こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごの名言シリーズです。
『たぶん、世界で一番プライベートなもののひとつは、割る前のたまごである』(M.F.K.フィッシャー)
“Probably one of the most private things in the world is an egg before it is broken.”
M.F.K.フィッシャーさんは、
20世紀後半に米国で活躍された
女性料理研究家・作家さん。
数十冊の著作を残し
カリフォルニアワイン・
ナパバレーワインライブラリーの創設者
としても知られています。
フランスの美食家で政治家
ブリア・サヴァランの『美味礼讃』
を現代風に英訳した方として有名ですが、
他にも
なかなか面白い本を書かれて
まして、たとえば
「オオカミの調理法」
(How to Cook a Wolf)
と題した
“戦時下で作る”ための料理本
があります。
第二次世界大戦中の
食糧難のさなかに出版され
『限られた食材で
バランスの良い食事を
摂る手段とレシピ』
とか
『停電中の調理方法』とか、
『眠れないときの料理』とか
『爆撃時のペットのケア』まで
書かれてます。
ずいぶんと
主婦の助けになる!
・・・と評判になりました。
またフィッシャーさんは
第二次世界大戦後、
混とんとして食のモラルや
魅力が低下していた米国に、
正統なフレンチ料理や
料理の歴史をめちゃめちゃ
分かりやすく伝え続けた
この功績は料理人さんの啓蒙に
ものすごく影響が大きかった
とも言われます。
ようは、
移民国家である米国で
ルーツのさだかじゃない料理が
わらわら出されている状況に
古い料理の本を研究し、
歴史と共にわかりやすく伝えることで、
『この料理って、
こういう歴史的な背景と
意味があったのか…!』
と料理人さんが気づく。
重みや魅力を知るきっかけに
なったわけですね。
その結果いまでは、
たとえば
ニューヨークだけで
29もの星付きレストランが
立ち並んでいます。
新しい食の発信地として
アメリカの食が位置付けられ
ているのは、フィッシャーさんの
おかげとも言えます。
歴史に埋もれてしまっていた
料理レシピは
まさに「殻にこもったたまご」
冒頭の名言と同じ
世界一のプライベートな
“情報”だったかもしれません。
それを割ってみせて
世界に共有してくれた。
広大な美食ワールドに
拡散してくださった。
それが料理の発展になってますね~。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。