小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

たまご・鶏のことわざ 記事一覧

 

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご鶏のことわざ18弾、今回は欧米から。

<卵を採ろうとする者は、鶏の鳴き声をガマンせよ>
(He that would have eggs must endure the cackling of hens

何か楽しみを得ようと思ったら、別のところでガマンが必要です。』という意味です。楽しいことばっかりじゃないんですよねー。

将来良い仕事に就きたいから猛勉強する、

出世するからこそ、気苦労も多い。

隣の芝は青く見えがちですが、どの仕事、立場でもそれなりのガマンがあるのではないでしょうか。

ところで、数万人の職場リーダー・経営者を取材・統計をまとめ著書にした経営思想家マーカス・バッキンガムさんによると、

「何をガマンできるかはその人の才能」なんだそうです。 例えば「看護師さんの才能」であれば、注射を打つスキルが高いかどうかじゃなくて、例えば夜勤やハードな仕事であっても患者さんの「ありがとう」の一言で疲れが吹っ飛ぶ、そんな性分かどうかの方がずっと大切で、これすなわち“才能”なんですね。

鶏の鳴き声をガマンしなくちゃいけないのは仕方ないとしても、それを「いやだなァー。」と強く感じる人と「結構カワイイ声じゃん。」と感じる人では、そのガマン度合が違うわけです。

自分にとってのガマンが平気な「鶏の鳴き声」を見つけることが、天職に出会うコツなのかもしれません。

ちなみに鶏さんは、そんなにうるさくないです。 普段は「コー・コー」と静かに鳴いてるくらいで、近くでいても騒がしいなんてあんまり思わないんですよねェ。

いちおう鶏サンの名誉のために弁解しときます(^^)

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエ日記・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2013年12月5日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご、鶏さんのことわざ、第17弾です。今回はロシアから。

<たまごに鶏を教えることはできない>
(Яйца курицу не учат.)

で、「若者が年長者に意見してはいけません。」という意味です。「自分よりも優れた人物に説教してはいけない。」というニュアンスも含まれています。

なるほど、とかく若いうちは根拠の無いプライドだけが高くて、先輩・上司のやることが気に食わなかったり、「あのヒトはわかってない!オレの方がすごいのに!」・・・なんて反発心を持っちゃったりすることがあります。

私も若い頃、上司先輩にアタマごなしに叱られたことが何度もあります。「いいから黙ってオレの言う通りにしろ!」ってなヤツです。

その時は「自分の方が正しい!」と思ってましたが、今思えば、自分の業務だけ・狭い範囲だけの浅い意見、議論するレベルにすら立ってなかったんですねェ。 まさに「ひよっこ」。 思い返しても反省しきりです。(^^;)

せめて同じ土俵、同じ「ニワトリさん同士」になってから優劣成否の判断をすべきである。 この諺(ことわざ)はそういう意味ではないでしょうか?

ちなみに「知識人・インテリ」の事を欧米では「たまごアタマ(Egg Head)」と言います。 そのものは「知識の象徴」という側面もあるので、「たとえ“知識”はたくさんあっても経験に裏打ちされた年長者の“知恵”にはかなわないんだよ。」という意味もあるのかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエ日記・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2013年10月25日

こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

突然ですが、鶴と宝石と真珠の共通点、って何かわかりますか?

これ実は、同じ「美しいもの」のたとえとして、日欧米のことわざで使われているものなんですね。

「掃きだめに鶴」という言葉があります。

これ英語では、

「掃きだめに宝石」“a jewel on a dunghill”

フランス語では、

「掃きだめに真珠」“des perles sur du fumier”

なんですね。 よく考えてみると、宝石や真珠は貴重品ですので、「美しいもの」として表されるのもわかる気がしますが、日本では「」がその代表格になるというのも大変興味深いです。

なんとなく、日本人的な感性を感じますねー。

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2013年10月22日

こんにちは!たまごのソムリエ・小林ゴールドエッグのこばやしです。

本日は卵・鶏さんの慣用句第16弾!

前回に引き続き中国です。

<鶏肋(けいろく)>

鶏さんの肋(あばら)骨は良いダシが出るし、味があってしゃぶると美味しい。 でも食べるほどの肉は無いのでお腹はいっぱいにならない。 なので、たいして役に立たないが、捨てるには惜しいもの」を指すようになりました。

 

◆始まりは三国志から・・・・・・!
これはあの三国志、曹操のエピソードが元なんですね。

三国志演義によると、

劉備玄徳が漢中郡を攻め取り「漢中王」を名乗りました。怒った曹操は漢中郡を奪還するために兵を出します。

が、そこで曹操軍は大苦戦、攻防の中で大敗を喫してしまいます。 曹操は「ここは撤退すべきか・・・。」と考えていましたが、笑いものにされることを恐れて言い出せずにいました。

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ある夜、部下の夏候惇が指示を仰ぎに曹操のもとにやってきます。 陣中で深く考え事をしながら、たまたま鶏のスープを飲んでいた曹操は「鶏肋(けいろく)・・・。」とつぶやきます。

それを聞いた夏候惇は、全軍に「鶏肋だ!」と伝令を飛ばします。 さあ、さっぱり意味が分らない・・・??? 武将たちが混乱する中、側近の楊修だけが、すぐさま「撤退」の準備を整え始めました。

夏候惇はビックリ!

「!?貴殿はなぜ撤退の指示を出してるんだ!?」

楊修「曹操様は、漢中郡鶏の肋(あばら)に例えておられます。 すなわち鶏肋はしゃぶれば美味しくて捨てるのは惜しいけれども、実際は食べる肉の部分は少ない。 漢中郡も手を退くには惜しいけれども、これ以上無理をするだけの利点はないという意味でしょう。なので、私は撤退の指示を出しているのです。」

「なるほど。」

納得した夏候惇は自身も部下に撤退の命令を出し、引き揚げを開始します。

サア、驚いたのは曹操。

「なんの指示も出してないのに、全軍が撤退をはじめている!??」

激怒した曹操によって、楊修サンは「軍の規律を乱した」として、後に処刑されてしまったそうです。

以上、なんとも理不尽なエピソードですが、一説によると、才覚がありすぎる楊修を恐れ排除するために、曹操はこの一件を口実にしたと言われています。

 

◆モッタイナイをどう考えるか?
実際の価値にかかわらず、手間をかけたものを手放したくないと感じてしまう心理を、「サンクスコスト効果」と言います。

株や経営判断、そしてご家庭の服・・・実際に上記の鶏肋(けいろく)状態で判断を誤るケースは多いです。

そんな時に必要なのは、感情の入らない客観的な判断!

「二年タンスから出さなかった服は捨てよう。」

「社外のあの人に聞いてみよう。」

自分の感情と切り離すのがコツなのかもしれませんね。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエ日記・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2013年10月12日

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こんにちは!たまごのソムリエ・こばやしです。

たまご、鶏さんのことわざ第15弾、今回は中国から。

<鶏飛蛋打>(けいひたんだ)

鶏には逃げられ卵も割れてしまう、という意味。 あれもこれもと両方を狙って結局は何も得られない喩え。また、踏んだり蹴ったりな状況の喩えでもあります。

二兎を追うもの一兎も得ず」、または「泣き面に蜂」、と言った意味でしょうか。

例えとしてはなかなかウマいですねー。ウサギ(兎)や蜂の“日本式”ことわざよりもずっと「トホホ」感が出てます。

イスラエルの心理学者メラマードさんの研究によると、『迷った時に判断に時間がかかる人ほど不安を抱きやすい』のだそうです。しかもその判断が当たっていたかどうかに関わらずです。

心理学的には、「迷うくらいならさっさと決めてしまった方が人生幸福である。」という結論なわけで、上の「鶏飛蛋打」トホホ状態にならないためには、とにもかくにもコイン裏表でも良いので、いかに早く決断してしまうか!が大事なようです。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

(参照:かなり面白いですよ!→マンガで分かる心療内科・精神科in渋谷 第66回「優柔不断は危険? サイコロで不安を消す方法」 http://yusb.net/man/791.html)

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2013年09月13日

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こんにちは!たまごのソムリエ、小林ゴールドエッグのこばやしです。

たまご、鶏さんのことわざ、第14弾です。今回はドイツから。

<まだ産まれていない卵を気にかけるな>
(Kümmere dich nicht um ungelegte Eier.)

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英語では<孵化してない鶏を数えるな>という諺があります。(“don’t count your chickens before they’re hatched”)

どちらも同じ意味で、ようするに「獲らぬ狸の皮算用」ですね。「飛ぶ鳥の献立」なんていう言い方もあります。

 

◆毎朝生まれるとは限らない
ちなみにニワトリさんは毎日確実に卵を産むわけではありません。卵を産んでくれる確率を“産卵率”と言いますが、若いニワトリさんでだいたい90%くらい、ある程度年を取っちゃったニワトリさんでは70%前後になります。 明日生んでくれるかどうか?はわからない訳です。

そして卵からヒヨコになるのも、残念ながら100%確実ではありません。 状態にもよりますが、だいたい95%から98%くらい。 諺でいうと、ドイツの諺(たまご)より英語の諺(ヒヨコ)の方が、未来に対して厳しい戒めとも言えますね。(^^;)

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そういえば「獲らぬ狸の皮算用」ですが、英語では「獲らぬクマの皮算用」“Catch your bear before you sell its skin.”

という諺もあって、考えることは同じでもスケールの違いを感じますね! (^^;) タヌキくらいなら狩猟の予想も立ちそうですが、クマとなるとホントに獲ってこれるのか、“皮算用”するにも大変そうだなァ。

ここまでお読みくださって、ありがとうございます。

関連:たまごのソムリエ日記・・・たまご・鶏さんのことわざシリーズ一覧

カテゴリー | ソムリエ日記 , たまご・鶏のことわざ 2013年09月2日