小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記SOMMELIER DIALY

「溶けないソフトクリーム」

溶けないソフトクリーム」話題に__-__金沢の食品研究会社が販売開始
『(前文略)「溶けないソフトクリーム」(350円)は、おからペーストと米粉を配合することで、常温で1時間放置しても溶けず、できたての姿をキープするもの。「甘さ控えめのさっぱり味」(同店)で、時間を追うごとに食感が変化する。オープン後、「不思議」「子どもに食べさせやすい」と話題を集め、ソフトクリーム目当てに幅広い客層も来店するという。(引用終わり)』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090521-00000000-hsk_kz-l17

面白そうですね。当然ですが、溶けないというだけで放置すると常温になりますので、その場合はあの「冷たーい!」という感覚は無いはずです。それって、昔駄菓子屋でよく食べた「ヨーグル」なる10円のお菓子、あんな感じなんでしょうか?おいしそうです。

■たまごの役割と食感
ソフトクリームのあの滑らかな食感。実はたまごが大きな役割をしています。牛乳100ccに対して、使われる卵黄は約一個。卵黄が風味を向上させ、濃厚なボディと食感を作ります。卵黄の脂質分やレシチンの乳化作用が、滑らかでどっしりした風味を出してくれるようですね。この「おから米粉アイス」はどんどん食感が変わるとのことで、このばあい卵黄の作用はどうなのか、「卵料理の食感」の観点から非常に興味深いです。

■新しい切り口にならないか?
食感はソフトクリーム、なのに冷たくない(あったかい?)という価値は面白いですね。もしかしたら冬場にこそウケる面白い商品になるかも。寒いところで食べておいしい「あったかソフトクリーム」。どうでしょう?
伝統的な食品を、加工や調理の仕方で全く違う食感にし、大ヒットとなった食品は沢山あります。ヨーロッパの人に「20世紀最大の食の発明」とまで言わしめた「かにカマボコ」、また古くは17世紀に失敗から生まれたサクサクおいしい「パイ」、砂糖じゃなくて飴を使った伸びーる「トルコアイス」、特殊な製法で食感を変えた「オーザック」・・・、あの生キャラメルもそうですね。

■健康イメージはあくまでおまけ・・・
おからが体にいい、ということはなんとなく皆さんご存知だとおもいます。おからには食物繊維やオリゴ糖がたっぷりで高タンパクですから、健康にも良いソフトクリームということですね。
でも、「健康に良いものが入ったアイス」「変り種食材が入ったアイス」は実は巷にありふれているんですよね。この商品の一番のポイントはおからと米粉の物性を引き出すことで、どこにも無い物性のソフトクリームを作った点です。他のおから商品と違って健康イメージがおまけになってるところが興味深いです。

■ところで・・
溶菌作用のある卵白と違って、栄養分たっぷりの「黄身」は菌にとって大好物です。糖分や乳たんぱくも同様なので、もし上記の様に長時間放置を試されるのであれば、夏場はちょっと注意が必要かもしれませんね。調子にのって何時間もかけて食べちゃうと、衛生面から別の困りごとが出てくるかも・・。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える2009年05月20日