こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
たまごの故事ことわざ・第63弾、
今回は中国から。
<二卵弃干城>
(二卵を以て干城の将を捨つ)
「卵2個で将軍を捨てちゃう」
→「小さな欠点にこだわって大事なものを逃がす」
という意味です。
昔々、
中国の春秋戦国時代のお話です。
衛という国に、
孔子の孫・子思(しし)さん
という方が住んでいました。
ある時、ししサンが王様に
「苟変(こうへん)という者が
おりまして、大変優秀です。
ぜひ干城(将軍)に採り立てる
べきです。」
と提案したんですね。
ところがそれを聞いた王様、
「ふ~む…!?
そのコウヘンとやらは、
税の徴収の際に
卵2個ずつを
ちょろまかしていた
と聞いたぞ。
そんなヤツを重要な職に
つけるなんてダメじゃろう。」
との返答。
過去にセコい着服を
していた人物のようです。
うーむ・・・
すると子思さんは、
「何をおっしゃるんですか。
立派な大木だって、
小さく朽ちてる所は
何か所かあります。
でも優れた大工なら
そんな所があったって
ちゃんと大木を活かしますよ。
たった2個の卵で、
大将軍を捨てる
おつもりですか?」
と返したそうです。
つまり、欠点に目をつぶって
長所をちゃんと見ましょうよ、
というお話ですね。
『欠けたドーナツ理論』
と申しまして、
まん丸なドーナツの
一部が欠けていると、
残りのほとんどは
欠けてないのに、
とにかく欠けた部分ばかりに
目が行ってしまうんです。
人間も、
ステキで立派な長所が
たくさんあるのに、
とかく欠点ばかりに
目がいきがちなんですね。
皆さんもそんな経験
ありませんでしょうか?
つい欠点が気になる、
そういう一面がある以上、
意識して「良い面」を
見るように訓練していかないと
いけませんよね。
『二卵を以て干城の将を捨つ』は、
人間は誰でも長所半分・短所半分である、
短所は無くならないんだから
長所を見て伸ばしていきましょう。
そんなことを教えてくれる故事成語です。
〇たまご2個はちっちゃなこと……!?
このお話の時代は
だいたい2500年くらい前
なのですが、
その頃に卵が世に普及していて
卵2個が「小さな横領」
として
出てきているという事に、
卵屋としては注目したいです。
中国から日本に
鶏が伝わってきたのも
だいたい2500年前のその頃で、
またローマでも
卵を沢山産むように
鶏が品種改良され始めたのが
同じ時期なんです。
世界的に鶏卵が
広がりつつあった時期
なんですね。
貴重品から「割と身近な食材」へ、
そんな過渡期のエピソードとしての
この故事成語「二卵弃干城」、
なかなか興味深いです。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。