こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
英国で本日
ちょっと興味ぶかいニュースが
ありました。
Egg-citing times for lab-grown chicken: Meatly gets UK approval – IO
(研究室培養チキンのエッグサイティングな時代:ミートリー社が英国の認可を取得)
英国はミートリー社のペットフード用研究室培養チキン肉を承認し、ペットフード業界における持続可能で環境に優しい代替品への重要な一歩を踏み出した。
細胞に必要な栄養素を与え“培養”し
食用とする『培養肉』。
人口増加など環境変動に対応できる
次世代の技術として、
各国で研究されています。
日本でも牛肉の培養が
成功したニュースが
以前ありました。
(関連:謎肉と豆腐とたまご文化 | たまごのソムリエ面白コラム)
『培養肉は
今後20年で
かなりの市場規模に
なるだろう。』
なんて言われてます。
とはいえ今じっさいに
「食べていいよ。」
なっているのは
米国とシンガポールと
イスラエルだけ。
安全性
管理面
倫理面・・・
いろいろ
ハードルがあるんです。
このニュースによると
英国もこのほどペットフードなら
市販してオッケー
となるわけで、
けっこうスゴイ話です。
ちなみにこの記事によると、
大きな特徴が2つあります。
まず
生たまごの細胞から
鶏肉を培養していること。
たまごからスタートするので
鶏の遺伝子組み換えも不要
抗生物質も心配もない
エサも農薬の心配や
遺伝子組み換え植物かどうか
なんかも気にしなくてイイ!
・・・という点ですね。
なるほど。
培養肉って
どこからスタートするか?
がけっこう問題になります。
培養牛肉なんかも
胎児の細胞から取ったりして
倫理的に抗議の声も
あがっていた覚えが。
その点
『卵』はそれだけで
一個の細胞・生命の源ですし、
『かわいそう』
という感覚も
胎児とはずいぶん
異なりますよね。
「たまごから・・ニワトリなら?
あたりまえ・・?なのかな・・・??」
なんて思っちゃいますし、
倫理面で有利な気がしますね~。
そしてもう一つの特徴は
環境負荷がめっちゃ少ない
のだそう。
『従来の食肉生産よりも
64%少ない土地と
28%少ない水の使用ですむ』
とのことで、
『培養チキンは
クリーンで環境に優しい選択だ』
とおっしゃってます。
ただ、この面は
大量生産が始まったら
工場の電力や環境負荷は
はたして低いのか!?
なんて思っちゃいますね。
◆ペット用→人間用の流れ
あと興味深いなあ、と思うのが
ペットフードでまず認可
という
ワンクッション置いているところ。
『そもそもペットフード業界の
二酸化炭素排出量は
フィリピン(排出量世界36位)
に匹敵している。
環境に与える影響は
相当なものだ。』
なんて記事中では言ってますが、
ペット業界を憂いてというより
もちろん将来に「人が食べる」のを
見越してやっているわけです。
『ターミナル』
という映画で、
空港に持ち込み禁止な心臓病の薬を
「ヤギの薬だ」と言い張って
オッケーをもらう
というシーンがありましたが、
動物向けだと一般的に
許認可がちょっとゆるいんですね。
培養肉もまずペット向けで
実績を積んで広めよう
というわけですが、
今後の食用新技術では
こういったやり方が
主流になってくるかもしれません。
最新の技術はペットから!
人間よりも最先端のものに触れる時代。
なかなか興味深いです。
ここまでお読みくださって
ありがとうございます。