謎肉と豆腐とたまご文化
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
「培養肉」について厚生省が
本格的に検討に入るようですね。
培養肉とは、
細胞を培養することで
生き物を育てずに
食用の肉を作り出すことができる技術です。
普通に育てると
1年くらいかかるものを
理論上はほんの数週間で
お肉にできるのだとか。
飼育を必要としないことから
飼料不足などにも対応でき
食糧危機対策になるかも…
と考えられているんですね。
なにせ、
あと30年後に100億人を超える
と試算されているわけで、
「じゃあどうやって食べていくの?」
というシンプルな問いに対する
回答がいるわけです。
植物性100%の代用肉や卵はすでに
15000店以上の飲食店で導入されており、
世の中が「100億人時代」に対して
準備に入っているとも言えます。
記事にある培養肉については、
↑この本にさらに詳しく載ってますが
単に胃袋を満たすだけじゃなく
「健康な油脂だけが摂れる肉」
みたいなコントロールも
できるかもしれないんですね。
ところが・・・
現時点では、これは「食品」じゃないんです。
もちろん「畜産品」でもありません。
だって、
元が食材からできていませんし、
動物から摂れるわけでもないですし…
つまり該当する法律が無いんで、
食べられないわけです。
今のままの判断だと
培養肉はたとえ食品扱いできても
アミノ酸が合わさっている
「旨味エキス調味料」とか
たんぱく質の配合食品
「プロテインゼリー」なんかと
原理的に同じ区分に
なっちゃうかもしれません。
お肉なのに。
面白いですね~。
◆日本人が興味無いのは卵のせい?
ただし、
日本ではこの植物性肉や培養肉
いわゆる「代替プロテイン」は
めっちゃ関心が薄いんです。
欧米に比べて。
なぜなら、
「豆腐がうますぎる」
「たまごが食べられすぎ」
だから・・・。
そもそも和食では
大豆たんぱくである豆腐を
めっちゃいろんな料理で食べています。
いうなれば
“本物そっくりな植物性代用肉”
なんて無くても
「豆腐ハンバーグでいいんじゃね?美味しいし。」
という感覚なわけです。
さらに、世界トップクラスの卵好きな日本では、
生食や超食感の繊細な温泉玉子、
かきたま汁など、
たまごの特性を最大限活かした
たまご食文化がとても多様化しており、
「スクランブルエッグならなんとか…」
という植物性代用卵では
再現不可な料理が多いんです。
鶏卵は畜産の中では
かなり飼料負荷が少ないですし、
千年以上つづく大豆文化と併せると
『日本食ってすでに食糧危機対策になっている…?』
・・・のかもしれません。
「肉!肉がないとダメだろう!」
という欧米とはちょっとテンションが違うんでしょうね。
ただ、選択肢が増える中での鶏卵業界は
しっかりとお役立ち度を高める必要が
ますます出てきています。
しっかり考えてまいります。
しかし、
冒頭の培養肉を研究しているのは日清食品。
カップラーメンの「謎肉」を出す会社が
未知の肉の研究をしているのは、
かなり面白さがありますね~。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。