小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご・鶏のことわざ 記事一覧

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ、今回はカンボジアから。

<鳴くめんどりは、卵を産んだめんどり>
(モァンヌ ナー クトーツ、モアンヌ ノゥッ ポーン) 

鶏さんは、たまごを産んだ後によく鳴きます。 そこから転じて、『事件を起こした張本人は、証拠となる行動を起こすものだ』

という意味になります。

一番さわいでいるアノ人が、どうも犯人っぽくてアヤシイ・・・・・・。

そんなときに使うコトワザです。

ミステリーでときどき出てくる展開ですねェ。

「誰がやったんだ!けしからん。 刑事さん、はやく犯人をつかまえてください。」

なんて大声で言うヤツに限って、犯人だったり。

心理的にはワカランでもないですよね。

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心にやましいことがあるから、それを払しょくしようと思って普段取らない行動をとっちゃう。 たとえば『浮気したときだけプレゼントを買ってくるダンナ』は、まさに「卵を産んだ時だけ鳴く鶏」です^^;

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◆産卵後よく鳴くのはホント◆
さて、 実際のところはというと、ニワトリさんは産卵後に長鳴きをします。 おんどりは朝になると時を告げるように鳴き、めんどりは卵を産んだ後に鳴く・・・・・・のだとか。

もっとも、私は商売柄めんどりさんと比べ雄鶏サンはあまり面識がないので、「そうらしい」と聞くばかりですが^^;

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエコラム・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年12月19日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏のことわざ、今回は中国から。

<泰山卵を圧す(たいざんたまごをあっす)>(泰山圧卵)

圧倒的な力でたやすく成し遂げてしまうことを言います。

「泰山卵を圧す勢いでゴールに攻め込んだ。」 なんて使い方をします。

泰山”とは、中国にある山で、道教の聖地・五岳のひとつ。 日本でいう富士山のような扱いでして、「雄大なようす」「デッカくてスゴイ存在」の代名詞になっています。

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日本でもゆうゆうとした態度を「泰然(たいぜん)とした姿」なんて表現しますが、これは泰山が由来なんですね。

この表現を日本風にしてみると、

「富士山で卵をつぶすみたいな圧倒的勝利!」

・・・・・・てなカンジでしょうか。

西遊記でもこの泰山は出てきておりまして、

ひょうたんを持って吸いこむ妖怪、金閣・銀閣の弟の方、

銀閣が泰山、須弥山、峨眉山の三つの山を動かして孫悟空を押しつぶし、封じ込めるというエピソードがあります。

孫悟空でもつぶされちゃうのに、卵なんてどーにもならないですよねェー ^^;

ことわざや慣用句は本来、伝えたい表現を分かりやすくつたえる、そういう目的があります。

ですから、イメージしやすい表現が多くなるわけですが、そのなかでもこの「泰山圧卵」は特にスゴイスケールのイメージで、とても面白いです。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエコラム・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年10月17日

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こんにちは!たまごのソムリエ、こばやしです。

たまご鶏のことわざ第31弾、今回は英語圏から。

<たまごの殻の上を歩く(walk on eggshells)>

と書いて、「慎重に行動する」ことを言います。 ヒヤヒヤしながら行動する、そんなニュアンスもあります。 そりゃそうですよねー、カラの上を歩くんですから。 日本でいう「薄氷を踏む思い」ですね。

一般的に「薄い」の代名詞として「卵の殻」で表現されることは良くありまして、たとえば薄い白磁器は英語で「チャイナ エッグシェル(china eggshell)」 と呼ばれます。 イメージしやすいですねー。

ことわざに話を戻します。

昨年の米国ニュースを例にとると、

 「卵殻の上のレース(Racing On Egg Shells)

 というタイトル記事がありました。 これは、米国の自動車レースで、新型世代マシンが導入された事に関するニュースです。

トップドライバーのケセロウスキー氏は、
「まだまだテスト状態でヒヤヒヤするよ。 みんな卵の殻の上にいるってことさ。 ドライバーだって卵の殻の上、ファンだって卵の殻の上にいる気分だろうね。 メディアだって、運営本部だって卵の殻の上にいる気分だと思うよ。」

・・・・・・と、たまご連発のコメントをしています。 まだ慣れてない事に対するヒヤヒヤ慎重を、卵の殻という慣用句で表現しているんですねー。

 

◆実はけっこう固いたまごの殻
ちなみに卵の殻は、長軸方向(タテの上下からの)に対する力に対しては、一個のたまごでなんと7kgもの荷重に耐えられます。

つまり、1パック10個の上ならば、大のオトナが乗っかる事ができるんですねー。 きちんと並べたならば車だってその上に乗れるんです。 えへん。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年09月30日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ30弾、今回も中国から。

<家にいるニワトリよりも、野にいるアヒルを気にかけろ>(家鶏野鶩(かけいやぼく)

これは、

「見なれたものを遠ざけて、新しいものや珍しいものを尊びなさい」という意味です。

中国には「犬鶏」という表現がありまして、これは村里が近くにあることを表わすんですね。 すなわち、犬とニワトリさんは、人が住んでいる場所の象徴である・・・・・・転じて“家鶏は「見慣れたもの」「良いもの」「古いもの」を表わす言葉になります。

この諺は、現代風に言うなら、

ネットやTV・知人のうわさで手軽に入る情報ばかりじゃなく、ちゃんと出かけて実際に体験しなさいよ、

という風にも取れるでしょうか。

 

◆ひきこもりはやっぱり不利!?◆

このことわざの由来には、こんなエピソードがあります。

晋という国があった頃のお話し。

庾翼(ゆよく)さんという方がいました。 この人は軍人でありながら著名な書家でして、同時代の「王羲之」さんとならぶほどの評判がたかい売れっ子でした。

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が、年がたつにつれ、王羲之さんの方がさらにドンドン有名となっていき、ユヨクさんに習っていた人たちも王羲之さんに習うようになっちゃったんですね。

そこで、「ああ、オレが家鶏みたいに家でノンビリしている間に、世の皆は野生の鶩アヒル)みたいな王羲之を愛するようになっちゃったんだなぁ・・・・・・。

・・・・・・、という嘆きを手紙にして友人に送った。

これが、この故事成語の由来となりました。

まぁ、確かにその通りでして、

王羲之さんは精力的に活動する中で行書・楷書・草書の書体を完成させ、世の中に受け入れさせたスンゴイ人物です。 各地を回り「書」を“芸術”にまで高め、1600年以上経った現代でも愛され続けているほどの功績をつくりあげたのですから、なるほどジッと家にいたユヨクさんではとても太刀打ちできる相手ではなかったのかもしれません。(ちなみに日本でも奈良時代以降、王羲之さんの書がお手本とされていました)

 

◆アヒルだって、中国ではメジャーな畜産動物◆

余談ですが、世界で飼われている畜産鳥(家きん)は、86%が鶏さん、アヒルは4%ちょっと、ガチョウが約3.5%となっております。 ニワトリさんが多くてアヒルは少ないわけですが、じつは全アヒルのうち7割が中国で飼育されています。 中国は「アヒル大国」でもあるんですね。

現代中国では、アヒルは「珍しいものや新しいもの」では無くなっていたりするわけです^^

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年08月14日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。たまご・鶏のことわざ第29弾、今回は中国から。

<陶犬瓦鶏>(とうけんがけい)

直訳すると、『陶器でできた犬と素焼きの鶏』という意味です。

要するに、「見た目は立派だけど役立たず」な事を表わします。

なるほど、ドロボウが来ても吠えないし、朝を告げず卵も産まない・・・これでは役に立たないですねェ。

日本で言うならば、「張子の虎」でしょうか。

すこし前ですが、某国軍艦に搭載された最新式ソナーの中身が、実は漁師さんが使う旧式の魚群探知機だった・・・・・・なんてニュースがありました。これなんかは正に“陶犬瓦鶏”と言えるんじゃないでしょうか。

 

◆犬とニワトリさんの仲良しコンビ◆

中国の故事成語では犬とニワトリさんはセットで表現されることが多く、また「人間に最も近しい動物」のツートップとして描かれます。

中国の古典で“犬鶏”という言葉が出ると、『村里』のことを意味するくらいの近しさっぷりです。

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そういえば以前ご紹介した<鶏鳴狗盗>(けいめいくとう)も鶏と犬の組み合わせでしたねー。

 

何千年も人間の生活と共にあったニワトリさんの文化が、さまざまな形で現代に残っているのはとても興味深いです。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年07月10日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご・鶏さんのことわざ第28弾、今回は英語圏から。

<卵の殻で海を渡る> (It’s hard to sail over the sea in an eggshell)

ぜったい不可能なこと」を意味します。そんなムチャな!と言いたい時に使う表現なんですね。

なるほど、確かに。

荒波にたまごの殻を浮かべることを考えると、そりゃ無理だろう。というイメージがすごく浮かびますね。

◆そうは言っても頑丈!たまごの殻◆

ちなみに卵のカラは4層構造から成っていまして、軽くて薄くてすごく強度が強いんです。 わずか0.3mm程度の厚さしかありませんが、なんと!7kgもの耐荷重に耐えることができます。

卵殻のことを英語で「シェル(shell)」と呼びますが、強固な卵が『シェルター』の語源となったという説だってあるんです。

また、たまごの殻は炭酸カルシウムでできていますが、この物質は鉄鉱石から不純物を取り除き、強靭な鉄をつくるために欠かせない素材なんですね。

卵のカラで海を渡るのはムズカシイですが、巨大なタンカーが建造できて大洋を横断できるのも、卵のカラ主成分のおかげ!とも言えるんです。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

※関連 『たまご・鶏のことわざ』カテゴリを分けました!

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2015年06月26日