小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

プロが美味しいものが、みんな好きとは限らない

こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

江戸時代から続く

鶏料理の老舗店主さんから

聞いたお話。

 

「いろんな地鶏を研究して食べ比べするんだよ。

すると『これはスゴイ!』ってなる鶏がいる。

 

料理人同士であつまって、勉強する場でも

腕たちの料理人皆が口をそろえて

「これは最高だ。」って言う肉が

あるんだけど、

 

そんなのを時々、

アルバイトのまかないで

こっそり出すんだよ。

そんで、

「今日の味どうだい?」って

聞いてみるんだよね。

 

すると驚くことに

「今日のはちょっとイマイチですね。」

「なんだか固いです。」

「いつもと違ってヘンですね…」

みたいな反応になることがあるんだ。

 

ボクら料理人の考えでは

肉のうまみが、

とか香りがイイ香ばしさがイイ

なんて基準が高い評価であっても

 

一般の人にとっては

そんなの些末なことで、

食感のやわらかい

普通の国産若鶏の方が

ずっと好き、なんてことがあるんだよ。

 

だから、腕たちの料理人

皆が絶賛しても

決してそれが良いとは

決めつけちゃいけないよなぁ。

 

自分の舌に自信があっても

僕はそれだけを信用したりは、

しないんだよね。」

 

とのお話でした。

10年ほど前ですが、

僕にはビックリなお話で

とても印象に残っています。

 

多くの方に「美味しい」

と思ってもらうために

修行を極めた料理人さんが

「これだ!」と思うものが

必ずしも喜んでもらえない

可能性があるということです。


このお話から、

2つ言えることがあります。

 

ひとつは、

「頭のかたい玄人的」

であってはいけない、

ということ。

 

どれだけ味に自信があっても、

主体は「お客様」なんですね。

 

自信があるほど

他者の意見を柔軟に

取り入れる

そんな一面って大事ですよね~。

 

ぼくたちの仕事でも、

「自分が美味しいと思うから」

ではなくて、

 

できるだけ「大勢のチカラ」で

おいしさづくりに

取り組むように心がけてます。

中心チームで評価して

パートさん含む大勢で評価して

お使いいただく料理人さんの評価

…と、多くの方のご意見が

僕たちにとっての宝物なんです。

もう一つは、

「おいしさは1つではない」

ということですね。

 

たとえば卵でも、

『臭みが無い』なんてフレーズが

使われているのをよく見ますが、

 

もし中華料理好きの方であれば

繊細な香りの差よりも、

「加熱でふわとろになるかどうか」

の方がすごく重要かもしれません。

 

差別化メニューで使うのであれば、

色味の鮮やかさの方が

大事かもしれません。

 

 

 

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき2022年04月14日