小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

「なつかしさ」は「うまい」に勝つキーワード

ご飲食店さま向けに書いてます。


こんにちは!

たまごのソムリエ・こばやしです。

トヨタがドライバーに不快感を与えずに

眠気を覚ますシステムとして、

「懐メロを的確に流す」仕組みを

開発中なんだそうですね。

 

『心が震えるような感情を喚起し、眠気が覚めやすくなる』

という実験データが出ているそうで、

なるほど、自分に照らし合わせても納得です。

 

人生で一番多感で、

テンション高かった

時期の曲を聞いたら、確かに

今でも気持ちがアガりますね~。

 

さて、この

「懐かしさ」って、

「食」の世界でも、

めちゃくちゃ強い武器なんです。


若いころ、僕は食品メーカーの研究開発員でした。

あるとき納豆事業の新商品を開発するチーム

にいたんですね。

 

「たれのおいしい王道の納豆」

という開発テーマをもらいまして、

頭をひねりすぎて

ねじ切れるんじゃないかと思うくらい

悩みながら試行錯誤しました。

 

その結果、

かなり素晴らしい風味・ダシ薫るものができたのです。

 

で、発売前に市場調査をしてみよう

という事になったんですね。

 

その地域で一番売れている

ロングセラーの納豆と、

僕が開発した新たれ納豆を比べる試験です。

で、ブラインド試験っていいまして、

パッケージを外して

どっちかわからない状態で、

おおぜいの一般の方に

試食をしていただくんですね。

 

すると…

「どっちが美味しいですか?」

という質問では、

なんと!

ボクが開発した商品の方が

「美味しい」

と多数の人に選んでもらえたのです。

 

一人試食がすむごとに

待ちきれずに回答を確認するのですが、

 

「カツオだしの香りがすごく良い」

「風味が新鮮でおいしい」

なんて書かれてまして、

 

やった!これは反応良いぞ!

と感じてました。

 

で……

「発売されたら

どっちを買いたいですか?」

という質問を、

アンケート紙の最後にしてあったのです。

 

すると‥‥‥

なんと、ボクの試作品よりも、

圧倒的に

「地域一番の納豆」を

「買いたい納豆」として

選ぶ人が多かったのです。

 

がーん‥!

????

僕が作った方が「うまい」って言ってるのに??

 

理由を読むと、

「なんか懐かしくて好き」

「子供のころからの慣れた味がする」

なんて理由で、選んでいたのです。

 

そう、

思った以上に、

ロングセラー

「昔から慣れ親しんだ」

って、すごい武器なんです。

 

生半可な「おいしさ」じゃあ勝てない。

 

「特に品質の高いわけじゃないお米でも

採れた地元では、魚沼産の一級米よりも評価が高いことがザラにある。」

大手お米問屋の社長さんにそんな話を聞いた事もあります。

 

全国いろんな銘柄の「醤油」を取り寄せて

たれをつくった結果、

キッコーマンの醤油を使ったものが一番高評価だった。

そんなこともありました。

こんな本も出ていますが、

オムライスなんかも、

昔と今でずいぶん変わっています。

 

若かりしころの原動力を思い出す

「懐かしさ」を今のメニュー要素に

翻訳してうまく取り入れれば、

根強い人気になるかもしれません。

 

たとえば、

昭和に人気だった

ひき肉と玉ねぎのオムレツ

今の時代なら、

お米を包む

オムライスよりも

低糖質ですし、

 

うまくアレンジすれば

新たな懐かしの人気メニュー

として盛り上がるかもしれません。

 

ぜひ「懐かしさ」の取り入れ

考えてみて下さいませ~。

 

ここまでお読みくださって、

ありがとうございます。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ちょっとつぶやき2021年11月7日