郷土料理から新メニューを考える(石川県の郷土料理!べろべろ)
郷土料理はヒントがいっぱい。
その土地柄もありますが、
長く愛されてきた料理は
それだけ魅力がつまっています。
現代の料理やメニューにも
応用できる要素があるんじゃないでしょうか。
こんにちは!
たまごのソムリエ・こばやしです。
石川県の郷土料理に「べろべろ」という
たまご料理があります。
出典:農林水産省Webサイト(https://bit.ly/3OZdPfW)
これは、たまごに火を通しつつ
寒天で固めたもので、
たまごの風味が良く
ふるっとした食感が
非常に面白い料理です。
これ、料理の「考え方」が、
非常に面白いんですね。
たまごって
いくつもの機能があるんです。
・起泡性(泡立つ)
・熱変性(熱で固まる)
・両親媒性(水とも油とも相性良く混ざる)
・マスキング効果(味をまろやかにする)
・食感滑らかさ寄与
などなど、色んな効果がありまして、
起泡性なら生クリームやメレンゲ
熱変性なら茶わん蒸しやプリン
両親媒性ならマヨネーズと、
各機能を活かした
たまご料理ができます。
たまご料理が多岐にわたるは、
この多様な特性のおかげ。
ところが、この「べろべろ」は
「たまごで固める」わけじゃないんですね。
寒天で固める。
つまり、たまごの機能性を
あえて使わない調理をしているわけです。
いわば引き算のたまご料理。
たまごの機能性を
うまく使う料理は
世界にいくつもありますが、
どうしても似た部分が出てきます。
「食感」という部分だけでみると、
洋食のプリンと和食の茶わん蒸しは
よく似ていますし、
スパニッシュオムレツとたまご焼きは、
どちらも卵の凝固作用のメカニズムが
おなじですから、やっぱり食感や香りは
似てしまいます。
いや、
別に似ていても良いのですが、
もし、ちょっとこだわって
今までにない新しいたまご料理を
創り出すならば、
この「べろべろ」の考え方は、
非常に面白いですよね。
卵の凝固作用を使わずに、
別の凝固する食材で固めて食感を変える
この仕組みを応用すると、
洋食ならたとえば
「スクランブルエッグの
コンソメゼリー寄せ」
みたいな料理も
考えられますよね。
ちょっと似た料理をむかし
海外のレストランで目にしたことがあります。
ゼラチン質を応用した
ふるふるの冷製オムライスや
新食感の玉子焼きだってできます。
食べた人に驚きを与えられるかもしれません。
コンビニで「卵の黄身」が乗った
親子丼が売られていますが、
この黄身も、生卵じゃなくって
ゼリー的に固めたもの。
なのでレンジでチンしても
固まらないんです。
これなんかも、
鶏卵の凝固性を
べつに置き換えた料理で
『べろべろ』と共通する
仕組みと言えます。
考えてみると
玉子豆腐もその一種と言えますね。
じゃあ、
たまごの「起泡性」を、
「両親媒性」を置き換えた
たまご料理はどんなものになるか…!
考え始めるとワクワクしますね!
ぜひ、新メニューのヒントとなりましたら幸いです。
ここまでお読みくださって、
ありがとうございます。