高いから旨いわけではない(鶏肉や卵の使い分けの大事さ)
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
一昨日の「芸能人格付けチェック」、面白かったですね。
食べくらべで、
「100g8000円の高級近江牛」より
なんと「カエル肉」を選んだ出演者が続出、
司会者のハマちゃんまでもが同じ選択をしてました。
Twitterでは、
「シャトーブリアンより旨いカエル肉って食べてみたい…!」
という声が沢山あがって「カエル肉」がトレンドワードに。
なかなか興味深いです。
一般に「最高の味」と言われるものであっても、
何かの拍子に
旬であったり
合わせる相性であったり、
他にもっと美味しさで優るものがあることだってあるんですね。
ニワトリの世界でも
似たようなことがあります。
たとえば
「廃鶏」と呼ばれるもの。
「ひね鶏」とも言います。
これは、たまごを産み終わった
ニワトリさんで、
卵を産み始めて2年ちょっと経った鶏の肉です。
一般的な、ブロイラーと呼ばれる鶏は
40日~70日くらいでお肉になります。
ようするに「若鶏」で
とてもやわらかい肉質が特徴。
対して廃鶏は…
旨味こそ多いのですが
若い鶏肉とくらべて
どうしても肉が固くなるため
一般的には好まれない
敬遠されるケースが多いんですね。
ですので「廃鶏」なんて呼び方なんです。
食べられるものの呼称としては、
ちょっと失礼じゃないかと思ってます。
たとえば
食肉の歴史の長いフランスでは、
むしろこの「廃鶏」の方が
好まれたりもします。
フランスには
鶏肉専門の肉屋さんまでありますが、
そこでは年齢順に
ひな鶏を「プーサン」
オスのひな鶏を「コクレ」と呼びます。
さらに生後7週~12週の若鶏は「プーレ」
特別に太らせたプーレを「プーラルド」
去勢した鶏で3kg以上の大きなものを「シャポン」
成長したオス成鶏を「コック」
そして上記の「廃鶏」を「プール」
と呼んで
それぞれ全く異なる食べ方をします。
プーレ(若鶏)ならソテーで
プール(廃鶏)なら煮込みがメチャ旨だ!
みたいに。
そこに上下は無く、
「プール(日本の廃鶏)」の方が
『何年も時間をかけて育てたから』
という理由で若鶏肉より
高くなっている事も。
じっさい、このプールの方が
肉質は確かに硬いのですが、
だんぜん肉の旨味が強くでます。
10数年前、
「比内地鶏の燻製」と偽って
20年間もこの「廃鶏」肉を使い続けた食品偽装事件がありました。
裏を返すと老鶏の肉が、まるで比内地鶏ほど
おいしいという事になります。
たまごでも、
同じことがありまして、
黄身の張りの強い最高級の若鶏たまご
これでオムレツや玉子焼きを作ると、
白身の食感が強すぎて
固くなっちゃうことがあります。
むしろ、食肉にされる直前の年配鶏のたまごの方が
生のときの黄身白身の張りは弱いですが
加熱でとろふわ食感に
なりやすいのです。
また、
味の濃いこだわり赤卵
これも同じで、
たまごかけごはんで食べるなら
美味しくても、
これでケーキをつくるなら
たまごの香りが主張しすぎて
アンバランスになる事だってあります。
むしろ、シンプルな風味の
白卵の方が美味しいケーキになることも。
「近江牛より旨いカエル肉」
があるように、
あなたの料理のこだわりに
相性の良いたまご
相性の良い鶏肉で
ぜひ、美味しさを高めてくださいませ~。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。