していることを指します。

以前もお話ししましたが、古代中国では“鶏”は弔いをする際の捧げものだったんですね。

ですから、上の慣用句も、「鶏さんの骨くらい細い」という表現と、死に際しての「お供え」イメージのダブルミーニングとして使われているわけですねー。

そういえば、日本でも「鶏ガラみたいな体」なんて言う表現がありますね。

しかし、墓前に『お供え』するイメージのある食べものというと、

日本では・・・、エーと、

なんでしょうか・・・・・・??

・・・・・・あまり「コレ!」という『お供えの代表』、って食べ物が無い気がします。

日本の御弔いはだいたい仏教ですから肉はNG、さすがに鶏肉、ってのは無いかと思いますが・・・^^;

手元にある葬儀の本で調べてみると、「おそば」や「おはぎ」が良いとされているようです。

へー。

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お蕎麦は「そばにいる」の意、「おはぎ」は彼岸とこの世を「はぎあわせる」という意味があるのだとか。

まさかダジャレとは。

とはいえ、おはぎはなんとなく判りますけども、お蕎麦は普段食べなれているだけに、“葬礼”っていうイメージは、あまりうかばないですねェ・・・・・・。

お盆も近いですが、さて、どんなお供えが合いますでしょうか。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(関連:ニワトリは哀しみの中に【たまご鶏のことわざ その34】 – たまごのソムリエコラム

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2016年07月15日