小林ゴールドエッグ

ソムリエ日記 SOMMELIER DIALY

ニュースに考える 記事一覧

新型インフルエンザ問題に便乗した、詐欺商法です。皆様ご注意を。Cool

_新型インフルエンザ:「ワクチン開発のためダチョウのオーナーに」 便乗詐欺にご注意(毎日jp)

ただしこの話、全くのうそというわけではありません。詐欺の元アイデアとなっているのは、おそらく下記のニュース。

 _新型インフル対策に救世主? 府立大教授が開発“ダチョウマスク” (京都新聞) 

 _新型インフル騒動で「ダチョウマスク」が大人気(報知新聞)

京都府立大生命環境科学研究科の塚本康浩教授(動物衛生学)が開発したもので、従来のインフルエンザウイルスに加え、新型(H1N1型)に対しても有効とされています。Sealed

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一般的にウイルスは生体内でしか増殖できず、そのワクチンも有精卵などの生体でなくては増やして作り出すことができません。従来の鶏卵を用いたワクチン製造から、「世界最大の卵細胞」であるダチョウの卵をつかうことで、生産効率を大きく変えることができるのではないかと期待されています。

もちろん「ダチョウオーナー制度」なんてものは真っ赤なウソで、もしダチョウの卵で量産が始まったとしても、政府・薬品メーカーの厳重な管理・契約農場で作られることになるでしょう。投機的な儲けがからむ要素はきわめて少ないでしょうね。

「人をだますなら9割の真実に1割のウソを混ぜろ。」

(トルストイでしたっけ?)との言葉もあります。どこかで目にしたゆるぎない事実が下敷きになってるからこそ、人は納得しやすく、詐欺師がつけこむスキがあるのでしょうね。皆様ご注意を・・。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2009年06月8日

溶けないソフトクリーム」話題に__-__金沢の食品研究会社が販売開始
『(前文略)「溶けないソフトクリーム」(350円)は、おからペーストと米粉を配合することで、常温で1時間放置しても溶けず、できたての姿をキープするもの。「甘さ控えめのさっぱり味」(同店)で、時間を追うごとに食感が変化する。オープン後、「不思議」「子どもに食べさせやすい」と話題を集め、ソフトクリーム目当てに幅広い客層も来店するという。(引用終わり)』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090521-00000000-hsk_kz-l17

面白そうですね。当然ですが、溶けないというだけで放置すると常温になりますので、その場合はあの「冷たーい!」という感覚は無いはずです。それって、昔駄菓子屋でよく食べた「ヨーグル」なる10円のお菓子、あんな感じなんでしょうか?おいしそうです。

■たまごの役割と食感
ソフトクリームのあの滑らかな食感。実はたまごが大きな役割をしています。牛乳100ccに対して、使われる卵黄は約一個。卵黄が風味を向上させ、濃厚なボディと食感を作ります。卵黄の脂質分やレシチンの乳化作用が、滑らかでどっしりした風味を出してくれるようですね。この「おから米粉アイス」はどんどん食感が変わるとのことで、このばあい卵黄の作用はどうなのか、「卵料理の食感」の観点から非常に興味深いです。

■新しい切り口にならないか?
食感はソフトクリーム、なのに冷たくない(あったかい?)という価値は面白いですね。もしかしたら冬場にこそウケる面白い商品になるかも。寒いところで食べておいしい「あったかソフトクリーム」。どうでしょう?
伝統的な食品を、加工や調理の仕方で全く違う食感にし、大ヒットとなった食品は沢山あります。ヨーロッパの人に「20世紀最大の食の発明」とまで言わしめた「かにカマボコ」、また古くは17世紀に失敗から生まれたサクサクおいしい「パイ」、砂糖じゃなくて飴を使った伸びーる「トルコアイス」、特殊な製法で食感を変えた「オーザック」・・・、あの生キャラメルもそうですね。

■健康イメージはあくまでおまけ・・・
おからが体にいい、ということはなんとなく皆さんご存知だとおもいます。おからには食物繊維やオリゴ糖がたっぷりで高タンパクですから、健康にも良いソフトクリームということですね。
でも、「健康に良いものが入ったアイス」「変り種食材が入ったアイス」は実は巷にありふれているんですよね。この商品の一番のポイントはおからと米粉の物性を引き出すことで、どこにも無い物性のソフトクリームを作った点です。他のおから商品と違って健康イメージがおまけになってるところが興味深いです。

■ところで・・
溶菌作用のある卵白と違って、栄養分たっぷりの「黄身」は菌にとって大好物です。糖分や乳たんぱくも同様なので、もし上記の様に長時間放置を試されるのであれば、夏場はちょっと注意が必要かもしれませんね。調子にのって何時間もかけて食べちゃうと、衛生面から別の困りごとが出てくるかも・・。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2009年05月20日

ルーマニアの首都ブカレストで8日開催された国際野外料理コンテストで、世界最大の「農夫のオムレツ」作りが行われた。卵3万個を使用したこのオムレツの大きさは20平方メートルで、すでに世界記録協会からも証明書が届いたという。[ブカレスト 8日 ロイター]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090514-00000053-reu-int.view-000

—、との事で、下記がその写真です。

すごいですね!卵三万個というと、MかL換算としても約2トンあります。

上の記事にある「農夫のオムレツ」は、ドイツなど欧州ではポピュラーな卵料理です(別名「農夫の朝食」とも呼ばれているようです(参照))。角切りしたベーコンやジャガイモを入れるのが本式なので、写真では判らないですがおそらく上のイベントでも大量のジャガイモやベーコンも入れたのではないでしょうか。

それにしても、「国際野外料理コンテスト」なんて催しがあるんですね。ダッチオーブン使用のアウトドア料理本も本屋に行くと置いてありますが、アウトドア料理の国際コンテストとは、いったいどのような立場のプロ(?)が参加するんでしょうか!?
『国際野外コンテスト一位!』なんて書いてあるレストランがもしあったら、我々はどんな反応をすればいいんでしょうね・・・(^^;)

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2009年05月14日

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『卵・豚・キャベツで「ETC丼」』、こんなニュースがありました。東北自動車道福島松川パーキングエリア上り線の売店の企画メニューです。丼は卵(エッグ=E)、豚(トン=T)、キャベツ(C)の頭文字をつらねた名前で、豚しょうが焼き丼だそうです。1杯590円。さて、この丼、頭文字の取りかたはちょっと苦しいですが、この食材の取り合わせ実はものすごい力を秘めているんです。

◆3年間でものすごい伸び、「卵」と「豚肉」

キューピーが1989年から三年おきに実施している「食生活総合調査2006年」よると、50代以上のシニア層において「健康のために意識的にとる食品」として「卵」と「豚肉」がダントツの伸びでした。

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このニ品目については三年前の調査時と比較して、統計データで10ポイント以上の伸びとなっています。また、カロリーや脂肪などを敬遠するいっぽう、「健康感のある食材として卵や豚肉を意識してとる」という回答が増えるなどの変化があったそうです。

◆なぜ伸びたのか。そのヒミツとは?
『卵については、一般的にコレステロールを気にして食べないようにする意識があったが、近年、コレステロールをはじめとして栄養学への正しい理解が深まり、むしろ完全栄養食といわれるほどのバランスの良い食材として、食事に取り入れるようになったのではないかと思われるとの見解を示す。健康的な食材を積極的に取り入れようという意識が広がっていることが垣間みられた。(キューピーニュースリリースより抜粋)』との事で、弊社でも情報発信していますとおり、コレステロールや卵に対する誤った意識が正しく変わりつつあるようで、私もうれしいですね。Laughing(情報はこちらの別コーナーに掲載しています
また、肉中心のメニューが減ったと回答した人が多いなか、豚肉は「意識的にとる品目」として各世代で増加しているそうで、こちらもビタミンB1が豊富で健康に良いという意識が、一般の方に浸透した結果のようです。(ビタミンB1は疲労回復効果もあり、ヒレ肉に含まれる量は牛肉のなんと10倍!)

◆キャベツだってスゴイ
そして、キャベツには淡い色ながらビタミンC、カリウムやカルシウムが豊富で、肝機能を助け胃腸の働きをととのえる効果があり、また十二指腸潰瘍や骨粗鬆症予防の効果も期待されています。ギリシャ時代には薬として食されていたとの事、スゴイです
ね。

以上を考えると、上記ニュースのETC丼(エッグ・トン・キャベツ)は、健康を気遣うシニアの皆さんの心にヒットする、すごいポテンシャルを秘めた丼の様です。これはスバラシイ!むしろダジャレ(?)でETCなんてヘンな名前を付けずに、定番商品として人気メニューを目指した方が良いかもしれませんね。

 千寿菊の花から抽出した飼料で、更に目や肌に最適、とろーりあざやかな「親子丼専用たまご」こちらから購入いただけます。

※画面上部の写真は、リンク先SANSPO.COMさまの記事より引用しております。

『人気の高い汁なしラーメンと釜玉うどんの特徴を組み合わせた商品で、めんともやしを一緒にゆで、生卵とタレを混ぜ合わせて作る。』ラインナップは「かまたまラーメン 鰹節系醤油」「同 豚骨系醤油」の2種との事。

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http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090128/1023140/
ラーメン大好きで、もちろん卵大大大好きの私にとって、とても楽しみなニュースです。地元、徳島ラーメンには生卵を乗せるのが普通ですので、もともと生卵とラーメンの組み合わせは弊社にて結構検討しています。
ラーメンとの相性で言うと、ダシや醤油の香りを生かす「うどん」と異なり、卵の香りにクセが多少あっても黄身のこってりした風味が強い卵の方が良く合います。この汁無しラーメンだと、黄身の滑らかな食感がより重要になってくるでしょう。黄身の比率の高いやや小さ目の卵、MS程度のものが合いそうですね。我が社の契約している生産者さんの中でも、特に「味」にこだわる農場さんの卵で、ぜひ試してみたいです。麺のちぢれが良く絡むでしょうから、釜たまうどんよりも、卵の濃い風味をより楽しめそうです。Laughing

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2009年02月18日

卵つながりの新商品ニュースを見ていたら、食感に関係する研究を思い出しました。
<あの人気アイスに「たまごプリン」が新登場>
「ロッテは、黄色い和風アイス「雪見だいふく たまごプリン」を2009年2月9日に発売する。」
http://www.j-cast.com/mono/2009/01/28034241.html

 

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自分も「雪見だいふく」は大好きなので、これはたまごマニアとしてもすごく楽しみです。
ところで、雪見だいふくの外っかわは、いわゆる「おもち」じゃありません。0℃近くで「おもち」と同じ食感になる様に計算された、別の食材で作られています。

 

力学的に言うと「食感」は、力を加えたときに変形する度合い「粘性」と、力を加えたときに元に戻ろうとする力「弾性」が組み合わさったものとして表現できます。たまごのとろりとした食感も同じです。私の大学時代の研究は、新素材についてこの「粘弾性」を解析することがテーマでした。(目的は、プラスチックの一種である特殊ポリマーの開発に当たるんですが、この研究は食品分野でも大いに活用されています
「おもちの食感」とか、「耳たぶの触った感じ」といっても正確に伝わりにくいですよね?人によって感じ方は違うし、何より外国人にはサッパリの場合もあります。
でも、これを粘性○○、弾性△△ってな感じで数値化することで、普遍性を持った伝え方や追求の仕方ができます。
この考え方は、普段の業務でも大切だなーとつくづく思います。「工場をキレイにしましょう。」と言っても、「キレイ」の感じ方が人によって違いますよね?それよりも「目の前に落ちているゴミは必ず拾いましょう」という方が、随分マシです。セブンイレブンでは、全店に輝度計を導入して、床の磨き具合を数値化して○△以上、と定めているそうですが、これも人それぞれ違う捕らえ方を無くす方法ですね。「マニュアル化」の良い部分にも通じると思います。
とりとめの無い話しでした。

カテゴリー | ソムリエ日記 , ニュースに考える 2009年02月8日